帝国第三皇子の独り言 チエナ海軍を殲滅しました
チエナは本当に馬鹿だ。
巷では、大陸で絶対に逆らってはいけない竜が3匹いると言われている。
1匹目が古代竜の火竜。これは兄上とエリが小さい頃帝国から追い払った。
2匹目はセシール湖にいた古代竜の水竜。これもブチ切れたエリによって攻撃されて、セシール湖から地底を掘って命からがら逃げ出した。
そして、3匹目はご存知、史上最強の魔術師で剣士の恐竜皇子こと兄上だ。
この兄上に逆らったことで東方10カ国軍は殲滅。
サンタルのエリの元婚約者のボケ王太子は消滅。
そして、今度はチエナがその婚約者のエリを誘拐したのだ。
以前エリを誘拐したAAAは組織そのものが壊滅。今も関係者は見つけ次第鉱山送りだ。
兄上は本当に情け容赦がないのだ。
チエナは実の母上を暗殺、育ての母上も病死させている。
本来ならば兄上の前に殲滅されてしかるべきだった。
しかし、兄上がエリを娶るために、父に東方10カ国に勝てば許してやろうと言われたので、今まで兄は何もしなかったのだ。いや、兄上は東方10カ国を早急に下すために、チエナのご機嫌取りに留学までしていた。
東方10カ国にとっては父の皇帝の約束は本当に災難以外の何物でもなかった。
兄上はそれだけエリに執着していたのだ。
その間にエリはサンタルの王子と婚約してしまったけれど。
その事に怒り狂った兄の前に現れた東方10カ国は、本当に災難だった。
もっとも怒り狂った恐竜の正面に立ち塞がった、10カ国が馬鹿だったのだが……
10万の軍の大半は殲滅されて、テルナンは占領、ピュエラとリセールも占領された。
10カ国が制圧されるまでに3年もかからなかった。
兄上のエリに対する想いは本当に傍目から見ても異常だった。
そんな事言えば殺されるから言わないけれど。
そんな兄上にアプローチしているチエナの王女も本当に馬鹿だ。
絶対に結婚しても見向きもされないのがわかっているのに、アプローチするなんて!
そもそもホンファ王女も、学園時代に散々経験しているはずだ。
何しろ兄はパーテイーであろうとエリ以外と踊っていないのだ。
それが皇太子で良いのかとも思うけれど、俺も婚約者のセッシーとしか踊らない口実になってよかったけれど。そう、俺の婚約者のセッシーは俺の義妹に比べてとてもおしとやかなのだ。
チエナの王女もフリーのローレンツ兄上と仲良くすれば良かったのだ。
それを寄りにも寄って兄上の溺愛するエリを誘拐するなんて。
国を攻め滅ぼしてくれというのに等しい。
何しろ東方10カ国の10万でも兄上の前に手も足も出なかったのだ。
チエナは公称100万の軍があるなどと言っているが、それを言うならば帝国は200万だ。
その軍の先頭に兄上がいて、勝てるわけなんて無いのに。
案の定、ウーハンの要塞はエリによって壊滅。バイインの要塞都市は兄上に依って殲滅。ナンジンの大都市は怒り狂った古代竜と恐竜皇子に依って壊滅させられたのだ。
ナンジンの都市を二匹の恐竜が襲撃して殲滅したという報には俺は思わず笑ってしまったけれど……
都市の人々にしたら大災難だったろう。
なんでも、チエナは古代竜を魅了によって支配下においていたみたいだが、エリの前にその宝玉を破壊されてエリの支配下に入ってしまったみたいなのだ。
ラペルズ王国の進軍とともにガンダーラ王国軍も進軍、1軍を中心とした本体20万はバイイン目指して北上中だ。
その他別働隊の3部隊が国境線から侵攻を始めており、順調にチエナ戦は進んでいる。
そして、東方10カ国で作り上げた水軍1万は俺の指揮のもと、チエナの海軍を破って今王都ベイジンを目指していた。
ただ、王都にはチエナが水竜を支配下においているという報告も上がっていた。
昔エリが追い出した水竜をチエナが飼っているというのだ。
火竜の古代竜みたいに魅了で縛っているのだとか。
我軍は100隻の船を10隊に分けて縦陣で進んでいた。
その前方にチエナの艦隊100隻も現れた。
数は同じだ。このままならまだ勝ち目はあった。水竜がいなければ……
「皇子、大変です。右舷の隊より連絡。水の中になにかいるみたいです」
伝令が叫んでくれた。
「何だと」
俺の背に冷たいものが走った。
やはり敵は水竜を配下においていたのだ。
いきなり右舷を進んでいた戦闘艦が真っ二つに裂けたのだ。
尻尾か背びれで攻撃されたらしい。
「セッシー頼む」
セッシーがすぐに飛び込んでくれた。
しかし、背びれを海面から出した水竜がこちらに急速に迫ってきた。
水面から首を出した。
昔見た水竜だった。
その前にセッシーがいる。
セッシーは水魔術が得意で、水の中では自由自在に動けて、息も出来るのだ。
しかし、相手が水竜では悪かろう!
ここには兄上もエリもいない。
これはやばい。セッシーが食べられる!
「セッシー!」
俺は聞こえないのに婚約者に叫んでいた。
しかし、次の瞬間だ。
水竜の動きが止まったのだ。
上から見るとセッシーは魔除けの人形を突き出していたのだ。
この人形はセッシーがエリに贈ったもので、エリはとても大切にしていたのだ。
どう見ても魔除けの人形だったのだが、後で聞いたらセッシーが兄上をモチーフに作ったらしい。
さすがセッシー、あの兄を魔除けの人形にするなんて……
俺は笑いが止まらなかった。
その魔除けの人形、もとい兄を見て古代竜は恐怖を感じたのか止まってしまったのだ。
どう見ても兄上には見えずに魔除けの人形にしか見えないのだが……
エリは大切にしていたから、エリの匂いでもしたんだろうか?
そして、一目散で逃げ出したのだ。
「おい、止まれ!」
敵艦隊の将軍が叫んでいた。
が、古代竜はそのまま、将軍の船に一直線で泳いでいくと、将軍の船に正面衝突して船が真っ二つに割れて沈んだのだ。
更に周りにいた船を十数隻弾き飛ばして海の藻屑に変えると、慌てて逃げていったのだ。
敵艦隊は旗艦が沈められて大混乱に陥った。
「よし、全軍突撃だ」
俺の合図に帝国の全艦隊が突入した。
旗艦を失ったチエナの海軍は指揮系統を分断されて、組織だった抵抗も出来なかった。
組織だった攻撃をする我軍の前に次々に沈められていったのだ。
我軍の圧勝だった。
この日チエナの海軍のほとんどが殲滅されたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございました
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