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バルディメス城

すみません……

訳あってかなり執筆が遅くなってしまいました。

信じられない。まさか自分の助けたヒューマーが

「人間」だったなんて。

確かに、考えてみれば人間と思われる不審な点はあった


私がこの剣魔専に入った時、教えられた「人間」という存在。

第1、ヒューマーと違って耳が少し小さい。そして少し丸みを帯びている感じ。

第2、パワーがヒューマーと比べてかなり強い。


この2点が揃えば、「人間」と断定できると教わった。

耳が小さいというのは、ヒューマーでも20人に1人の割合で存在するから、この時点で人間と断定は出来なかった。


だが上官との決闘で分かった。あの人間が上官を振り払った時は鳥肌が立った。

べアレクイジーに怯えながら襲われていた人間が、あんな強大な力を出すなんて。


彼の顔をよく見る。

心喋弓(しんちょうきゅう)を操っている剣魔生たちを

真剣な眼差しで見ている。


やはり人間だからだろうか。

人間の世界ない、珍しいものを見ている眼差しだった。


宿舎の両開きのドアの前に辿り着く。

ウィーン

自動で開き、上官、人間、私と扉を潜る。



□□□□□□□□□□□□□□□□



「よし、まずはこの宿舎の紹介でもしようか」

鋭い目の女性が不意に話しかけてきた。


「また後に詳しく話すが、剣術魔術専門学校。約して

剣魔専。その剣魔専の保護所と言ったところだな」

そういえば、中庭で出逢ったあの男の人も言ってたな。


「そしてその剣魔専に属しているヒューマーを剣魔生という」

なるほど。

廊下を突き当たりを曲がりながら話す鋭い目の女性。


「この宿舎は名前の通り、剣魔生が助けたヒューマー達を保護する場所なんだ」

そうか。俺はあの獣に襲われて、剣魔生に助けてもらったからここにいるわけか。


「お前はストービの森という森林でべアレクイジーに襲われた際、カイアに救助されたんだ」


「そー……か」

そういえば、お礼言ってない。後で言わないとな。


「本来、あそこは一般のヒューマーは立ち入り禁止なんだ。入ろうとしても入れないセキュリティが掛けてある」


「だが侑斗、お前はその厳重なセキュリティがあるにも関わらずそのストービの森に立ち入った。どういうことだ?」


セキュリティ……? 立ち入るも何も俺は気がつくとその森にいた。というか移っていた。あの丹後丘樹林から

チューブを伝ってここまで来た。自らそんなところには入っていない。


「やはり、外から入ったという訳じゃないのか?」


「そう……ですね。あ、ありえないかもしれないですけど……」

そう言うと鋭い目の女性は、何か考えるように人差し指と親指を顎に当てて相槌を打った。


またもや突き当たりを曲がる。ちらっと見える玄関に進む。

「よし、次は外に行くぞ。ま、さっき見えたとは思うけどな」

そう。俺は部屋の窓と宿舎から1度この世界の外を見た。

街があったが、間違いなく日本の建造物ではなかった。


鋭い目の女性が玄関の前に立つ。

「それじゃ、行くぞ」

そう俺に言い、鋭い目の女性は自動で開く玄関の扉を潜った。


玄関に出るのは2回目だ。初めて出た時は青い太陽に驚いてたな。

鋭い目の女性の後をついて行く。


「うぉ……おぉ」

目の前には部屋の窓に見た時と変わらず、中世風の建物が映っていた。右にも左にもズラーっと。

地面にはレンガのタイルが敷き詰められていた。


そして俺の真上には青い太陽があった。

少し移動している気がした。


「どうだ、間近で見るのは初めてだろ?」


「……はい」

初めて出た時は青い太陽のことで建物なんて全く見ていなかった。

こんな景色が広がっていたのか。


「行くぞ」

そう言って鋭い目の女性は左の方向に歩き出した。

俺とカイアさんも左に歩く。


そしてこの中世風の街にも、当たり前かもしれないが人がいる。この世界ならヒューマーと呼ぶ方が良いか。

既に10人くらいはすれ違っている。

それぞれの顔に、それぞれの服、十人十色だ。


だが全員俺より耳が長い。この世界の人はあの耳の長さが当たり前なのかも。

そう考えて歩いていると、賑わしい建物を見つけた


路上に複数テーブルとイスがあり、そこでヒューマー達が笑いながら飲み合っている。

「あれはお酒を飲んでるの」


カイアさんが後ろから喋りかける。

「でも飲みすぎるとあまり体に良くないの」


「あー、うん……知ってる」


「え……そ、そうなの?」


「……そっか」

なんだろう。別に悪いことなどしていないのに、何だこの罪悪感は。

嘘でもリアクションしといた方が良かったのだろうか。


酒場を通り過ぎると、十字路が見えてきた。

鋭い目の女性は左に曲がる。

俺もついて左に曲がる。すると

「あ……な、なんだ……あれ」


思わず声が出た。目の前の壮観に度肝を抜かれたのだ。

目の前にはものすごく大きい、城があった。

かなり奇抜な形だ。


アシンメトリーというのだろうか。

尖ってたり丸まっていたり、よく分からない形だ。

だが、色はそんなに複雑ではない。


「あれがバルディメス城」

鋭い目の女性かと思いきや、カイアさんが喋った。


「この国バルディメスの象徴とも言える建造物。あの城でいろんなことをするの」


「……そーなんだ」


「びっくりしてるね」


「う、うん」

正直、日本にある姫路城やら大阪城よりも遥かにすごい

壮観さが桁違いだ。

俺はまだ初めて見た衝撃に浸っている。


「わたし達はあの城が目的地だ」


「そーなんだ……え!?」

あの城……!? めちゃくちゃでかいあの……? 中に入れるのか!?


鋭い目の女性はその城に向かって歩き出す。

少し遅れて俺も歩き出す。

目の横に中世風の建物が映るなか、俺はずっとその城を見て歩いていた。


「すごいでしょ? バルディメス城」

カイアさんがまた喋りかける。


「あ、ああ……すごすぎる……」


するとカイアさんは笑ったような相槌を打った。

そしてどんどん近づいてくるバルディメス城。

まぁ現に俺達が近づいて行ってるんだがな。


もう100m圏内に入ったぐらいだろうか。

目の前の門がどんどん大きくなっていく。

「あ、あの」


「ん、どうした?」


「この城の中に入って、何を行うんですか?」

少し気になって鋭い目の女性に問いかけた。


「それは中に入ってからのお楽しみだ」

そう言って俺に向けてた顔を再び前に向けた。


考えてみれば、俺みたいなこの世界からしたら異質な

生き物にこんな待遇あるだろうか。

もしかして、運命というものだろうか? いや流石に考えすぎか。


遂に俺達は目前と言える圏内まで来た。

そこから見上げるバルディメス城は……

「う……」


あまりの壮観、いや偉観さに飲まれそうだった。

これ程写真に収めたいと思ったことは久しぶりだ。

「それじゃ、中に入るぞ」


「は、はい」


「カイアもな」


「はい」

緊張を隠しきれない返信で俺は覚悟を決めた。
















読んでくれてありがとうございます!

あと1部か2部でこの物語の趣旨が明確になると思います!

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