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インスタントシリーズ

部屋の鏡の前で全裸になったら……

作者: 井村吉定

 ある日のこと、自分の部屋に買った覚えのない鏡が設置されていた。


 設置されている場所もおかしい。隣の家に住む幼馴染の部屋へと繋がる窓の前に置かれていた。


 普通なら違和感を覚えるべきなのだろうが、特段気にすることなく俺は鏡の前で服を脱いだ。


 俺の趣味はボディビル。磨き上げた筋肉をチェックするのが日課となっている。


 大きな鏡は浴室の前にしかない。全身の確認をするのに、その鏡はちょうど良かった。


 さらに言えば、俺はここ最近太股の筋肉を鍛えている。俺は太腿の付け根部分を確認するため、パンツに手をかけた。


 ――ガタン!


 幼馴染の部屋の方から、大きな物音がした。


 一体何だろう? 年末だから大掃除でもしているのだろうか?


 こちらから彼女の部屋の様子は伺えない。窓を覆うように鏡が配置されているからだ。


 まあ、気にすることはない。別に見られている訳でもないのだから。


 俺はパンツを脱いだ――。


 ――ガタガタガタガタ!!


 ふむ、太股の筋肉の育成は順調だ。


 しかし悲しいことに、付け根の直ぐ近くにある男の象徴は全く成長していなかった。


 きっと大器晩成なのだ。焦ることはない。いずれはこちらもしっかり鍛えることにしよう。




 次の日の朝、俺は偶然、学校に向かおうとする幼馴染と玄関を出たところで鉢合わせした。


 俺の姿を見た途端、彼女はその頬を赤らめた。そして、伏し目がちに俺にこう言った。


「あんたのアレって思ったより小さいのね……。大丈夫、私はそういうの気にしないから」


 何が大丈夫なのかは分からない。そもそも、小さいとは何のことだ?


 昨日、俺が鏡の前で全裸でポーズを取ると、その都度幼馴染の部屋から物音が聞こえた。


 よくよく考えて見ればかなり不自然だ。まるで、俺の動きに合わせるかのように物音がしたのだ。


 ………………。


 あの鏡、まさか――――。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろかったです(^^♪ 主人公…アレのサイズは残念ながら筋トレでどうにかならないんじゃないかなw そもそも鏡が知らない間に設置されている時点でヤバいと思わない主人公。 ・どうやって…
[良い点] 夢の鏡ですね。普通は男女逆にする所を、男の方に置く所に好感が持てます。 得体の知れない鏡の前で裸になれる主人公は大物だと思います。
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