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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人気キャラを死なせる悪癖漫画家がキャラのガチファンに殺されたら自分の漫画の世界に転生しました。己が死なせた人気キャラですが、何か?

作者: 山田広

自分で言ってはなんだが、かなり売れてる漫画家だった。

大手少年誌で連載していて、安定してアンケートは票が入っていたので急に打ち切りになる事は無かった。

出版社の別雑誌にも色々作品を掲載していたから、漫画家人生で結構な単行本を出したものだ。

自分の代表作ともいえる10年週刊誌で連載していた漫画はそこそこ巻数があったのも関係してるが、かなり売り上げた。アニメ化もした。実写化もした。舞台化もした。国民的ブームな作品は無かったが、日本国内で名前を言えば結構な人が知っていると答える知名度の漫画だった。

そして、俺は、脅迫状がよく来る漫画家だった。


『人気キャラ殺しの漫画家』とは俺の事だ!


いやはや、ストーリーも発想も絵もコマ割りもキャラも評判なのだが、人気キャラを殺してしまう悪癖があったんだ。

ちょっと、魔が差しちゃうんだよ。


人気キャラの死にキレた読者がよく脅迫状を送ってきた。五寸釘がぶっ刺さった藁人形も何体も送られてきた。

警察にはちょくちょくお世話になりました。勿論匿名だから差出人は見付からない事が多い。

主人公すら途中で殺してしまった時は炎上したね。でもその後のストーリーは自分ですら面白いと思ったし、結構評判が良かった。(因みに主人公は生き返りもしなければ、幽霊としても登場してない)


エゴサするタイプの漫画家で、掲示板とかよく覗いてたから、ネット民がキャラアンケを操作しようとしてるのも察して、本来の人気キャラではないキャラが一位票が入ってたとしても、ちゃんと本来の人気キャラを凄絶に死なせた。

歴代の担当は面白がって止めなかったので奴らも共犯だろう。何なら、とある女担当者は『この方を綺麗なまま死なせてください』と頼んできた程だ。


まぁ、何だかんだで漫画家歴30年。

そこで週刊誌で連載を始めた漫画がかなりのヒットを飛ばした。このまま行けば国民的大ブーム起こるんじゃね?というぐらいまで行った。


完結はまだ先だったんだ。

これからもっと面白く、胸熱展開を考えていたんだ。

だけど、だけど、





「イズハ様の仇!!!」






イズハ・ルイは先日の掲載の最後で死んだ、一番人気キャラだった。

主人公では無いが、1話から登場するキャラで、ネットでは『・・・奴は殺るな』と直ぐにファン(?)達に察せられたぐらいキャラだちしていた。

中々俺が殺さないので、ネット民達はザワザワしていたが、このまま死なないのでは?説が出てきて、物語がヒートアップして、皆がストーリーに飲まれてるところに今回のイズハの死だ。

今までで1番、かっこよくて、感動的で、哀しい死だった。


イズハという男に魅せられる死に方だった。




まさか、イズハのガチ恋ちゃんに殺される何て・・・




しかも、それが一般のファンではなく




『この方を綺麗なまま死なせてください』と違う漫画キャラの殺害にGoを出した元担当者の女だった。







担当者にネームを見せて打ち合わせ中に乗り込んできて、日本刀の様な物で斬られた。

それは、イズハが使用していた武器に似ていたのをおぼえている。












そして俺は、イズハ・ルイに生まれ変わった。










ちょっと何言ってるのかわかんないかもしれないけど、俺も混乱したんだ。

今、目の前に立つ少年を見て、日本人漫画家としての人生が走馬灯の様によみがえった。

え?死ぬの俺。あ、死ぬのか、俺。


少年は、実写化しているが、間違いなく主人公だ。


そして、今世の記憶から、自分がイズハ・ルイである事を理解した。






オッケー、オッケー。









キャラのガチファンに殺されたら、そのキャラに転生したわけね。

てか、自分の産み出した漫画の世界に転生とか、マジか・・・












最高じゃん!!!!














イズハ・ルイは、自分が産み出した中で1番好きなキャラなんだ。

そもそも、人気キャラはその漫画で1番俺が好きなキャラでもある。だから、設定とか力を入れていたんだ。



自分の1番好きなキャラを殺していたら、いつの間にか人気キャラを殺す漫画家とか言われたんで乗っただけだ。

たまに、大衆と感性がずれて違うキャラが人気になった時はさりげなく両方殺したとも。ヒデェ産みの親だと思う。



イズハ・ルイは俺の漫画家人生の、いや、漫画家になる前のガキの頃から考えていたキャラの中でも、1番好きなキャラだ。

設定も、言葉遣いも、性格も、顔も、体躯も、俺の好きが詰まったキャラだ。


大好きで、大好きで、生き続けた。

中々殺さないとか言われたが、まだ死ぬべき場面では無かったんだ。


そして、漸く、彼の有終の美を飾る死に様を迎えたのだ。






草臥れたおっさん漫画家が自分の漫画でキャラを死なせて殺される何て嫌な死に方じゃない。

最高にカッコいい死に様だ。









主人公との出逢い。それは第1話だ。

そして、ルイスが死ぬのは第100話。ストーリ上ではこれから1年後だ。












よし、最高の死を迎えようじゃないか!


















―――――俺はこの時知らなかった。

何故自分がこの世界に生まれ変わったのか。

『誰』が俺を生まれ変わらせたのか。











イズハ様生かし隊なる集団が俺の死後同人でイズハが実はあの連載後生きていた展開を描き、バズったこと。

そして、何故か他のキャラ達がイズハを過剰に甘やかし、総愛され状態(男女ともに)になるとは。


イズハが死にそうになると皆がかっこ良く助け、何だかんだで幸せなスローライフを送るとは。





そして、この世界にその展開が反映されているとは。







まだ俺は知らなかった。








俺はノリノリでイズハの台詞を主人公に向かって言った。




「去れ。

――――――弱いやつに興味はない。」







俺の冒険は始まったばかり―――――



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