チエナ国王視点 恐竜皇子がバタリと倒れてくれました
俺はチエナ王国の国王である。
このチエナ4000年の歴史ある由緒ある王国の中で一番偉い国王なのだ。
誰がなんと言おうと!
どこのどいつだ?
チエナの真の国王が俺様の母のズハン王太后だなんて言う奴は!
断じてそんな事はない。
朝議も毎朝、俺を中心に執り行い、朝の遅い母は絶対に参加しない。
そう、朝議には国王の俺様しか出ていないのだ。
内務、外務、財務、商務の各大臣が献策しそれを国王の俺様が決済していくのだ。
母が口出ししてくることはめったにない。
そう、めったにないことなのだ……
たまに母の懐刀の女官長が昼から俺の前にやってきて、グチグチ言い出す時はある。
そう言うときは適当に聞いてやって、誤魔化すのだ。
笑って誤魔化せたことはないが……。
大体、俺様が根負けして、大臣を呼び出して決め直すことになるのだが……
そんな事はめったにないのだ……
そう、建前上はそうなのだ。
建前上は俺様が国王なのだ。
チエナは大国で我が国からちょっかいを掛けない限りは攻めて来る国はないはずだった。
そんな中で、俺様はたまに母のわがままを聞きつつ、国王としてどんと構えていたら全てはうまくいくはずだったのだ。
当然国王の父の生きている間は、父が絶対だった。
俺は何度、側妃の陰謀で、王太子を廃されそうになったことか。
そして、父が死に俺が国王になると、それまで散々側妃に煮え湯を飲まされていた母は、側妃の手足を切り刻んで人豚としてトイレに放り込んでくれた。
なんて人非人なことをするんだと一部王臣共は憤ったものもいたが、廃されそうになった俺としては、天罰だとそんなに気にもしなかった。
それまではだ。
それが母が帝国と争い出したのだ。
そこからおかしくなった。
我がチエナ王国はこの大陸では数代前までは大陸最強の国家だった。
ただ、その少し前から帝国が勢力を伸ばしだしたのだ。そして、数代前からはチエナよりも力を持ち出したのだ。
父の治世の頃は既に帝国の方が力は完全に上だったが、帝国は我が盟邦の東方10カ国と争っており、我が国は東方10カ国を援助していた。
東方10カ国が争っている間は問題なかった。
帝国は到底我が国に侵略する余裕はなかったのだ。
それを恐竜皇子が東方10カ国を力ずくで占拠してしまった。
俺は国王になってまだ5年ほどしか経っておらず、有効な手を打てなかった。
手を打つ間もなく占拠されたのだ。
そんな帝国の恐竜皇子に、母は我が娘のホンファを輿入れさせて支配させようと画策を始めたのだ。
皇子に近い連れ子が母のライバルだったロザンヌ公爵夫人の孫だったというのもあるみたいだ。
そして、母たちは連れ子の小娘に手を出しだしたのだ。
俺としては止めてほしかった。何を好き好んで恐竜皇子の怒りを買う必要がある?
恐竜皇子の興味を南方や西方に向けされば良いのだ。
何もそれを怒らせて北方へ向かわせる必要はないはずだ。
俺は何度も母と娘にはそう言ったのだ。
でも、母も娘も聞いてくれなかった。
連れ子に手を出して恐竜皇子を激怒させたばかりに、サンタルの王太子は恐竜皇子に抹殺されて国は併合された。連れ子を誘拐して恐竜皇子の尻尾を踏んだAAAは完全に壊滅させられたのだ。
恐竜皇子の配下の者達に地の果てまで追い詰められて。
連れ子は触れてはいけないのだ。恐竜皇子を怒らせて、まともにチエナが勝てるとは思えなかった。
俺様が散々進言したのに、母と娘は連れ子に手を出してくれたのだ。
俺はそれを聞いて頭を抱えてしまった。
母は「大丈夫じゃ」
の一言で済ませてくれたが……
どこが大丈夫なのだ?
史上最強の巨大要塞ウーハンは何故か連れ子によって壊滅。
その先のバイインは怒り狂った恐竜皇子に殲滅。
ナンジンに至っては我が支配化にあった古代竜までもが恐竜皇子に迎合して反逆、二匹して暴れてナンジンの巨大都市を廃墟と化してくれたのだ。
だから、連れ子に手を出すなと言ったのに!
帝国軍は国境地帯から大挙して雪崩込んで、着々と我が領地が占拠されている。
果ては我が自慢の海軍までもが殲滅されたのだ。
そして、母はなんと、連れ子を水竜の餌にするために水槽に落としたのだ。
「止めてくれ!」
俺は余程叫びたかった。
そんなのを恐竜皇子が知れば、絶対にこの王都ベイジンを廃墟に、王侯貴族は残らず皆殺しにされてしまう。俺等は恐怖に震え上がった。
それ以前に王都は恐竜皇子が攻めてくると知った領民どもが大挙して家財道具を持って逃げ出していた。
俺も逃げれば良かったと思っても後の祭りだ。
ココで怒り狂った恐竜皇子に惨殺されて我が王国は終わるのか? 俺様は呆然とした。
しかしだ。この連れ子も何故か強かった。
水竜は落ちた連れ子を食べるところか、恐怖していきなり自ら飛んで出てきたのだ。
ドカーーーーーン
という大音響とともに俺様の足元から飛んで出てきたのだ。
俺は地面とともに弾き飛ばされて地面に叩きつけられた。
俺が次になんとか気づいた時だ。
母に捕まった連れ子の前に、恐竜皇子が怒り心頭で仁王立ちしていた。
しかし、次の瞬間、転移したワンの剣が恐竜皇子を貫いていたのだ。
血潮を吹き出して……
しかし、それを見ても俺は信じられなかった。
何しろ恐竜王子は不死身だという噂があったのだ。
ドカーーーーン
次の瞬間、ワンは爆裂魔術で剣もろとも吹き飛ばされていた。
そして、平然と恐竜皇子が立っていたのだ。
ダメだ。やはり剣で刺されたくらいでは恐竜王子は死なない。
清められた銀の十字架くらいを突き刺さないと……
「動くな、この娘が死んでも良いのか」
母が叫んでいる声が聞こえた。
そんなのが通用するわけはない。
何しろ相手は恐竜皇子だ。小娘を除いて魔術をぶっ放すくらい訳ないだろう!
俺は死を覚悟した。
これで終わりだと……
しかしだ。しかしなのだ。
恐竜皇子はニヤリと笑ってくれた。
そして、バタリとその場に倒れてくれたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
9/20明日第一巻『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』シーモア以外の全ての電子書籍取扱店で発売開始です。
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