亡国の姫君視点 連れ子様に全てを捧げようと思いました。
私はライーサ・マブリー。レオンハルト様に滅ぼされた亡国の元王女だ。
私の母は東方では大きなテルナン王国の公爵家の娘だった。
まあ、公爵家の娘と言っても側室の娘だったが、それでも、テルナン王国が健在の時は私も母も大切にされていた。
しかし、テルナン王国が滅ぼされると雲行きが怪しくなった。
父がチエナの伯爵家から嫁いできた側室だった女を、正室にしたのだ。母は側室に落とされてしまった。母は唖然としていた。
そして、マブリー王国が帝国の属国になった時に、私が人質として帝国に送られたのだ。
「ライーサよ。出来たらレオンハルト皇子の気を引くのだ。貴様ほどの美貌なればレオンハルトの気を引くのも容易かろう」
父はそう言って私を送り出してくれた。
我が東方10カ国は歴史があり、また古くから大国チエナと交流があった。
その我が国が野蛮国と蔑まれた帝国に屈したのだ。
完全な体の良い野蛮国への人質だった。
「お姉様は帝国の恐竜皇子への生贄ね。下手したら貪り食べられるかもしれないわ」
現正室の娘で私の腹違いの妹のエリザが私に笑って教えてくれた。
そうだ。恐竜皇子は恐ろしい。
東方10カ国の大軍が一瞬で殲滅させられたのだ。私のテルナンの公爵だったお祖父様も戦いの中で一瞬で殺されたという。
そんな恐竜皇子への捧げ物にされたのだ。
私は帝国の宮殿についた時も、恐竜皇子への生贄になる覚悟を決めていた。
でも、夜になっても誰もやってこなかった。
翌日、代わりに可愛い子供がやって来た。彼女はエリーゼと名乗った。
帝国に皇女がいるとは私は聞いていなかった
後で聞いたところ、皇帝の先の妃の連れ子だという話だった。
「ライーサ様。何か困ったことがあれば何でも言ってくださいね。私のことはエリーゼとお呼び下さい」
その女はとても丁寧だった。
「有難うこざいます。エリーゼ様」
私はどう呼べばよいか判らなかったが、取り敢えず様呼びした。
私も属国とはいえ、一国の王女だ。皇帝の連れ子をなんと呼んでよいか判らなかった。
でも、私に真っ先に挨拶しに来てくれたのだ。
この子がこの宮殿の後宮を支配しているのかもしれない。
迂闊な呼びかけは出来なかったのだ。
私はそれが正解だったと後で知った。
なんとエリーゼは連れ子とは言え剣聖の娘だったのだ。帝国の重鎮ロザンヌ公爵家の一員でもあった。
私はその後開かれたパーティーで恐竜皇子がそのエリーゼを溺愛しているのを、初めて知ったのだ。
世間で恐れられている恐竜皇子は私達女性陣を全く顧みず、エリーゼしか見ていなかった。
それによく見ると恐竜皇子は見た目はとても麗しいのだ。
帝国では恐竜皇子を取り合って皆騒いでいた。
でも、恐竜皇子は全く相手にしなかったのだ。
そして、あろうことかそのパーティー会場で皆の前でエリーゼとキスしてくれたのだ。
信じられなかった。
私は少しホッとした。
これで抱かれる心配はないと。
でもその後に大変なことが発覚したのだ。
母国の裏切りだ。
マブリー王国が反乱を起こしたのだ。
私は真っ青になった。
そして、私が兵士たちに部屋に踏み込まれた時、侍女たちは既に逃走していなくなっていたのだ。
完全に見捨てられた私は騎士たちによって地下牢に入れられた。
私は命の危機を感じた。
ここは野蛮な帝国だ。
母国が裏切ったのだ。当然人質は裏切ったら殺されるしかない。
私は半狂乱になりそうになったが、もうどうしようもなかった。諦めるしかなかったのだ。
でも、その時だ。いきなりエリーゼが来てくれたのだ。
「ごめんなさいね。あなたをこのようなところに入れて」
「いえ、仕方のないことですから」
私はエリーゼに首を振った。でも、皇帝にも大切にされているエリーゼが何故こんなところに来たんだろう? 私には良く判らなかった。
「あなたには私の侍女をやってもらいたいの」
私はエリーゼが何を言っているか良く判らなかった。
「エリーゼ様。私はマブリーの王族ですよ」
「そうよね。王族を侍女にするなんて無謀よね」
変なところを気にしてくれたのだが、
「いえ、そうではなくてですね。私なんかを侍女にして良いのですか?」
私はエリーゼに聞いていたのだ。
「私の傍が一番安全だと思うの。申し訳ないけれど侍女をしてくれる」
私は逡巡した。
このままここにいたら殺されるしかないだろう。
エリーゼの傍で侍女をさせてもらえるという事は命を守ってもらえるということだ。
私は信じられなかった。
出来るかどうかは判らないけれど、取り敢えず、頷いたのだ。
でも、思ったよりもエリーゼの侍女は大変だった。
基本はアリスしかいないのだ。それに何も判っていない私が入ってきたのだ。アリスも大変だったと思う。
私は私なりに必死に働いた。
マブリー王国軍は恐竜皇子の前に殲滅された。
父は戦死だった。
恐竜皇子に逆らったらそうなるのは火を見るよりも明らかだったのに、父はチエナに踊らされたのだ。
でも、なんと、エリーゼは母の命を助けてくれたのだ。
私には信じられなかった。
本当にあまちゃんだ。
でも、私の恩人でもある。
私はエリーゼに一生涯ついていこうと思った。
私の境遇を憐れんで、いろんな貴族達が人を介して私に接触してきた。遠い親戚のチエナの貴族も多かった。
でも、私は全ての人と会うのを遠慮した。
私を助けてくれたエリーゼに遠慮したというのもあるし、人手が足りずに会う暇もなかったのだ。
そんな私にチエナの王女の脱獄疑惑がかかった時には驚いた。
私にはそんな事をする暇なんて無かったのだ。
でも、確たる証拠が出てきた。こうなったら私は連行されるしかないだろう。下手したら拷問されるかもしれない。帝国の拷問は過酷だと聞いた事があった。
私が恐怖に震えていると、なんとエリーゼが私を庇ってくれたのだ。
あろうことか、私と一緒に近衛の詰め所に行ってくれたのだ。
そこまでしてくれるなんて信じられなかった。
その上、その友人を使って私の無実を証明してくれたのだ。
私はそこまでエリーゼが私を庇ってくれるとは思ってもいなかったのだ。
エリーゼは恐竜皇子に何を言われても全く動じなかったのだ。
皇帝と皇太子に唯一言うことを聞かせられる存在。それがエリーゼだと改めて思い知った。
見た目は可愛い女の子なのに、この芯の強さはどこから来るんだろう。
私は一生涯このエリーゼに全てを捧げる覚悟をした。
そして、私はエリーゼとその側近に、私が今まで話してもいなかった機密事項や私に声をかけてきたチエナの人間とその関係者のことを包み隠さず全て話したのだ。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
ライーサのお陰でチエナの暗部の動きが少し明らかになりました。
どう出るチエナ? そろそろチエナの作戦開始です。
続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
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