第6話〜家購入〜
今回は短いです。
「では、アイン!これが、報酬だ。無駄遣いしてはいけないぞ。」
「はい!ありがとうございます。アルサスさん!
それとこれもお願いします。」
「ん?不動産?アイン。なにかするつもりなのかい?」
「はい!幼い頃からの夢だったんです。鍛冶をしながら冒険者をすることが。自分で作り上げた剣でモンスターを討伐することが。」
「その夢を否定する気はないが、お金はあるのかい?それと鍛冶の経験は?」
「お金は、村を出るときに両親と村長が出してくれました。足りない分は、これからの報酬を当てます。
鍛冶は、家で父に教えてもらいました。」
「そうか。では、私の部屋に来なさい。店舗について話そう。」
ギルドマスターに連れられ、俺は冒険者ギルドの奥へと進んでいった。さっきまで僕に注目していた冒険者達は、突然の発言に衝撃を隠せないみたいだ。でも、低ランクの冒険者にとって武器や装備は、痛い出費だ。それを低価で直せる職人がいれば、儲かるに違いない。それ以上に冒険者達と関係性を持っておくことは、今後のために重要になる。公爵家に戻るつもりのない俺は特にだ。
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「それで、さっきの話だが、アイン。本気か?」
「アルサスさん。その前にこれを見てもらいたいんです。」
そう言うと俺は、懐から短剣を差し出した。
公爵家の紋章が施された…
「こ…これは!アイン。君は…」
「騙していた形になってしまい、申し訳ありません。私は、エルドラージ公爵家次男アイン−フォン-エルドラージと申します。しかしながら、今の私は、公爵家とは縁を断っていますので、今までどおりでお願い致します。」
アルマスさんは、一瞬、驚いた姿を見せたが、流石にかつてAランクまで上り詰めた人だ。すぐに元の笑顔を取り戻し、思い出したように
「だからか…。君に初めてあった時に、この子にはなにかある…と勘が働いたんだ。平民にしては、礼儀も整っているからね。そういうことなら、不動産は、大丈夫そうだね。では、候補を見ていこうか。」
それから俺達は、候補物件を見て回りながら、様々なことを話した。公爵家のこと、ガイアスのこと、この街のこと、冒険者のこと。最後にたどり着いた物件、それは3階建てでフロアの広さも十分以上だった、が、オンボロで今にも崩れそうだった。その分、販売金額も格安で、金貨1枚で譲ってくれるという事だった。ギルドとしても管理費だけで邪魔な物件だったみたいだ。無属性魔法からなら修復、建造スキルに似た魔法も作り出せる。俺としては、理想的な物件だった。断る理由もない。
「ここにします。」
公爵家を飛び出してから、初めて自分の家を持った瞬間だった。俺は、冒険者として大成するだけじゃなく、職人としても、将来的には商人としても大成を成し遂げるつもりだ。これは、その第一歩を踏み出したに過ぎない。
俺は、それから宿に行って、荷物を纏めると宿屋の主人に挨拶を済ませた。ガイアスの荷物はあったから、お金は回収しないでおいた。あと6日間は、あいつも宿に困ることもないだろう。俺なりの最後の優しさのつもりだった。
新しい家に戻ると修復、制作、建造の順で進めていき、気づいたら夜が過ぎ朝を迎えていた。この世界に来て、初めて徹夜してしまった…まあ、でも、いい店舗、家が完成したから良かった良かった。一階からいやいや、勝手に俺が作り出した地下と屋上もだな。とりあえず、一階からだ。
一階
鍛冶場
(武器や装備の修理は、銀貨1枚。)
安価な武器装備の販売
(商品は陳列されてるが、魔法で作った物なので、
元手ゼロ。それも大したものでもないので、防犯システムは特にない。が、一応銀貨10枚。1万円位?この世界では結構格安。)
二階
冒険者必需品販売
(低級ポーション【HPを100回復】⇒銀貨1枚
中級ポーション【HPを500回復】⇒銀貨4枚
上級ポーション【HPを2000回復】⇒銀貨18枚
状態異常無効化ポーション
【どんな状態異常に対しても無効にする効果がある】⇒銀貨50枚
マジックバック
【収納魔法が施されたバック。魔力量によっても変化】⇒金貨1枚)
三階
自室
俺以外が入ろうとするとドアノブに施された転移魔法によって死の森奥地の森の主の巣穴の目の前に飛ぶ。
内部は、公爵家の俺の部屋のまんま。きらびやかになってる。だから三階の床と二階のを強化しておいた。それに伴い、基礎部分にもテコ入れをして強化しといた。
屋上
演習場
地下
オーダー商品の販売。保管。
⇒Bランク以上のお客のオーダーは、受け付ける予定
その分値も張る。金貨1枚〜
となった。
とはいえ、異世界で徹夜作業するはめになるとは、思いもしなかった。看板も作らなきゃだが、とりあえず寝よう。今日は、流石にクエストは無理だ。
そう言って、俺は倒れるように眠り込んだ。
今後は、随時次話を投稿していきます。