お義父様が出てきて婚約破棄の件で怒り狂い、王子はその父の国王に廃嫡されました
「我が父はそれだけ、エリーゼのことを大切にしているのだ。貴様らはそれを知らなかったみたいだが……
今回の貴様らの王子がしでかしたことを父が知ったらどうなるかとても楽しみだ」
お義兄様が笑ったけれど、目が笑っていないんだけど……
「パウル、さっさと繋がないと父が怒り狂っているのではないか?」
お義兄様がいきなり、私の従兄弟のパウルお兄様に振ったんだけど、何なの?
絶対に碌でもないやつだ。
「殿下が繋ぐのを邪魔していらっしゃったのでしょう!」
パウルお兄様がお義兄様に文句を言ったんだけど、一体何を繋ぐというの?
帝国からパウルお兄様と一緒に来た魔術師達が何か魔道具を操作している。
バチッという音とともに、いきなりこの国の国王夫妻の画像が浮かび上がった。
な、何なのこれは?
この時は判らなかったが、帝国で開発中の魔導通信というものだと後でお兄様から教えてもらった。
前世のテレビ電話みたいなものだ。
「皇帝陛下、繋がりましたぞ」
後ろに向かって国王陛下が叫んでいる。
魔道士達が機械をこちらに向けてきた。
「やっと繋がったのか! パウルの奴は何をしていたのだ! おお、我が娘、エリーゼではないか。息災にしておったか」
そこにはドアップの義父が映っていた。私を見た途端怒りを消して満面の笑みを浮かべて来たんだけど。
「信じられない。あの厳しいと有名な帝国の皇帝が笑っている……」
王国の貴族たちが唖然としていた。
「これは皇帝陛下、お久しぶりにございます」
「え、エリーゼ! 皇帝陛下などと他人行儀ではないか! いつものようにお父さまと呼んでくれないのか?」
この義父は本当にこういう面は親バカなのだ。
「いえ、しかし、陛下は陛下ですし」
私は抵抗したのだ。
「お父さまだ!」
しかし、義父はそう言うまでは許してくれそうになかった。
しかし、普通は娘がお父様と言って父がこういう所では皇帝陛下と呼ばねばならないと注意するところではないのか?
私を見て皆は唖然としているし、特に私を虐めていた貴族たちは青を通り越して顔面蒼白になっていた。私と義父がこれだけ親しいということを知らなかったのだろう。
「お義父様」
私は仕方なく言ってあげた。
「そうだ。それでよろしい」
「ふんっ、親バカ丸出しだな」
そこへ言わなくても良いのにお義兄様が茶々を入れてくれた。
「レオンハルト! 貴様は何故、そこにおるのだ? 貴様には東部戦線を任せたであろうが」
お義父様が怒り出したんだけど、
「ふんっ、10カ国はすべて下しました。後は弟二人と公爵に任せておけばよろしいでしょう」
お義兄様が言ってくれるんだけど……
「最近やたらと東部諸国の決裁の書類が増えたのは貴様が勝手に前線からいなくなったからなのだな。貴様のせいで、私は可愛いエリーゼの卒業パーティーに参加出来なくなったではないか!」
「クソ親父、何をほざいている! 元々、今の時期は帝国中から領主が集まってくる会議期間だろうが! それを皇帝が抜けるわけには行かないだろう!」
お義父様の怒りの声にお義兄様が反論した。
「前線から恐竜の貴様が抜けてどうする」
「親が俺の事を恐竜って言うな! 俺にはレオンハルトというれっきとした名前があるわ!」
「何を言う、最近は生意気な隣国も力を持ち出した小国も、『文句があるなら恐竜を向かわせるが』と一言、言うと途端に大人しくなるのだ。これほど便利な呼び名があるか」
「貴様、いたいけな子供を政争の道具に使うな」
「何を言う、貴様こそ、東方10カ国の国王に言っているそうではないか。自分だからこれだけで済んでいるが欲深皇帝が来たらどうなるかわからんぞと。実の親を欲深皇帝とは何だ!」
「ふん、戦争になるより余程ましだろうが!」
「ものには言いようがあろう!」
二人が下らないことで言い争いを始めたんだけど、何か魔術師がつらそうにしている。この魔道具はまだ試用段階で長時間はもたないみたいだ。
「お義父様。お義兄様。下らない言い争いは止めて下さい!」
仕方がないので魔術師のために私が叫ぶとやっと二人の喧嘩は収まった。
「済まぬな。エリーゼ。恐竜がうるさくて」
「欲深親父がしつこくてな」
「誰が恐竜だ」
「誰が欲深だ」
「いい加減にしなさい!」
私の叫び声でやっと二人は静かになった。
「エリーゼは凄いと思っていたけど、皇帝陛下や第一王子殿下よりも強かったんだ」
シャロットの感無量な声がシーンとした会場内に響いたんだけど……
その言葉に倒れだす貴族たちもいるんだけど……
「で、エリーゼは無事に卒業できたのか」
「はい」
私はそれで切ろうとしたのだ。そうすれば、後でいくらでも誤魔化しようはあったのだ。私に甘いお義父様の事だ。私が傍にいて、サンタル国の事なんてどうでも良いではないですかと誤魔化していれば良いと思ったのだ。
なのにだ!
