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【3巻電子書籍発売】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……  作者: 古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄されたので義理の兄が激怒して
お義兄様と婚約しました

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公爵令嬢視点2 婚約破棄されて帰ってきた小娘を張り倒した現場を皇子に見られてしまいました

「もう、くそ、くそ、くそ」

私は家に帰ってクッションを地面に投げつけたのだ。

私のレオンハルトを独占しやがって、あの小娘は絶対に許さない!

私は心に決めたのだ。


今日はレオンハルトと踊るためにレオンハルトの瞳の色と同じ青いドレスでパーティーに挑んだのに、全く意味はなかった。

これもあの小娘のせいだ。


私の怒りに怯えたのか、侍女が私の前に紅茶を置こうとしたその手が震えた。


カチャッ、その紅茶の一部が溢れたのだ。


「何するのよ!」

私は思いっきりその茶碗を地面に叩きつけたのだ。


ガチャン

カップの割れる音がして、破片が散らばった。


「キャッ」

侍女は思わず悲鳴をあげたが、


「も、申し訳ありません」

慌てて、侍女は頭を下げてきた。


直ちに別の侍女が布巾を持って飛んできたのだ。


むしゃくしゃした私は、それからも何度か侍女に怒りを爆発させてしまって、父に呼ばれたのだ。


「どうしたのだ? ベアトリス、侍女にあたるなんてお前らしくもない」

父が私の顔を見てくれた。


「申し訳ありません。お父さま。レオンハルト様と一度も踊れなかったので、ついむしゃくしゃしてしまって」

私は素直に謝った。


「まあ、あれは殿下もどうかと思うぞ。一人の子供につきっきりなど、ああいう場でやることではないがな」

父も頷いてくれた。


「言い方は悪いけれど、陛下も、皇后様が亡くなってから、あの辺境の女に現を抜かしすぎよ。最近はその連れ子まで甘やかして、本当にどうかと思うわ」

母も認めてくれたのだ。


「まあ、確かにいくら剣聖の娘とはいえ、母親はあの身分の低い女だ。妹が生きている間はレオンハルトもきちんとしていたのに、最近はあの連れ子の小娘に振り回されているんだとか。この前はせがまれてカフェに二人で行っていたそうだぞ」

「お父さま、それは本当なの?」

私は更に頭にきた。私なんて誘ってもらったこともないのに!


「本当らしい。本来ならば我家が妹の皇后の出身家で、もう少し大事にされてしかるべきなのに、最近は陛下も何かあるとロザンヌ公爵を呼ばれる。殿下達の外戚が我が家だと言うのに、何故我が家がロザンヌの風下に立たねばならぬのだ」

