異世界漫才
ボ→ボケ
ツ→ツッコミ
冒頭の自己紹介の〇〇の部分は演者の名前が入ります。
ボ「はいどうもー」
ツ「よろしくお願いしまーす」
ボ「僕ら○○と○○の二人でやってるんでね。名前だけでも覚えて帰ってください」
ツ「頑張っていきましょう」
ボ「ところで僕最近ちょっと思うんですけど」
ツ「どうしたの」
ボ「ファンタジーの世界に行きたいなと」
ツ「あー流行りの異世界転生ってやつですね」
ボ「異世界に行っても僕は漫才をやりたいね向こうで」
ツ「あんた漫才師の鑑だね」
ボ「流行ると思うんですよ異世界漫才師」
ツ「たしかに最近は異世界〇〇って色んなジャンルありますけど」
ボ「舞台上で滑り倒した漫才師が迷い込んだのは魔法が存在する異世界だった」
ツ「そら異世界に逃げたくもなる」
ボ「ここは……異世界?」
ツ「なんか始まりましたけども」
ボ「こっ……ここは未来の地球だったのか!!!!」
ツ「早い早い」
ボ「早い?」
ツ「そのセリフ最後に言うやつだよ多分。オチが早すぎるでしょ」
ボ「だって僕ら漫才師が異世界行ったところでね。別にやることないですし」
ツ「あんたさっき異世界で漫才やりたいって言ったばっかでしょう」
ボ「せっかく異世界行ったんだからやっぱ漫才師なんてやめて魔法使いとかやりたいよ」
ツ「急に漫才師の風上にも置けない奴に成り下がって」
ボ「ダメなの?」
ツ「ダメだよ。ちゃんとどこに行っても漫才やりましょうよ」
ボ「あっ、わかった。魔法使いとして漫才やればいいんだ」
ツ「どう言うこと?」
ボ「僕が魔法使いっていう設定で漫才やれば解決じゃないですか。あなたも異世界らしく騎士で」
ツ「なに今から異世界設定で漫才するの僕ら」
ボ「はいどうもー。僕ら騎士と魔法使いの二人でやってるんでね」
ツ「なんか始まりましたけども」
ボ「滅びの呪文だけでも覚えて帰ってください」
ツ「お客さんに爆弾背負わすんじゃないよ」
ボ「ところで騎士さん。最近僕悩みがあって」
ツ「どうしたの魔法使いさん」
ボ「月々のローンの返済がキツイ」
ツ「生々しいのやめて」
ボ「僕らくらいの年齢の魔法使いなんてみんなこんなもんでしょう」
ツ「もっと魔法使いらしい悩みあるでしょう?なんかないですか、魔法の悩みとか」
ボ「あー最近ね、魔力が弱ってるんですよ」
ツ「いいねいいねそういうの」
ボ「10代の頃はね、一晩中使ってても翌朝にはケロっとしてたもんですが、この歳になってくるとどうも翌日以降に残るようになっちゃって」
ツ「おっさんくさいよ悩みが」
ボ「胃がね」
ツ「胃がねじゃないよ。ダメだよ魔法使いが内臓系の悩み抱えたら」
ボ「持病のヘルニアもね」
ツ「深刻だな」
ボ「そうそう、新しい魔道具を買ったんですよ。ほらみてこれ」
ツ「おお魔法使いっぽいじゃないですか。このブレスレットにどんな効果があるの」
ボ「まず魔力上昇でしょ」
ツ「おー」
ボ「あと金運上昇、女性運上昇」
ツ「えっ」
ボ「モニターのAさん(38)によると『彼女いない歴=年齢の僕でもこれを買ったら」
ツ「待って待って。雑誌の裏に頼るんじゃないよ」
ボ「でもこれなんとか波動が出てて科学的にも証明されてるって」
ツ「魔法使いが怪しい科学にすがるとか一番ダメなやつだからね」
ボ「でもこの歳になると出会いがね」
ツ「だから生々しいこと言うんじゃないよ」
ボ「職場は魔女ばっかだし」
ツ「失礼だろ」
ボ「あっ、僕の魔法使いって別にそう言う意味じゃないからね。今はたまたま出会いがないってだけでこのAさんって僕とは違くて」
ツ「落ち着け落ち着け」
ボ「大丈夫。このブレスレット、マイナスイオン効果あるらしいから」
ツ「骨の髄まで信じてんのな」
ボ「逆にそっちはなんかないの騎士っぽいこと」
ツ「騎士っぽいこと?例えばどんなの」
ボ「オークを討伐にいったりだとか」
ツ「あーなるほどね」
ボ「オークを討伐に行ったはずが逆にやられていいようにされちゃったりだとか」
ツ「騎士への偏見」
ボ「お前んとこの職場はいいよな落としやすそうな女の子多くて」
ツ「おいやめろ」
ボ「じゃあ最後に魔法を披露しましょうかね」
ツ「おっ、いいじゃない」
ボ「僕の渾身の一発魔法を」
ツ「そんなギャグみたいなノリで」
ボ「一発魔法ギャグを」
ツ「ギャグなのかよ」
ボ「えー魔法使いとかけまして文系の学生と解きます」
ツ「その心は?」
ボ「どちらも物理に弱いでしょう」
ツ「……………」
ボ「……………」
ボ「ここは……異世界?」
ツ「逃げるんじゃないよ」