お義兄様と夢の中で結婚する約束をしました
「本当にもう許さないんだから」
私は完全にプッツン切れていたのだ。
私はそれでなくても、お義兄様に寄ってくる娘たちの虫よけのために、二回もキスをされて切れかけていた怒りが、お義兄様が私の下着姿を見たことで完全にオーバーヒートしてしまったのだ。見られたからって、どうってことないでしょ、子供のころからお義兄様には見られ慣れているでしょ、と言われたらその通りかもしれないけれど、そこは気分の問題なのだ!
あれから慌ててお義兄様は私に自分の上着を投げて寄越してくれた。
怒り狂っていた私はそれを最初は受け取らなかったのだ。
セッシーが受け取ったほうが良いと言ってくれたので、仕方無しに受け取ったのだ。
そして、すぐに飛んできたアリスとセドリックら護衛騎士20名に守られて自分の部屋に帰った。
「どう思う、アリス? 女の子たちを寄せ付けないために、私を虫除け代わりにするために、お義兄様は私にキスしたんだよ、私に! 私のファーストキスだったのに! 信じられる?」
私はブーブー文句をアリスに言いながら、着替えたりしたのだ。
「あのう、お嬢様」
私の怒りの前に珍しく遠慮した感じでアリスが何か言いかけた。
「何よ。アリス」
「いくらレオンハルト様がヘタレだからって、好きでない人にはキスはしないと思いますよ」
「えっ、まあ、お義兄様は私のことを好いてはくれていると思うわよ。妹としてね」
私が言ったらアリスが頭を押さえているんだけど、なんでだ?
私にはよく判らなかった。
聞こうとしても、それはレオンハルト様に聞いてくれの一点張りだったなんだけど……
その後すぐにお風呂に入ったのだが、やはりまだ少し水に濡れるには寒かったみたいだ。
その時は少し熱っぽいかなと思ったんだけど、翌日起きたら熱が出ていた。
私は風邪でそれから少し寝込むことになったのだ。
高熱の間、私はよく夢を見た。
小さい頃の夢だ。お義兄様に膝の上に載せてと強請っていたのだ。
「でも、エリ、俺の膝の上に乗るということは将来的に俺のお嫁さんになるということだぞ」
お義兄様は言ってくれた。
「良いもん、私、お義兄様のお嫁さんになる」
小さい私は何の躊躇もなく頷いていたのだ。
「本当に良いのか? 俺はそれで全く構わないが……」
お義兄様が躊躇していってくれた。
「だってお義兄様は強くなるんでしょ。エリのお父様は世界で一番強い人だったって聞いたわ。だから、エリは世界で一番強い人のお嫁さんになるの」
「そうか、だったら俺も世界で一番強い男にならないといけないな」
「うん、お義兄様なら必ずなれるから、頑張って! そうしたら、私がお義兄様のお嫁さんになってあげる」
私はお義兄様を応援したのだった。
「じゃあ、俺が世界で一番強い人になったらエリをお嫁さんにするからな」
「約束よ」
私達は指切りをしたんだった。
そんな事を約束したのも忘れていたのだ。
熱は中々下がらなかった。
なんか、高熱が出ている時にお義兄様が横にいてくれているような気がして、私はめを開けた。
「エリ、大丈夫か?」
お義兄様が、私の手を取って握ってくれていた。
「うんなんとか」
私が弱々しく答えると
「悪かったな、文句を言われても強引に俺がエリを部屋につれて帰って風呂に入れてやれば良かった」
お義兄様が言ってくれたんだけど……
「えっ、流石に一緒にお風呂には入れないよ」
私が言うと、
「何言っているんだ。昔はよく一緒に入っただろう」
「私の胸がないってよくお義兄様にはからかわれたよね」
私がブスとして文句を言うと、
「子供だから無いのは当たり前だろう」
お義兄様が珍しく良い事を言ってくれた。
「でも、今もないよ」
私が少しムッとして言うと、
「俺はエリくらいの胸の大きさで良い」
なんか、お義兄様が私の事を褒めてくれるんだけど。
「昔は絶対に褒めてくれなかったじゃん!」
私が文句を言うと、
「あの時は恥ずかしかったんだよ。今なら、ちゃんと言えるぞ。エリくらいの胸の大きさが良いって」
私は熱で少しおかしかったのだ。なんか、メチャクチャお義兄様の言ってくれたことが嬉しくなって、聞いていた。
「えっ、本当に! じゃあ私のことお嫁さんにしてくれる?」
私は高熱で正気ではなかったのだ。馬鹿なことを聞いていた。
「俺がお婿さんでいいのか」
「だってお義兄様は世界で一番強くなってくれたんでしょ。昔の約束守ってくれた。じゃあ、エリも約束を守らないと」
「本当だな! エリ! 約束だぞ」
私はお義兄様と指切りまでしてしまったのだ。
「エリ、俺はこれから10カ国の叛徒共を征伐に行く」
「えっ、行っちゃうの」
私が寂しそうに言うと
「すぐに制圧してくるさ。そうしたら正式にお前に結婚を申し込むからな。昔からの約束だから」
「判った。無事に帰ってきてね。約束だよ」
私はぼんやりと答えたのだ。
「ああ、約束だ」
「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます」
私達は指切りしたのだった。
ここまで読んで頂いて有り難うございました。
夢の中で、お義兄様と約束したエリ。果たしてどうなる?
続きは明朝です。
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