父も最近の陛下の行いに不満があるようだった。


「これもそれも、陛下の横にいるあの娼婦のお陰ね」

母が言ってくれた。


「本当に忌々しい。毒でも盛るか」

父が不穏なことを言いだした。


「でも、お父さま。もし間違ってレオンハルト様達がその毒を飲んでしまったら洒落にはならないわ」

私が言うと

「そうなのだ。本当に忌々しいことにあの女は殿下たちを誑かしおって、本当の家族のように過ごしておるのだ。間違えたら毒入りのカップを殿下が飲みかねん」

毒殺は中々難しかった。


結局、私達はしばらく、様子見をするしかなかったのだ。



しかしだ。嬉しいことに陛下の娼婦はその年に流行った流行病であっさりと死んでしまったのだ。


死んだ後、娼婦は皇后に贈位されたと両親は怒っていたが、これで私はレオンハルトと会えると思ったのだ。


しかし、連れ子は公爵家に返されるだろうと思ったのに、そうはならなかったのだ。


「殿下が第四皇子殿下とあの連れ子を可愛がっておられるのだ。あれでは、公爵家に二人共返せとは到底言えまい」

疲れ切ったように父が言ってきた。


「ええええ! お父さま。じゃあ、レオンハルト様に私はお近づきになれないじゃない」

「あなた、あの連れ子だけでも何とかなりませんの? 侯爵家の奥様からも言われたわ」

お母様が言うが、侯爵家というのは外務卿をしているアガットのところだ。

まあ、敵の敵は味方という感じで意見があったのだろう。


「それなんだがな。あの娼婦の故郷の国からその連れ子に縁談が来たのだ」

「まあ、あのサンタルとかいう国からよね」

お母様も身を乗り出して来た。


「そのサンタル王国の第一王子の嫁に欲しいというのだ」

「えっ、あの小娘が王妃になるの!」

私はムッとして聞いた。


「ベアトリス。お前、王妃と言っても、我が帝国の属国の王妃だぞ。我が帝国がくしゃみをしたら飛んでいくような国だ。そもそも下手したら子爵家程度しか領地がないのだ」

お父さまが言ってくれた。


「ベアトリス。あの小娘がそこに嫁に行ったら、レオンハルト様は自由の身になるのよ。それこそ、レオンハルト様に近付くチャンスじゃない」

「そうね。そのとおりだわ」

そうだ。今まで邪魔していたあの小娘がいなくなれば良いのだ。

まあ、あの小娘には子爵程度の国の王妃になってもらうのが丁度よいだろう。

いずれ、私がこの国の皇后になった暁には私に跪かせてやるのも良いだろう。


「会議の席で、賛成してくれぬかと外務卿からも頼まれたので、頷いておいたぞ」

お父さまが言ってくれたのだ。


幸いなことにレオンハルトはチエナに留学している最中だった。

私も行きたいと駄々をこねたのだが、父も母も許してはくれなかったのだ。

私はチエナ王女の動向が気になったのだが、今のところあまりうまく行っているとは聞いていなかった。

まあ、もうあと少しでレオンハルトは帰って来る予定だ。それから猛烈にアタックすればよいだろう。


揉めるかなと思った小娘のサンタル王国行きは、なんと小娘自身が乗り気になって上手く行ったのだ。

これで邪魔者は消えたと私は思った。


しかし、そうではなかったのだ。


私はレオンハルトが帰ってきたと聞いて、慌てて宮殿に行ったら、既にレオンハルトは東部戦線に出撃した後だった。


宮殿の所々に魔術をぶっ放した跡が生々しく残っていた。


レオンハルトとしてはあの小娘がいなくなったのが許せなかったのだろう。


いなくなっても小娘は私の邪魔をしてくれるのだ。


私はお父さまに、小娘が現地で虐められるようにいろいろとして欲しいと頼み込んだのだ。

お父さまはなかなかいい顔をしてなかったが、それなりに手は尽くしてくれたみたいだ。


何でも小娘は全くその属国の王子に相手にされていないそうなのだ。


婚約破棄されて出戻ってきたら、また、レオンハルトとの仲が戻るかもしれないと少し危惧したが、私は小娘が相手にされないというのがとてもいい気味だと思ったのだ。


結局、小娘は婚約破棄をされておめおめと戻ってきたそうだ。


レオンハルトはその小娘を婚約破棄した属国を撤収するために派遣されたそうだ。


私はそのレオンハルトが帰って来る前に、小娘を宮殿から追い出して公爵家にでも去らせようと、取り巻きをつれて待ち構えていたのだ。


そんな所に現れた小娘を「出戻りだ」と私達は笑ってやったのだ。


それに対して娼婦の息子の第四王子が反論してくるとは思ってもいなかった。


「ねえねえ、お姉様。僕、侍女たちが噂していたのを聞いていたんだけど、お兄様に全然相手にされないのに、追いかけているうちに婚期を逃してしまった令嬢がいるって聞いたんだけど、本当?」

私はその言葉に完全に切れていた。


「ベアトリス様」

取り巻きの一人が止めようとしてくれたが、間に合わなかった。

その一言に完全に私は平静心をなくしていた。


「なんですって」

そう叫ぶと憤怒の形相をして、皇子を平手で張ろうとしたのだ。

そのまま張っていたらさすがにまずかったと思う。

でも、何をトチ狂ったのか、私の眼の前にはその生意気な小娘が出てきたのだ。


パシーン


次の瞬間、私はその小娘の頬を張り倒していたのだ。


やった、小娘の頬を張り倒してやった。

私は歓喜に震えたのだ。


次の瞬間までは……


「何をしているのだ」

そこには氷の視線を私に向けるレオンハルトがいたのだった。



ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ヒーローの登場です。

続きは明朝

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

次の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/


この話の

次の作品はこちら

『婚約破棄されたので下剋上することにしました』https://ncode.syosetu.com/n0747ju/


この話が電子書籍化されました

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
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後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

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表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

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ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

この話のスピンオフはこちら


『【なろう500万字達成記念】知らない男から婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの学園を止めさせると叫びだしたんだけど』
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私の最新作はこちら

『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』https://ncode.syosetu.com/n7673jn/


アルファポリスのレジーナブックスにて

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2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
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表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


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手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

私の

2番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

3番人気の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/

この話の

次の作品はこちら

『王太子に婚約破棄されて両親を殺した野蛮王に売られそうになった時、白馬の騎士様が助けてくれました』https://ncode.syosetu.com/n6878ix/


前の前の作品『傭兵バスターズ』元剣聖と悪役令嬢率いる傭兵団の冒険活劇https://ncode.syosetu.com/n3697jc/


この話の

前の作品はこちら

『天使な息子にこの命捧げます』https://ncode.syosetu.com/n9455ip/

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