チエナの魔術師はお義兄様の怒りの魔術の前に吹っ飛ばされました
「ギャッ」
私は天井から落ちてきた男に、押しつぶされたのだ。
「貴様、何奴だ」
セドリック達が慌てて、駆け寄ってこようとしたが、
「動くな!」
黒焦げになった男は何故かまだ、動けて私の首に刃物のようなものを当てて、叫んでくれた。
「なんであなたまだ動けているの? お義兄様の守護防壁にぶち当たったのに」
私が聞くと
「くそ、そんなものがあったのか!」
なんか男はもうフラフラなんだけど、まだ動いていた。
前のAAAに誘拐されてからお義兄様はますます、過保護になっていて、私の周りに障壁を張り巡らせているのだ。
この部屋にはお義兄様の鉄壁の守りの守護障壁が張られているのに、この男は外部から転移してこようとしたのだ。そんな事をすれば普通は丸焦げになって動けないはずなのに、なんでまだ動けているんだろう?
「ヤン、あなた何やっているの」
マノー男爵令嬢が驚いて叫んでいた。
そうか、こいつはマノーの従者か何かか。扉の外で待っていた者か!
半分お義兄様の障壁の中に入っていて、転移したから、まだ死ななかったのかもしれない。
でも、この短距離転移するって馬鹿なの?
何とか誤魔化して歩いて近づいてくればよかったのに。
そうすればお義兄様の守護障壁にぶち当たることもなかった。
まあ、逃げようとした時にどのみち、ぶちあたったと思うけど……そうなったら一緒に転移されそうになった私も黒焦げになったんだろうか?
お義兄様の障壁なら十分にあり得た。
それは絶対に嫌だ。
「ふんっ、お嬢様は本当にめでたいよ。わざわざ俺をここまで連れてきてくれたんだから」
男が笑ったけれど、目出度いのはお前だと思うけど。
「お前らそこを退け」
男は私を連れてゆっくりと歩き出した。
お義兄様の守護障壁の外に出ようとしているみたいだ。
まあ、私もお義兄様の守護障壁の中で転移して一緒に丸焦げになるのは嫌だ。
でも、ここから出るのも嫌なんだけど。
そう思ったときだ。私達の前に颯爽とセッシーが立ちふさがってくれた。
「あなたその体でここから逃げられると思っているの?」
「うるさい、退け! この女が死んでもいいと思っているのか」
男は叫んだが、
「何言っているのよ。あんたエリを殺すつもりならとっくにやっているでしょ」
セッシーが馬鹿にしたように言ってくれたけれど、ちょっと待って、誘拐犯を刺激しないで!
こいつは体もフラフラで何やるかわからないのだから。
ナイフみたいのが私の首にあたっている。ちょっと痛いから、止めて!
私は心のなかで叫んだのだ。
「うるさい、別に最悪命を奪っても良いと言われているのだ」
「ホンファ王女から?」
セッシーの言葉に一瞬男は頷こうとして止めていた。
「いや、違う」
「ふんっ、今の反応でチエナの者なのは判ったわ」
セッシーが笑って言った。
「うるさい。つべこべ言わずに退け!」
男は叫んでいた。
「皆下がって」
私も叫んでいた。
被害はこれ以上出すわけにはいかない。何しろ急激に迫っているのだ。
「でも、エリーゼ様」
「良いから、部屋から出て」
私は首を振った。皆渋々私から遠ざかる。
「そうだ。皆下がれ」
男も笑って言ってくれた。
「やっと判ったようだな。人質としての役割が」
男は笑って言ってくれた。
なんか男が勘違いしているみたいだ。
私は男のために下がれって言ったのではない。
これ以上の被害を少なくするためにだ。
私の近くにいたら被害に合うかもしれないから、皆に下がれって言ったのだ。
私は大きな力が接近してくるのを感じた。
「さあ、前に出るんだ」
男が言うが、私は無視した。
「お前、なんで動かないんだ」
男がブルブル震えながら、怒り出した。
私は急激に近くなる怒り狂った気配を感じたのだ。
「今すぐ降伏しなさい。今ならまだ間に合うわ」
私は一応忠告してあげた。
「はああああ、何を言っている。それは貴様の……」
「エリ!」
爆発音とともに壁を蹴破ってお義兄様が入ってきたのだ。
完全に怒り狂っている。
「貴様、すぐに俺のエリから離れろ!」
凄まじい怒りのオーラをお義兄様は出していた。
これはまずい。
「お義兄様、落ち着いて」
「貴様。これ以上近づくとこの女が死ぬぞ」
私がお義兄様を抑えようとしたのに、男は余計なことを言ってくれたのだ。
お義兄様が完全にプッツン切れた瞬間だった。
「死ね」
お義兄様から目にも止まらぬ爆裂魔術が放たれて、それは私を器用に避けて男を直撃したのだった。
このお話が本日電子書籍になりました
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に【シーモア限定特典付き】 』
古里/おだやか
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/
下にリンクも張っています
本日電子書籍でコミックシーモア様から先行発売開始です。他書店様は9/20
おだやか先生が可愛いエリーゼとめちゃくちゃ格好良いレオンを描いて頂きました。
感動の1枚です。
レーベルはリブラノベル
私自身二作目の商業作品という事で感激しております。
私がここまで来れたのは小説家になろうで応援頂けた皆様方のお陰です。
本当に有難うございます。
エリーゼがお義兄様と行くダンジョン探検の二万字超の新規書下ろしと
シーモア限定SSシャロットの独り言付きです。
シーモア様とでは現在初回登録70%オフのキャンペーンもしていらっしゃるので、まだ登録していらっしゃらない方は格安で、登録済みの方もおだやか先生の素晴らしい表紙絵と校正された本文と更に面白い電子書籍限定新規書下ろし、プラスシーモア特典SS付となっておりますので、お得感満載
是非とも購入いただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします。








