【二巻シーモア配信記念】チエナ暗部の長の独り言 突撃してきた恐竜皇子を殺ろうとしたら、手も足も出ずに弾き飛ばされてしまいました
俺はチエナ王国4000年の歴史を支えてきた暗部の長ルイだ。
帝国に対する数々の工作は俺を中心に立ててきてことごとく成功した。
AAAの皇后暗殺も計画を立てたのは俺だし、次の皇后の病による暗殺計画を立てたのも俺だ。
俺様の前に失敗の文字はなかった。
そんな俺が帝国の東方10カ国の担当に当時の第一皇子、現皇太子が就任したと知って、その情報を集め出したのは約6年前だ。
帝国は東方10カ国に大敗して剣聖が亡くなってから大きな行動は東方10カ国に対して取っていなかった。
そこの担当に新しく皇太子を持ってきたのだ。
単なる形だけなのか、それとも本気でやるのか、俺はそれが知りたかった。
調べると皇太子は強靭な肉体と魔力を持っていて、なおかつ学業もよく、これは手強いと俺は見た。
奴はそれでなくても強い帝国の騎士たちを一から鍛え直しだしたのだ。
俺は上層部と東方10カ国に警告した。
しかし、チエナの上層部も東方10カ国も帝国の皇帝親征を破り剣聖を殺したことで、帝国を舐めていたのだ。俺の意見は無視された。
皇太子は自分に与えられた一軍を鍛え上げて、東方10カ国とチエナの間にあるフロジーヌの内紛に目をつけたのだ。奴はチエナと東方10ヶ国が付いて劣勢になった正統派と思われる勢力についたのだ。
そして、我軍が送った援軍1万を自分の軍隊1万で完膚までに破ったのだ。
チエナ軍始まって以来の完敗だった。
流石にチエナ国内もこの皇太子を警戒しだした。
しかし、この皇太子は何を考えたのか、今度はチエナと交流を始めてくれたのだ。千人近い留学生を帝国から送り込んできたのだ。なおかつ、自ら王都に留学してきたのだ。
俺は怪しいと思った。
あの誰にも媚びない皇太子が帝国の学園では袖にしていたホンファ王女とも踊ったのだ。
絶対に何か企んでいる。
俺はそう主張したが、チエナの上層部はその皇太子の取り込みを図ったのだ。
ホンファ王女と結婚させようとした。
そのためには皇太子が溺愛しているという前皇后の連れ子が邪魔になる。
俺も皇太子のむアキレス腱はその連れ子だと見た。
俺と上層部の意見があったのだ。
しかし、暗殺に差し向けた者は尽く阻止されてしまった。
連れ子は完璧な布陣で守られているらしい。
でも、連れ子を襲わせたのは我がチエナのえり抜きの暗殺者だったのにだ。
帝国は余程防諜機能がしっかりしているらしい。
暗殺に失敗した上層部は今度はその連れ子をその母の出身国の帝国の属国の王太子と婚約させようと乗り出した。
俺もそれには手を貸した。
そして、それはあっさりと決まったのだ。
俺様たちが拍子抜けるほどに……
そして、ホンファ王女がその事を皇太子に漏らしたら、皇太子は蒼白になっていた。
遠くからそれを見て、俺はこれでうまくいったと思ったのだ。
皇太子は帝国に帰還するとやけ酒三昧になったそうだ。
俺は直ちにフロジーヌにつてを作ろうとしたが、中々フロジーヌの奴らは義理堅かった。
まあ、ぼちぼちやれば良いと思っていたのだが、何故か突然皇太子は帝都から軍を発したのだ。
どうやら自棄になったらしい。
これでこの皇太子も終わりだ。
俺はチエナの暗部を戦場付近に大量に投入した。
そう、万全を期して配置したのだ。
東方10カ国軍必勝の陣形だった。
こちらは10万、あちらは1万しかいないのだ。
それも、何をトチ狂ったか皇太子はただ一騎で突入してきたのだ。
俺は呆れ果てた。
いくら失恋で自棄になっても自殺するような馬鹿だったとは……
いくら皇太子が強いと言っても10万の大軍に一人で突っ込んで勝てるわけはないではないか。
なぶり殺しになるのが落ちだ。
俺達はそうなるだろうと思って大軍に突入していく皇太子を見逃したのだ。
当然のごとく皇太子は大軍に囲まれてなぶり殺しに合うはずだった。
しかし、馬鹿は馬鹿でもその馬鹿はとてつもない力を持っていた。
俺達はその力を見くびっていたのだ。
皇太子は抜刀すると攻撃してきた騎士たちを魔術で弾き飛ばした。
ただひたすら真っすぐに突っ込んで行ったのだ。
あたかも怒る狂った恐竜のように!
「えっ?」
俺は少しまずいかなと思い出した。
その時だ。天幕からこの軍の総司令官のテルナン国王が天幕からフラフラと出てきたのだ。
俺にはそうとしか、思えなかった。
それほど不用心だった。
たしかに騎士たちは囲っていたが、それであの皇太子を止められるのか?
俺は慌てて駆け出したが、間に合わなかった。
「ウォーーーー」
雄叫びをあげた恐竜皇子がその国王めがけて突っ込んでいったのだ。
周りの騎士たちは恐竜皇子の乗った汗血馬に蹴り飛ばされて、恐竜皇子の振り上げた剣の前に国王がいたのだ。
恐竜皇子は剣を一閃させてテルナン国王を一刀両断したのだ。
「テルナン国王を討ち取ったぞ」
恐竜皇子はそう叫ぶとあたり構わず、爆裂魔術を放ちだした。
俺は自分の失態を悟ったのだ。
このままではあの恐竜を止めないと軍は全滅する。
俺は決死の覚悟で恐竜皇子めがけて駆け出した。
しかし、その俺めがけて今度は恐竜皇子が怒って駆け出してきたのだ。
俺はそれを見て一瞬戦慄が走った。
やばい、やられる。
俺は小刀を恐竜皇子に叩き込もうとした。
でも、その前に、怒り狂った汗血馬に蹴り飛ばされていた。
俺は薄れてく意識の中で悟ったのだ。この恐竜にだけは絶対に逆らってはいけないと……
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ちょくちょく閑話あげていきます。
本日絶賛発売中のこの小説の第二巻がコミックシーモア様から先行配信されました。
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』リブラノベル
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で……
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。
【本日シーモア先行配信はこちら、3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
詳しくは10センチ下に載っています。
ぜひとも手にとって頂ければ嬉しいです
新作も読んでもらえたら嬉しいです。
『男爵令嬢に転生したら実は悪役令嬢でした! 伯爵家の養女になったヒロインよりも悲惨な目にあっているのに断罪なんてお断りです』
https://ncode.syosetu.com/n7673jn/








