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13:火4

 ガラスとは非晶質…結晶という一つの塊ではないが一応は形を持ったモノというような不安定で不規則な状態のことを指し、実は液体に近い分類だ。

 状態を表すものであり、一つの存在のことを指しているものではない。


 ガラスでよく聞くウランガラスやソーダガラスなどは、そのガラスに使われている素材のことを表しており実は様々なモノで作られている。

 例えば石英という種類の石があるのだが、石英の中でも透明なものは水晶と呼ばれている。

 石英の主成分は二酸化ケイ素というのだが、これは宝石のオパールと同じで、オパールは二酸化ケイ素の他に水分を多く含んでいるため見る角度によって色が変わったり虹色の輝き…遊色を持つが、ガラスよりは結晶があるとはいえるが不規則な状態であるため、オパール自体も厳密には準鉱物という扱いだったりする。


 水晶…鉱物

 オパール…準鉱物

 ガラス…鉱物ではない


 端折って簡単にいえばこんな感じだろうか。

 時々、溶練水晶なんて名前の商品があるが、水晶を粉…つまり原料の二酸化ケイ素にして作られたガラスであり水晶ではないので注意だ。

 ちなみにチェリークォーツ、ゴールドストーン、スウェディッシュブルー、シーバーアゲート等もガラスのことで、かなり様々な商品名で売られている。

 逆にゲーサイトやレピドライトといった鉱物が中に入っている天然水晶のことをストロベリークォーツと呼んでいることもあるので、天然石かガラスか気になるなら購入前にきちんと店員さんに確認すべきだろう。


 また人工的に水晶を作る方法も確立されており、ものによっては鑑別機関でも天然石と区別がつかないものもあったりする。

 宝石として作られた合成ルビーなどと違い、元は軍事用の部品のために作られたのだが人工水晶・合成クォーツとして現在も普通に生産されている。


 余談だが、矢じり等で有名な黒曜石…オブシディアンは溶岩が冷えて固まって出来た天然ガラスであり、こちらも分類上は鉱物ではない。


「ガラスって魔力貯めれるの?」


「いえ、魔力を流すと溶けてしまうので素材としては使えません」


「でしょうね」


 リオンに確認すると予想通りの言葉が返ってくる。

 先ほどのAB加工の作業も、鍋に入れてはすぐ取り出すという感じだったため、だからゲーム等に出てくるアイテムは全部ちゃんとした鉱物だったんだなと妙な納得感すらあった。


「それで異界から来た人間というのはそこにいるソレで合っているか?それとも、もう片方の方か?」


 突然、部屋の中で知らない声が響く。

 そこまで大きくないというのにその声は全員の耳に届き、辺りがしんっと静まり返った。


「父上が異界の人間に会うと言った。同行者が居ても構わないが、異界の人間は大人しく僕についてこい」


「父上ってどなた様?」


 金髪に青い目をしたその人物は一見普通の人間のように見えるが、多分違うだろうなと何となく自分の直感が訴えてくる。

 ほとんど似た背格好だったこともあって私は今リオンの服を借りていたりするのだが、第三者は私の方をじっと見ながら言葉を紡いでいるため、逃げられそうにないと判断して相手の情報を探ることにした。

 どう見ても好意的とは思えない敵意と嫌悪感を滲ませて嫌々言っているのが丸分かりの雰囲気で正直ついていくのは切実に御断りしたいのだが、いきなり実力行使に出てないところを見ると交渉する余地は多少あると思われる。


「父上は当代の魔王だ。僕は父上の望みを叶えるために来た。大人しくついてこれば良し、邪魔をするつもりならお前達全部壊す」


「は…魔王様じゃと?」


 相手の言葉にミルが驚く。

 いや、そもそも魔王が居るとか聞いてないんですが、異世界ファンタジーのお約束がちゃんと守られているらしく魔王も居たらしい。

 明らかに物語の序盤だと思われるような今の時点で出てくるような存在ではないと思うのだが、そのあたりは無視されるらしい。

 最悪なところ、初めましてそして死ね…というのも残念ながら適用されると思われる。


「ちなみにドレスコードとかあったりしますか?」


「なんだそれは異界の言葉か?」


 私の質問に相手は思いっきり眉をひそめる。

 きっと伝わらないだろうと予想しての言い回しだったが、見事に正解だったらしい。

 嫌だとか逃げたいとかいう言葉ではないということは相手にも雰囲気的に伝わったらしく、今のところ怒る様子はない。


「言い換えると、会うために最低限の礼儀とか服装とかそういった全般のことを指す言葉です」


「…そこのドワーフにでも聞け」


 そう言えば面倒そうに相手は答えた。


「ちょっと相談しても良いですか?」


 そう言って私はミルとリオンを見る。

 ミルからはワシを巻き込むなという空気をヒシヒシ感じるが今は無視である。


「僕の見ている範囲で逃げなければ良い。逃げたら潰す」


 そう言って出入口の扉の前で腕を組んだ。

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