古代竜・水竜の餌にするために海の中に放り込まれました
私はがんじがらめに縛られてズハン王太后に引っ張られて転移した。
今度は手に噛みつこうにも口に猿ぐつわをはめられて、噛みつくことも出来ず、何も出来ないまま、チエナの王宮の地下室に転移したのだ。
ドン
転移すると同時にズハン王太后は倒れ込んでしまった。
「おのれ、連れ子の分際で王太后様に何をした?」
先に転移して戻っていた男が叫んで私の襟首を掴むんだけど……
「ううううう(何もしていないわよ)」
私は叫び返したが、猿ぐつわが邪魔で話せない。
「女、王太后様に何をしたのだ?」
猿ぐつわを男が外してくれた。
「何もしてないわよ!」
私は今度はちゃんと言えた。
「嘘を言うと為にならんぞ!」
男が私の襟首を更に締めてくれた。
手足をがんじがらめに縛られて私は抵抗しようもなかった。
「してないったら、苦しい」
私が叫ぶ。
「ワン、そ、の、小娘が重かっただけじゃ」
はあはあ、呻きながらズハンが言ってくれたんだけど、淑女に対して重すぎるって何よ!
私は切れた。
「あなたに比べれば軽いわよ」
思わず言わなくてもいいことを言ってしまったのだ。
「小娘よ。なにか言ったか?」
私の言葉にズハンがギロリと目を向いたのだ。
「いえ、何も」
私はその怒った顔に恐怖を感じて、思わず前言を撤回した。
「はああああ! その方、妾を重いと言ってくれたな」
しかし、ズハンはニヤリと笑ってくれた。
これはだめな奴だ。私のバカ!
お義兄様が来るまで後少し時間稼ぎしなければならなかったのに!
ここは絶対に黙っていないといけなかったところだった。
「滅相もありません。そんな事は」
私は必死に言っていないアピールをした。
だってここはなんとしてもお義兄様が駆けつけてくれるまで、我慢しないといけない。
ズハン王太后におもねらないといけないのだ。
自分の体重が重いと言われて、思わず言い返してしまったのが、間違いだった。
私は今もがんじがらめに縛られているのだ。
何かしてくださいとまな板に載せられた鯉そのものではないか!
何としてもお義兄様が来るまで粘らないと……
「もう遅いわ」
きっとしてズハンは私を睨みつけた。
「愚かなその方のせいで、ウーハンの要塞は壊滅、バイインの要塞都市も廃墟と化して、ここに大都市ナンジンまで、灰燼としてくれた」
いや、待って、確かに少しは私がやったけれど、大半はお義兄様だって!
私は口で話すとまた何を言うかわからないから必死に首を振ったのだ。
「その上、妾のことを重いなどと宣ってくれた。勇気ある小娘よのう」
ニタニタ笑ってくれたけれど、目が笑っていない。
「ワンや、妾に生意気な態度を取った側妃はどうなったかのう?」
「はい。ズハン王太后様に逆らった愚かな側妃は手足を切り取られて人豚としてトイレに放り込まれました」
男の冷静な声に私は青くなった。人豚って噂に過ぎないと思ったのに、事実だったのだ。
流石に人豚になるのはいやだ。
私はブルブル首を振ったのだ。
「もう遅いわ。ワン、その小娘の両手足を押さえさせろ」
「キャーーーー」
私は必死に悲鳴をあげた。こうなったら何ふりなんて構っていられなかった。
男達が襲いかかってきたが、縛られた両足で、セッシー直伝の金○つぶしを二人の男にお見舞いしてやった。
ワンとかいう男も、股間を押さえて悶え苦しんでいた。
ふん、ざまわみろ!
私が思った時だ。
更に次のターゲットを探しまわっていたが、むんずと後ろからズハンに捕まってしまった。
やばい! 私は絶体絶命だった。
「申し上げます」
そこへ伝令が駆け込んできた。
来た! お義兄様が来てくれた!
私は喜んだ。
「どうした?」
「はっ、敵帝国の艦隊に向かった我が艦隊が殲滅されました」
「何じゃと、帝国の艦隊など寄せ集めの烏合の衆じゃろう! 水竜もつけていたはずじゃ。何故負けたのじゃ?」
ズハンはきっとして伝令兵を睨みつけた。
「その水竜が何故か急遽反転逃げ帰って来たのです」
ズカーン
その声とともに王宮が大きく揺れた。
「どうしたのじゃ?」
「帰ってきた水竜が興奮して暴れております」
ダーン ダーン
何か巨大なものが壁にぶち当たっているような音が聞こえた。
「母上、何事ですか?」
そこに正装した男が駆け込んできた。
「これは陛下。水竜が餌を前に喜んでおりますのじゃ」
ズハンはニコリと笑ってくれた。
これがチエナの国王なの?
でも今はそれどころではない。
「餌って何?」
私は不吉な悪寒を感じた。
「怒り狂っている水竜を収めるには魔力量の多い人間を餌にしてやれば宜しかろうと思います」
私はそう言うズハンに引きずられた。
必死に逃げようとしたが、どこにそんな力があるのかというくらい、ズハンの力は強くて逃げられなかった。
地面がガラス張りのところが見えた。
下は海と繋がっているみたいで、そこには怒り狂った水竜が見えたのだ。
ええええ! 生きたまま餌にされるのは嫌だ!
私は必死に抵抗しようとした。
「お義兄様!」
私は大声で助けを呼んだ。
でも、誰も助けは来なかった。
「そうそう、精々泣き叫べば良かろうて。貴様の兄の恐竜皇子もこの最強の水竜の餌になってしまうがの」
ズバンはニヤリと笑ってくれたのだ。
「ちょっと、止めなさいよ」
「生意気な貴様はココで餌になって死ぬのじゃ」
「いや、お義兄様!」
私は心の底からお義兄様を呼んでいた。
しかし、その時、私を支えていた地面がいきなり消えて、私はドボンと怒り狂ってた水竜の眼の前に放り込まれたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
このお話の第2巻
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました【シーモア限定特典付き】』 古里/おだやか
この話に出てくる水竜をエリーゼとお義兄様たちが退治しに行く2万字超の新規描き下ろしが掲載してます。
コミックシーモアで9/25水曜日先行配信開始です。予約は今からできるので宜しくお願いします。
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/
アマゾン等は10/19発売予定です。
https://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B0DGQ7J6VH/
またシーモアで絶賛発売中の一巻は『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
アマゾン等で9/20発売予定です。
お楽しみに!








