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期待の幻覚

よく書いた!頑張った!

「無窮! ファイアアトリビュート!」


ピピ! 「コンセンサス」


そう言い放つと無窮は鍔の部分から火を出す。

植物のように生えてくる火が、1巻き…2巻きと無窮の刃を覆っていく。


「ヴガァァ……ヴガァァァァァァァァ!!!!」


爪を前に、片手だけで襲ってくる⦅べアレクイジー⦆

こいつは多分……B級。流石に昇級は難しいだろうが、前よりかは認めて貰えるはず……!


右手という主幹を失っている。よし、トドメの体制はとれた。

「よし……」


覚悟を決めて、無窮を右耳の横に構えながら、

べアレクイジーに突撃する。


「……! はあぁぁぁ!!!!!」

3秒も経たないうちに至近距離に近づく。


べアレクイジーが普段はあまり使わない左手を、

自身の胸より少し下あたりで大きく振る。


しかしその攻撃を、無窮のパワーで回避する。

「無窮! ハイジャンプ!」


ピピ! 「コンセンサス」

足に力が入る。その力で4mはある巨躯を飛び越える。


べアレクイジーの背後に、背中合わせに立った。

その瞬間

「ロトングスフレイム!!!」


バタン


そう言い放ち、べアレクイジーの首に勢いよく

振り向き'無窮'の刃を斬りつける。


ガァァァァン!!!!

柄を握りしめる。

「う……硬い……!」


やはり硬い………通常ならばロストングフレイムは、

首などの硬い部位に斬りかかった際、

5秒で斬り落とせるはずなのに、私は……斬れない……


「斬れろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

腕に全力で力を込める。すると

ギチ……ギチギチギチギチギチと

亀裂が入るような音が鳴った。その直後


シャキン!


一気に腕の力が解放されたかのようだった。

その解放と共に、べアレクイジーの頭がとれた。

バサ


頭が草上に落ちる音がする。

「ふぅ……やっと斬った……」


「ザンシュキロク、アタマにフレてからキリオトスまで

10ビョー86、オソい、オソすぎる」


「うるさいわねー! これも修行のうちよ、もっと鍛えて縮めるんだから!」


……何か忘れてるような……

「ヒューマー!」

そうだった。私は襲われているヒューマーを助けに来たんだ。

途中からべアレクイジーの斬首と記録しか考えてなかった。


「えーっと……何処……何処に……あ!」

助けを求めていたヒューマーは倒れていた。

さっき一瞬聞こえた「バタン」という音は、

このヒューマーが倒れた音だったのね。


すぐまさ駆けつけて状態を見る。男のヒューマーだ。

「気絶……してる」

べアレクイジーに襲われそうになったからだろうか。


しかし⦅剣術魔法士(けんじゅつまほうし)⦆でなくても、⦅PTV(ぴーてぃーびー)⦆でよく見ているはずなのにな。

というか……このヒューマー……

「耳……少し小さい?」


形も何だか、丸みを帯びてる感じがする。

とりあえず⦅剣魔専(けんません)⦆に連れていかないとな。私はこのヒューマーを抱えて森を下る。




□□□□□□□□□□□□□□□□




「……う…………ん?」

ブラウン色の天井が見える。

ゆっくりと右を見る。そこには壁があった。


天井と同じブラウン色の壁。

次に左を見る。

…………なんだこれ。


そこには見たこともない……ライト? 歪な形をした

テーブルライトのような物があった。

光っているから、恐らくライトなんだろう。

そして少し奥には、ベットがある。


ん? 待てよ。

電気がついてて

天井があって

壁があって

ライトがあって

ベッドまである。

ってことは……

「部屋!?!?」


分かった瞬間、即座に体を起こした。

「こ、ここって……」

どこだか分からない、一室に俺はいつの間にか移っていた。


周囲を見渡す。

ベッドは俺が使っているものも含めて4つが、

向かい合わせに置いてあった。


1番左側にはドアがあった。だが

「ドアノブ……無くね……?」

窓らしきものがドアの向かいにあり、そこしか窓らしきものはなかった。


「なんだあれ……外全然見えなくねぇか?」

窓ガラスは黒一色で覆われていた。

俺は目測からして多分10畳くらいの部屋の片隅の

ベッドに横たわっていた。


しばらくぼーっとしていると

ウィーン

ドアが開く音がした。あれは自動ドアだったのか。

「あと10体かぁ……結構きついなぁ……」


そう言いながらドアから入ってきたのは

「あ! あ、あの時の……!」

そう。獣に襲われた時、俺を助けてくれた人。


姿は前とは変わっておらず、

如何にもFFに出てきそうな、

白とオレンジの柄の服装で、綺麗な目をしている。

そしてよく見ると……耳が長い。


「あ、起きた?」

少しだけ微笑んで質問してきた。


「あ……う、うん。大丈夫…」


「ふぅ……良かった…死んじゃったらどうしようと思ってたから」


「は、運んでくれたのって君?」

…………いやいやいや! もっと質問することあっただろ!

あの獣のこととか………は! 今思い出したけど、

あの火が出る剣のこととか!


あれのせいで驚いて倒れたんだった。


「うん。そうだよ。倒れちゃってたから、剣魔専の病棟の一室に運んできたの」


「剣魔専……」

そう言って、彼女は窓らしきものに近づいていった。


「窓開けようか」

窓枠のボタンをカチッと押した。

そしてその黒一色の窓ガラスが上へ上へと姿を消して

いった。


「…………ん?」

なんだろう……今日はよく幻覚を見る気がする。

窓から丸くて真っ青なものが見えるんだが……

なんだあれ……

「…………!?」


その瞬間振り向いて名前を言う彼女に目もくれず、即座にベッドから立ち上がった。


そしてダッシュして自動ドアの扉に向かう。

ウィーン

「ちょ!? ちょっと!」


自動ドアを出て廊下に出る。

何処だ……出口は何処だ!? 病棟なら玄関があるはず!

ここを知らない俺は、無鉄砲に出口を探すしかなかった


何処だ……何処にあるんだ……!

どうか……どうか幻覚であってくれ……!!!

どうか……!!!!!

こんなにもそうであってくれと願ったのは久しぶりかもしれない。


そうでなかったら、俺は……本当に……

そう思い、俺は全くキシキシと言わない木床を走った。


「階段は……階段は何処に……!!」

階段を探していると、奥になにやらサークルのような

ものがある。


「う……うわっ!!!」

バタン!

サークルを見つけた直後、焦りの至りで思いっ切り

転んでしまう。転んだ体の上半身がサークルに乗った。


次の瞬間

パーッ

一瞬光に包まれた。


その瞬間。俺は出口と思われる場所を目にした。

「……え!?」


俺の転んでうつ伏せになった体の下には、さっきと同じサークルがあった。

「出口……!!」


俺は戸惑いながらも、すぐさま立ち上がって

一直線に10mは離れてる出口に走った。

心臓が著しく高鳴る。手を胸に当てなくても分かる。


もうすぐで確かになるんだ。ここが……ここが……!

「あぁぁ!!」


ドアノブが無いことの確認もせず、右手を伸ばして

ドアに近づく。

バタン!

「ガハッ……!」


胸と顎を強打した。

「う……痛ってぇ……は!」

立ち上がらず首だけを上に向ける。

「……そ、そんな………………!!!!」


目が離れなかった。体が動かない。目視に集中しすぎたんだ。

信じられない光景を目にしたんだ。幻覚ではなかった。

「青い……太陽……」









読んでくれてありがとう!

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