「サンタルの王子に婚約破棄されてましたよ」
余計なことをお義兄様が言ってくれたんだけど……
それはまさしくお義父様の怒りに火をつけるのに十分な言葉だった。
「な、何だと! それは真か!」
「はい、私は確かに聞きましたし、ここにいる全員が聞いております」
お義兄様が更に余計なことを言ってくれた。
「サンタル国王、これはどういう事だ! 私はくれぐれもエリーゼをよろしく頼むと先ほども頼んだではないか! そもそも貴様の国には可愛いエリーゼが世話になっていると思って大量の資金を援助していたのだぞ。それをそちらの方から婚約破棄するとはどういう事だ。そもそもエリーゼの件はそちの母の王太后が泣いて頼むから認めてやったことなのだぞ。それをそちらから破棄するなど言語道断だ!」
怒り狂ったお義父様の言葉が切れたところで
「いえ、陛下、これはなにかの間違いで」
国王が必死に言い訳しようとしたのだ。
「いいえ、間違いではありません。私は確かに聞きました」
なのに、国王が誤魔化そうとするのをお義兄様が邪魔してくれた。
「アンドレ、どういう事だ!」
「いえ、父上、私はサンタル国の将来のことを考えて」
「愚か者。貴様はなんということをしてくれたのだ」
「何を仰るのですか? 父上もエリーゼ様のことは適当に対処しておけばよいとおっしゃられたではないですか」
「何を言う、婚約破棄して良いなど一言も申しておらんわ」
二人は喧嘩を始めてくれた。いやしかし、ここは喧嘩するのではなくて、お義父様を止めてよと私は言いたかった。
「いやしかし、」
「もう、良い、貴様は廃嫡だ」
国王陛下が突然言い放ったのだ。
「えっ、父上、そんな」
「騎士ども、直ちにアンドレ王子を捕まえて牢に入れよ。詳しくは帰ってから指示する」
国王の指示が終わると同時に画面がブチッとブチギレた。
「えっ、父上」
青くなったアンドレが画面が映っていた空間に向かって叫ぶが画面はもう何も映さなかった。
「殿下申し訳ありませんが、陛下の命令です」
「そんな、お前ら待て!」
「そうよ、殿下は被害者なのよ。あの女が全て悪いわ」
セリーヌが私を指差して叫ぶ。
それを見てお義兄様の機嫌が見る間に急降下する。
「やむを得ん。二人共捕まえろ」
「急げ」
騎士たちはお義兄様の顔色を窺って、慌てて二人共拘束したのだ。
こうして私を断罪投獄するつもりだった二人は逆に地下牢に連行されたのだった。
取り合えず、私はお義兄様のお陰で断罪されるのだけは何とか免れたのだ。
お母さまの祖国が存続できるかどうかは判らなかったが……
ここまで読んで頂いて有難うございました。
取り合えず、断罪パーティーは乗り切ったエリーゼでした。
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無事になんとか乗り切ったエリーゼですが、母の故国は存続の危機に。
果たして無事にエリーゼは故国に帰れるのか?
続きは明朝です。お楽しみに!








