私の必殺技を受けた司教をお義兄様が張り倒して決着をつけてくれました
「そこのあばずれババア! 俺のエリに何を手をしている」
お義兄様の氷のような声が響いたのだ。
「ヒィィィぃ」
お義兄様の声に思わず、セリーヌは私を掴んでいた手を離して後ろにへたり込んでいた。
えっ、ちょっと何を離してくれているのよ。
私は慌てた。
私は地面に激突しそうになり、レッドから飛び降りたお義兄様が私を掴むよりも先に私に手を伸ばしてきた男がいた。
「動くな」
それはお義兄様と一緒に落ちてきたトーマスだった。
「レオンハルト殿下、何をしてくれるのです。この大聖堂をここまで壊してくれるとは! 教会には帝国は不介入のはず」
トーマスは私を盾にしてお義兄様に叫んでくれた。
「ふんっ、よく言うな、トーマス! 貴様は俺の義妹はいないと言ったが、エリがいたではないか! それも後ろ手に縛られている。これはどういう事だ」
怒りのお義兄様の声は氷のように冷たかった。
「何を言う。それ以前に教会は不可侵の領域、それに対して勝手に入り込んだのはその方ではないか!」
ふてぶてしくもトーマスは言ってくれた。
「教会が不可侵の領域? 何をふざけたことを言っているのだ。それは教会の人間が質素倹約に励み、皆の者に奉仕している場合のみだ。
貴様らはあろうことか、民を下に見下し、今回は我が義妹の誘拐を図った。これは重罪だ。それも帝都の教会のトップがそれに加担しているとは。貴様がAAAのトップだったのだな、トーマス・シュナイダー」
お義兄様は言い切ったのだ。
「ふん、今頃気づいたのか。でも遅かったな」
トーマスが笑ってくれたのだ。
「ふん、自らでてくるとは貴様も馬鹿だな。俺はそのような奴は許さん。」
そう言うとお義兄様は剣を引き抜いたのだ。
ええええ! お義兄様が剣を抜いた。
ここは下手したら帝都の消滅の危機だ。ここは少しでもお義兄様の怒りを抑えなければ、とんでもないことになる。私は焦った。
「動くな。動くとこの娘の命はないぞ」
あろうことか、このボケナス司教は私にナイフを突きつけてきたのだ。
お義兄様の怒りが更に増した。何をしてくれるのだ。この司教は。死ぬなら一人で死ねと言いたかった。
「お義兄様、ここは落ち着いてね」
私はお義兄様に言ってみた。
「小娘、勝手に話すな。それよりも自分の心配をしたらどうなのだ」
ボケ司教が言ってくれるが、ここは私の事よりも帝都のことなのだ。
お義兄様がマジでプッツン切れて怒りが爆発したら帝都にどでかいクレーターが開きかねない。
この二人は好きにしていいから、帝都を破壊するのだけは止めて欲しい。
私は皆のために思ったのだ。
「お義兄様。私は大丈夫ですから。このトーマスとセリーヌは好きにしていいですから帝都を破壊することだけは止めて……」
「貴様、何を言出だすのだ。殺されたいのか」
私の言葉はトーマスには逆効果だったみたいで、トーマスはナイフを私に突きつけてきたのだ。
なんか喉元が生暖かい。血が流れている?
「エリ!」
これはもっとやばい。お義兄様のこめかみがピクピクしている。
お義兄様の怒りがフルパワー爆発寸前だ。
「ふん、恐竜皇子のアキレス腱がなんとこんな貧相な女だったとはな」
トーマスが笑って言ってくれた。
「この女、貴様の眼の前でずたずたに切り裂いてやろうか」
トーマスは笑って言ってくれた。
「あなた、馬鹿なの? お義兄様がそんなの許すわけ無いでしょ。やろうとした瞬間にあなたこの世から消えるわよ」
私は一応教えてあげたのだ。その瞬間、どれだけのものが犠牲になるか判らないが、お義兄様は私を外して攻撃できるのだ。
「煩い、黙らないと本当にやるぞ」
トーマスは言ってくれるんだけど、このボケナスは本当に馬鹿だ。お義兄様を刺激するのをやめろって言うのに……お義兄様の魔術は桁違いで、私に対してそのようなことをしようとした瞬間に皆と一緒に消されてしまうのだ。
でも、言ってもわからないようだ。
私にとってはこんなやつの命よりも帝都の民の命だ。
こうなったら最後の手だ。
私は決断した。セッシーからバックキックで金なんちゃら潰しの極意も教わっていたのだ。
もう時間がない。お義兄様の怒りが爆発したら、帝都もただでは済まない。
私はお義兄様にウィンクをしたのだ。
「えっ」
お義兄様の眉がピクリとした。
これで判ったはずだ。
私は片足を前に少し上げて勢いをつけると、次の瞬間、膝を思いっきり後ろに折り曲げてキックを放っていた。
普通の人間がやっても大したことは無いのだが、私は年季が違うのだ。
「ギャーーーー」
股間を蹴り上げてグシャリと何かが潰れる感じがした。
思わずナイフを取り落としてしゃがむトーマスから横に退くと、そこに間髪入れずにお義兄様のパンチが炸裂したのだ。
グシャという音とともにトーマスは血だらけになって吹っ飛んで行ったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
まだセリーヌが残っています。
続きは明朝。
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