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漲るパワー

執筆してる途中にGが出たんです。横のカーテンにカサカサ音を鳴らして……

リアルに「えぇぇぇ……」と引くような感じで叫びました。

Gは弟と一緒に退治しました。

「お、俺って……」

メインは……俺?

「これからお前には、この剣を持って、私とバトルしてもらう。耳長くん」


剣を持って……? バトルって……

「な、何言って……」


「まぁ困惑するだろうな。1から順に丁寧に説明してやる」


すごいタメ口だ。そりゃあ俺よりもちょっと年上っぽいが、初対面でこの対応ってあるか……?


「さっき無窮も言ってただろ」


「む、むきゅー……?」


「カイアが腰に差している心喋刃の名だ」

そう言い、鋭い目の女性はカイアさんの腰に差してあるしんちょうとー……? に目を向ける。


「心喋刃はな、喋る剣だ。意思を持ってる剣」

喋る剣……ってことはあれはスクリーン越しに喋ってるんじゃなくて剣自体が自分の意思で喋ってたのか!?


「まぁ、詳しい話は後に説明する。そんなことより」

少し間が空く。

「お前、無窮を握った時、何か感じただろ」


「何か……あ……!」

確かに感じた。力が底から漲るようなあの感じ。初めての感覚だった。


「やはりか。わたしも少し見てたんだ、

お前が無窮を握る所をな。その時に見えたんだ。お前から湧き出てくるパワーをな」


パワーを見る……そんなことも出来るのか。

何か特殊なコンタクトレンズでもつけているのだろうか

この世界だったらありそうだ。


「だが、お前のパワーはまだそんなものじゃない。

だから、試させてもらう」

「そんなもの……じゃない? 試すって……どういう……」



「まぁとりあえず、バトルをしよう。詳細はその後に

説明する」


そう言うと鋭い目の女性は片手に持っていた目立たない色の剣を俺に差し出してきた。


柄の部分を握っていたはずなのに、

なんとも信じられない回しテクニックで刃の部分を

手に持って、柄の部分を向けて。


「あ……」


「受け取れ、お前が振る剣だ」

俺はその目立たない色の剣をじっと見つめる。


刃の色はよくある銀色だが、あのカイアさんの剣よりも味気ない。

良く言えば、全体的にまとまっていて無駄がない感じだ。


俺はその渡された剣を受け取る。

重さは1度だけ持ったカイアさんの剣よりもかなり軽い。

あの剣、無窮だっけか。

無窮も軽かったがこれは本当に軽い。

少し大きめの包丁くらいの重さだ。


「お前は向こうに立て」

そう言って鋭い目の女性は人差し指を、

今立ってる入口から、左斜めの方向に指した。


「え……たっ……ほ、ほんとにやるんですか!?」

「なーに言ってんだ。さっきやるって言っただろ」

確かにすると言われたが、まさか本当にするなんて……


俺も相手も剣を持っている。ということは

剣をを振り回しながら戦うということだろう。

そ、それじゃ……負ければ……


「なあに、殺したりはしない。殺したら

捕まっちゃうからな」

「で、ですよね……」


そうか、この世界にも法に違反した者を取り締まる

存在がいるのか。まぁそりゃそうか。


そう言った鋭い目の女性は、今立っている入口から右に進んでいく。

そしてなんとも近未来的な形をした長椅子に

置いてあった大きい剣を手に取った。


鋭い目の女性はその大きい剣を肩に担いで、

さっき人差し指で指していた方向とは真逆の方(右斜め)に向かっていった。


「何をしてる。早く位置に着け」

「あ、は、はい」

よく分からないが、指示された場所に剣を持ちながら

移動する。

目前には鋭い目の女性が大きい剣を片手に持って、下に降ろしている。


なかなか緊張する。あの時の試合のような感じだ。

もう辞めてしまったバスケ、野球、他にもしていたが、

バスケと野球以外はあまりの退部の速さに、

印象には残っていない。


あまりいい思い出はないが、少し懐かしい。

こんな感じだったな。試合前の緊張。


特に初めての相手と試合する時。あの時とすごく似てる。

違うのは……仲間が居ないことくらいか。


「いいか、私が攻めて剣を振るう。お前はガードしてみろ」


「ガード……」


「剣の(しのぎ)の部分を前に向けてガードだ」

ガード……って、あの女の人の剣で攻撃してくるんだよな

……こんな貧弱な剣でガードなんて出来るのかよ……


「大丈夫だ。お前のパワーがあればな、わたしの計算が正しければ、お前はガード出来るはずだ」


そんなこと言われても、剣なんてまともに持ったこと無いし、ガードなんて勿論したことない。

これから初めて体験する事に俺は少し不安であった。


「では、いいな? 早速いくぞ」


「え……ちょっ……ま……」


「カイア、合図を頼む」


「はい、分かりました」

まてまてまて、まだ心の準備が……えーと……

剣の鎬の部分を……って鎬ってどこ!? どの部分だ!?


