REC 3 - 1年の始まり -
翌日。
私はワクワクしながら学校へ向かった。もちろん、私をワクワクさせるものとは、年に1度のビッグイベント、1年の運命を司っているクラス替えだった。ワクワクと同時に不安もあったが、避けては通れない道、腹を括って挑もうと足を早めた。
「何組だったー?」
「やばい、一緒のクラスだよ!!」
「やべぇ、俺知り合い居ねぇよ...」
学校に着くと既にクラス替えの結果を知った人達が、喜んだり落胆したりしていた。私も人の流れに乗って前に行き、クラスの表を見た。
「えっと、か...かげのかげの.....あった!」
1組の上から見ていくと、ラッキーなことにすぐに見つかった。しかし、本当に大事なのは自分のことでもあるけれど、自分のクラスメイトだ。知ってる人が居なかったら、どうしよう。そう思いもう一度1組の上から名前を見る。知らない、知らない...。見覚えのない名前がズラリと並ぶ中、ふと1人の名前を見つける。中学校からの友達___君山 望だった。望は私と同じオタクではあるものの、頭のてっぺんから足のつま先まで、言わば“美”の塊だった。整った顔立ち、綺麗な髪、スタイルが良く、友達も多かった。そんな望だけど中学校の時はどこにでもいるオタクだったから、努力の美人と言える。
友達を見つけた、のは見つけたが、望はいつも周りに友達が居たので昔みたいに接していいか分からなかった。
「しーのーぶっ!!!」
わっ、と驚いて転びそうになるが、聞き覚えのある声だった。そう、後ろから思い切り抱きついて来たのは、望だった。ふわっと香る優しい柔軟剤の匂いが私を包んだ。
「しのぶ、めっちゃ久しぶりだね!!」
「うん!久しぶりだし、同じクラスになれて嬉しい!」
私は意を決して、あの、と話を続けた。
「あの、望は、まだ、アニメとかボカロとか、好き...?」
途切れ途切れになりながらも、しっかり聞いた。1年でこんなにも変わってしまったし、趣味が変わっているかもしれない。
「そんなわけないじゃーん!!この間声優のイベント行ったばかりだよ!!」
豆鉄砲をくらったように目をパチパチとしてから、屈託のない笑顔で言った。
「良かった〜良かったよ〜〜陽キャになってたから嫌いになったのかと思ってた…」
「好きなものには正直でいたいからね!!」
感動の再会をした望と私は教室に向かいながら、今期のアニメの話やボカロの新曲の話で一頻り盛り上がった。一区切りしたとき、そういえば、と望が話を続けた。
「そういえば、担任の池谷拓斗って先生、めっちゃイケメンなんだよ!!!去年の現代文の先生なんだけど、声も良くて目も耳も幸せになるんだよ〜!」
池谷先生...。去年までバイトに明け暮れていた私には聞いた事のない名前だった。顔は兎も角、声豚の望が言うなら声が言うのは間違いない。勝手に期待してみることにした。
教室に入り、前後で望と座って話していると朝のホームルームのチャイムが鳴る。ガラガラと前のドアが開き、池谷拓斗と呼ばれる今年の担任が入ってきた。