頭上からいきなり男が降ってきました
「なあ、エリ、いい加減に機嫌を直してほしいんだが」
私の横でお義兄様が言うんだけど。
「ふんっ」
私は明後日の方を向いたのだ。
ここは私の居間だ。
壊れていたお義兄様と私の寝室の間の扉はセドリック等によってあっさりと修理されてたので、お義兄様はちゃんとした入口から入ってくるしか無くなった。
そこで毎日のようにお義兄様が日参してくる。
でも、私は大きなシャロットの胸の中に埋もれたお義兄様のほうけたような顔がいまだに忘れられないのだ。
ふんっ、私もいずれ大きくなるもん!
小さい時からお義兄様にまだ全然だな、とかお子ちゃまだなとか散々からかわれてきた手前、私は胸のことにはとても敏感になっていた。絶対にそう簡単に許さないと決めていたのだ。
「今日は、宮殿のシェフに頼んで、シュークリームを作ってもらったんだ。ほら、エリも好きだろう」
お義兄様が私の眼の前にシュークリームの乗ったお皿を差し出してきたんだけど……
「いらない!」
私は首を振った。
いつもいつもお菓子で釣られる私ではないのだ。
「そうか、これ、いろんなクリームが入っていてとても美味しいのだが」
お義兄様がそう言ってシュークリームを半分に割ってくれた。
中からとろ~りとしたクリームがあふれるのが見えた。
とても美味しそうだ!
思わず唾液が口の中に広がるのを感じて私はゴクリと喉を鳴らしてしまった。
駄目だ駄目だ。私は慌てて首を振った。
それを見てお義兄様がニコリと笑った。
「これは本当に美味しいんだぞ」
そう言ってお義兄様は更にちぎって大きさを私の一口分にして、私の口元に運んでくれたのた。
思わず口を開けてしまって……
「申し上げます」
そこに伝令が飛び込んできたのだ。
私は慌てて口を閉じた。
危ない危ない!
もう少しで食べてしまうところだった。
私はホッとした。
「どうした!」
めちゃくちゃ不機嫌なお義兄様の声が響いた。
「マブリーから至急の連絡が入っております」
それにもめげずにジェミリーさんが報告した。
「くそっ、あと少しだったのに。判ったすぐ行く」
お義兄様はまた来ると言い残して慌ててジェミリーさんと出て行ったのだ。
「ふうっ、危なかったわ」
私はホッとした。
「あいも変わらず、食べ物に釣られるのね」
私の後ろから声がしたのだ。
慌てて後ろを見ると呆れ顔のセッシーと今回の元凶のシャロット等がいたのだ。
「うるさいわね。釣られていないでしょ」
私の文句に生暖かい視線で皆見つめてくれた。
「それに世間で恐れられている皇太子殿下の前であれだけわがまま言えるって本当に凄いわ」
元凶のシャロットまで言ってくれるんだけど。
元々胸のでかいあんたのせいよ!
思わずそう言いそうになったけれど、また皆してからかわれるのは目に見えて判ったので、私は話題を変えることにしたのだ。
「あなた達、いつからいたのよ!」
私が驚いて聞くと
「皇太子殿下があんたにシュークリームを出したあたりからよ。アリスが案内してくれたの」
「ちょっとアリス、勝手に入れないでよね」
セッシーの答えに私が文句を言うと、
「セシール様は止めてもいつも入られますから」
アリスが諦めたように言った。
「でも、シャロット等もいたじゃない!」
「まあまあ、エリ。元々今日は私達と会うはずだったじゃない」
私の文句にセッシーが言い訳してくれた。
「あんたらが来るのが遅いからお義兄様が入ってきたのよ」
私が文句を言うと、
「私達がいてもレオンハルト様はいつも入ってくるじゃない! それに今日はサンタルのマノー元子爵令嬢も連れてきたから、入口で少し時間がかかったのよ。手荷物検査で少し時間がかかったのよね」
シャロットが言い訳してくれた。
マノー子爵令嬢は確か、サンタルの人間で、王宮で侍女見習いの経験があるからどうかという話だったのだ。
たしか、卒業パーティーで私を貶める発言の証言をしていたと思うけれど、その父は今サンタル国の元大使で今は執政官の一人のレトラの下で頑張って働いているそうだ。
一人の女が跪いてくれた。
「マノー子爵、いえ、男爵令嬢のアレットです。卒業パーティーの時は嘘の証言をして大変申し訳ありませんでした」
マノーが謝ってきた。
「良いのよ。マノーさん。私は気にしていないから。あれから大変だったんでしょ。ご家族の皆さんは元気にしておられるの?」
私が聞いていた。
「はい。エリーゼ様と皇太子殿下の温情のおかげで、無事でございます。重ね重ね本当にありがとうございます」
「私は何もしていないわ。したのはお義兄様よ。お礼はお義兄様に言ってね」
「はい。それはそうですが、元々エリーゼ様が私達の事をとても気にして頂いていたとお伺いしまして、家族一同感謝いたしております」
「もう良いわ。堅苦しい挨拶はそのくらいで。席について頂戴」
私は一同に席につくように促した。
一瞬どの席についたら良いかマノーは戸惑ったみたいだった。
その瞬間だ。
ズカーーーーン
爆発音が頭上でしたのだ。
「えっ?」
私は慌てて天井を見ると真っ黒になった男が降ってきた。
男は私の真上に落ちてきたのだ。
避ける暇もなかった。
私はその男に押しつぶされていたのだ。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
エリーゼの運命や如何に?
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明日、8月26日についにこの話の電子書籍がコミックシーモア様よりリベラノベルで先行配信されます。
本文にエリーゼとお義兄様の小さい頃の大冒険の二万字超の新規書下ろし プラス シーモア特典として3千字超のssつけてます。
9月20日(金)kindleなど他書店でも配信予定です。
素晴らしい表紙絵はおだやか先生に描いて頂きました。
詳しくは下記。
是非とも読んで頂ければ幸いです。
毎日更新中の『傭兵バスターズ』も宜しく。
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