「3……2……1、スタート!」

カイアさんの合図とほぼ同時に

鋭い目の女性は足を踏み切る。

まるで新幹線のような速さでこっちに向かって近づいてくる。


「ち……う、うわ!」

キィィィィン!

甲高い音がなった瞬間、目の前に映る景色は変わっていた。

そこには大きな剣を俺の剣に、のしかかるような体制で切りつけていたすごい形相をした鋭い目の女性がいた。


「…………」

声が出なかった。スタートして鋭い目の女性が俺の寸前に来るまでに1秒とあっただろうか。

いや、恐らく無かった。ここからあそこまでの距離は

約50mくらいなはず……信じられない。

もう数字は小数点の位に突入していただろう。


「うぐ……ぐ……」

右手は柄、左手は鎬と思われる場所に手を置いて、全力でガードする。

若干押されている。力が強い。俺は後ずさりしかねない


「う……!!」

のしかかる鋭い目の女性を、俺はできる限りの力を出して振り払おうとした。


「う……うらぁぁぁ!!!」

思わず目を瞑ってしまった。

その瞬間、肩の荷が外れたかのような感覚に陥った。

俺はそのまま前に思いっきり倒れる。

「がはっ!」


うつ伏せに倒れる。その状態で前を見る。

すると目には驚きの顔で少しだけ口を開けている

鋭い目の女性が映った。

ちょうど今倒れてる場所から1番奥の壁の前にいた。


混乱した。

鋭い目の女性が近づいてきた瞬間、瞬発的にガードした

その時、自分のパワーを振り絞って振り払おうとした。

その瞬間、鋭い目の女性は目の前から遠くに移っていた

「俺が……」


正直、あの時は無理だと思った。あんなに速い速度で

近づいてきて、のしかかられた時の威圧は凄かった。

本当に殺されるかと思った。

俺は本当に自分があんなに遠くまで吹っ飛ばしたのかと

納得できなかった。


そう思っていると、鋭い目の女性はいつもの顔に戻り、冷静な雰囲気を漂わせた。

そしてまた大きな剣を振り上げ、怖い形相でこっちへ向かってくる。


「う……! うぐ!!」

キィィィン!

俺は横になっていた右腕の手にある剣を顔の前まで持ってきて、うつ伏せ状態のまま、瞬発的にガードする。

心做しかさっきよりも強い力で切りつけてくる。

「く……う…………!」

すると鋭い目の女性はもう一度大きな剣を振り上げる。

そして。

キィィィィイイン!

「がはっ……!!」

また振りあげる。

そして。

キィィィィイイイン!

「ぐ……!」




3度も剣を振ってきた。

ギチギチと刀が擦れ合う。

今までで最も強い力に、押し負けそうになった。

俺は自分の持ってる剣の柄を強く握る。


そして出し切る。

「ぐ……お…………り……」

ギチギチギチ

「おりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


またもや肩の荷が外れたかのような感覚に陥る。

振り回した腕の勢いで、手から剣が離れて、ほっぽり投げてしまう。


キン!

前に投げたカイアさんの剣よりかは、落ちた時の音はあまり複雑ではなかった。


そしてハッキリした。今度は目をちゃんと開けていたんだ。

また俺は力を出し切った。2回目の攻撃は3度も剣を振ってきた。


そのギチギチと剣が擦れ合う中、俺は隙を見つけた。

力を振り絞れる隙を。

力が釣り合ってる瞬間だ。

1度目の攻撃も隙があったから振り払えたのだろう。


そして隙を見つけた瞬間、俺は踏ん張ったんだ。

力を、今出せる限界まで絞り出して。


そして見た。この目で。俺が、俺の手で鋭い目の女性を

遠くまで飛ばす瞬間を。










読んでくれてありがとう!

漲るパワーっていいよね!

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