気付いたお義兄様は私にとても過保護になって、膝の上で二人で食べさせ合いをしてしまいました
お義兄様はその日一日寝ていた。
本当に能天気だ。
まあ、元はと言えば拐われた私が悪いんだけど。
私を追いかけて寝る間も惜しんで駆けてくれたのだ。
仕方がないと諦めよう。
お陰で私は、皆から散々グチグチと王都を破壊したことについて文句を言われていた。
特に復興担当のマルクスお義兄様に!
その横で婚約者のセッシーがうんうんと頷いているんだけど、あんたはいつもこちら側で壊す方でしょう!
そう文句を言ったらあんたと一緒にしないでよ。
と怒られてしまった……
「あまりにネコ被っていたらマルクスお義兄様にバラすわよ!」
私が小声で言うと
「そんな事したら判っているんでしょうね!」
と逆に脅されたけれど……、私のお義兄様は私の事は何でも知っているから隠すようなことはないのだ。
子供の頃のあんなことやこんな事まで知られているんだから……
自慢できない……よくこんなのをもらってくれるとお義兄様は言ってくれた。私は少し嬉しくなった。
うーん、そう言えば、マルクスお義兄様のことはセッシーの知らないこともたくさん知っているわ。
私が嬉しくなって話そうとしたら、怒っていたマルクスお義兄様が急に静かになったのだ。
「復興の邪魔になるからさっさとどいてくれ」
そして、強引に部屋から追い出されたのだ。
私の瞳に不吉なものを感じたんだろうか?
マルクスお義兄様のおねしょしたり、お義兄様にしたいたずらした時に庇ってあげたこととか、まずいと思うことはいやほど知っているのに!
残念だ。
翌日お義兄様が目を覚ましてからが大変だった。
「エリ! 無事だったか」
そう言っていきなり私に思いっきり抱きついてきたのだ。
「お義兄様、苦しい、苦しいから」
苦しんでいる私を駆けつけてきたアリスがやっと剥がしてくれた時は、私は気絶する寸前だった。
「悪い、悪い、ついきつく抱きしめすぎた」
お義兄様は謝ってくれたけれど、本当に程々にしてほしい。
それでなくてもお義兄様は馬鹿力なんだから!
でも、その後もずうーっと私はお義兄様に抱きかかえられているんだけど……
ちょっと待ってよ!
これ、なんていう恥辱プレーなのよ!
地方から次々にチエナの領主たちが本領安堵と命乞いにやってくるんだけど、その間中、私はお義兄様の膝の上にいさせられたのだ。
領主たちは入ってくるなり、ぎょっとしてこちらを見てくれるんだけど……本当にやめてほしい。
「良いではないか。拐われたエリのお陰でチエナを併合できたのだから」
お義兄様は変なことを言ってくれるんだけど……
確かに私が拐われたことで怒り狂ったお義兄様とお義父様がチエナ侵攻を決めたのは事実だけど、私をお義兄様の膝の上で抱っこして、挨拶に来た領主たちに見せる必要があるのか?
いやこれ絶対に恥辱プレーだから。
私は何度も降りようとしたんだけど、お義兄様は許してくれなかった。
これに対してはローレンツお義兄様もマルクスお義兄様も呆れた顔をしていたが、何も言わなかった。
「俺とエリの仲を見せつけるのにこれほど判りやすいことはないからな」
お義兄様はこう言うんだけど、確かに領主たちはどれもこれも着飾った娘を連れてきていた。中にはお義兄様がロリコンだと勘違いしたのか、それともたまたまいなかったからか幼い少女を連れてきた領主までいた。
そう言う領主たちはお義兄様の膝の上に私がいるのを見て、皆ぎょっとした。
流石にお義兄様と膝の上にいる私の目の前で自分の娘を側室にしてほしいとは言えないみたいだった。
慌てて横を見るとマルクスお義兄様の横にもちゃっかりと婚約者のセッシーがいて、彼女は何か言いたそうな領主とその娘にギロリと睨みつけていたのだ。
流石に不機嫌なセッシーの前で余計な事は言えなかったみたいだ。
そして、今度は婚約者のいないローレンツお義兄様を見てニコリと笑うのだ。
「ローレンツ殿下。恭順の証にぜひとも娘をおそばで使っていただければと思うのですが」
皆判でついたように同じ言葉を言って来るのだ。
お義兄様はそのたびに
「いらん」
と断っていたけれど。
「皆、見た目が優しいからかローレンツお義兄様の侍女に娘を出したがるのね」
「馬鹿か。お前は。俺一人相手がいないから皆、俺の相手にと娘を差し出したがるのだ」
ローレンツお義兄様に聞いたら即座に言われてしまった。
「えっ、お妃様にってこと」
「それもあるが、身分の低い領主は流石に妃には出来ないから、側室か今宵の伽にどうですかって言っているんだ」
「と、伽ってあれ?」
私は真っ赤になった。
一夜の相手に娘を差し出すってことなの?
「そう言うことだ。だから俺はエリを膝の上に抱いているんだ。こうしていれば誰も何も言ってこないだろう」
それはそうだけど、でも、謁見の間で膝の上に座っているっていうのはそれはそれで痴女みたいじゃない!
私はそう思ったけれど、お義兄様は怒った顔は怖いけれど、この帝国の皇太子なのだ。
女を献上したいっていう、貴族も多いはずだ。
お義兄様が他の女とそう言う関係になるのは嫌だ。
仕方無しに、それからもお義兄様の膝の上で我慢したのだ。
でも、何故かお昼の時もお義兄様は私を離してくれなかった。
そう、お義兄様の膝の上に座らされて、食べさせられたんだけど……
皆の視線がとても生暖くて、私は真っ赤になっていた。
「エリ、これはうまいぞ」
お義兄様は肉料理を一口まず食べてくれた。
「えっ、本当に?」
私は切り分けてくれたお義兄様のホークの前に思わず口を開けてぱくりと食べてしまったのだ。
「本当だ。美味しい」
私がお義兄様に微笑むと、
「そうだろう。じゃあこれはどうだ?」
横の肉料理も切り分けて口に入れてくれた。
「あっ、これも美味しい」
私は喜んで言うと、
今度は私が切り分けてお義兄様の口の中に放り込んで上げた。
「美味しいでしょ」
「本当だ」
お義兄様は私に微笑んでくれたのだ。
食事はとても美味しくて、周りの生暖かい視線は無視して、思わず二人だけの世界に入ってしまったのだ……
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
これにて一応完結です。ssはちょくちょくあげていきます。
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