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第5話〜離別と昇格〜

「さてと…、俺らのランクでできんのは薬草採集、害獣駆除ぐらいかな。」


「は?何でそんなつまんないやつやんだよ。討伐行こうぜ。」


「馬鹿。ランク足りねぇんだよ。上のランクは低ランクのクエストも取れるけど、低ランクはそれができないの。だから、努力で実績を積み重ねぇとつまんないままなんだよ。」


「は?なんだよ、それ。そんな面倒くさいのかよ。冒険者って。」


「だから、楽しいんだろ。自分ですべてを手にして、努力こそが最大の近道だ。俺の道がお前の道なんだろ?行くぞ!」


俺は、あいつの腕を掴んで、ギルドへ入ろうとすると

ガイアスは、俺の手を振り払った。俺には何が起きたのか分からなかった。いつも俺の後ろをついてきて、俺に逆らったことのないガイアスが初めて見せた姿

だった。反抗期か?


「アイン…。悪いけどよ、ここでお別れだ。」


へ…?こいつの言っている意味が理解できない。あんなに乗り気だったこいつに何が起きたのだろう。呆然と立ち尽くす俺にガイアスはこう言い放った。


「俺は、魔物を討伐して、実績を重ねて親父を見返してやりたかった。だから、お前に着いてきたんだ。冒険者になれば俺の目標がすぐに叶えられると思ったから。だけど、お前といると目標が叶うのは随分と先になりそうだ。だから、ここからは、俺はソロで動く。連れてきてくれて、ありがとよ。」


そう言って、ガイアスは踵を返して歩いていってしまった。へ…?まだわからない。何が起こったのか。

あいつは何を想像してたのか、冒険者を勇者と何かと勘違いしてたのか。そんな冒険者が簡単な職業なわけがない。


そう、ガイアスの今後を心配した俺だったが、勝手にいなくなったやつを考えることはない。

俺は、去るものは追わない主義だ。但し、一度で出てったものを受け入れる気もない。寧ろ、これで良かったのかもしれない。これで他人を気にせずに冒険を楽しめる。俺は、冒険以外にもやりたいことがたくさんある。商売もしたいし、刀も作りたいし、旅もしたいし。一人のほうが動きやすい。


気持ちを切り替えることのできた俺は、ギルドへと足を踏み入れた。

それから1時間後、俺は近くにある、始まりの森に

いた。俺が請け負ったのは、薬草採集、害獣の駆除、イノシシ一頭の狩りである。


無属性魔法から生み出した鑑定によって高品質の薬草だけを選び採集。


害獣の駆除と共に罠の設置による将来的な対応。


イノシシには、ゴブリン討伐の経験から弓矢で一撃。


10歳の少年でGランクの冒険者とは思えないような、手際の良さで3つのクエストを3時間で終わらせた。

飛行魔法【フライ】を使えば、もっと早く終えられたかもしれないが、必要以上の評価は問題ごとを引き寄せる。これぐらいなら、腕のいい村人なら可能だ。

それでも、10歳には無理だが。才能あふれる少年というスタイルで進めていこう。


街へと戻ってくると、ギルドの入り口にギルドマスターのアルマスがこっちに手を振っている。俺は、再び無垢な少年を装って笑顔で駆け寄った。


「アルマスさん!どうしたんですか?」


「ちょうど、暇だったんでな。外見ていたら君の姿が見えたんで呼んでみただけだよ。それより、その背負っているのは、イノシシかい?」


「うん!クエストで倒したんだ!」


「そうか。成果を見せてもらってもいいかい?では、中に入ろうか。」


ギルマスに従って、ギルドに入ると朝とは異なり、冒険者たちで賑わっていた。

ギルマスは、俺を一番左側のカウンターに導いた。


「ギルマス!どうなさったんですか?その子は?」


「今日登録したばかりの新人だ。名前はアイン。

クエストの成果を見てやってくれ。」


「じゃあ、アインくん。見せてくれるかな?」


俺は、クエスト達成証と薬草、イノシシを渡した。

薬草を見た職員は、手を止めて動かなくなった。


「ねぇ?アインくん。この薬草…どうしたの?誰かに貰ったの?」


「?僕が取りましたよ。」


「あはは。自分で取ったって自慢したいんだよね?

分かるよ。でもね、規則だから誰が取ったか教えてくれないと認められないんだよ。」


何言ってんだ?この女。俺が取ったって言ってんだよ。馬鹿なんじゃねぇのか?


「ねぇ、おじさん。」


「ん?どうした?」


「このおねぇさん、馬鹿なの?言葉わからないの?

どうして僕が取ってきたって認めないの?」


「あっはっは!馬鹿か。そのとおりだな。実力を認められない視野の狭さ。これは減点だな。よし、減給決定!」


「え!?何でですか?この子がこんな高品質の薬草を取れるわけないじゃないですか!いい加減にしないとカードを無効にするよ。」


「エミリア。君もいい加減にしないと、減給どころじゃスマンぞ。そこまでにせんと、クビも視野に入れる。」


「おじさん!この人面倒くさいからおじさんが確認してよ。」


俺は、カウンターのものをおじさんに預けた。


「ああ、いいとも。…うん。素晴らしい品質だな。俺はどうやって取ったんだい?根っこからだよ。」


「どうして?根っこはどうしたの?」


「じゃないと水分が抜けて、品質が落ちちゃうからだよ。先についてた粒は種になるから、そこに植えてきたよ。」


俺の言葉に周囲の冒険者たちも固まっていた。勿論、さっき俺を馬鹿にした女も。そんなに難しいことか?常識レベルだろ?こんなこと。


「君は、最終に関して優秀なんだね。害獣に関しても対策をしたことで最高評価だし、イノシシも矢傷が

一つだけだ。つまり、一撃で仕留めたということだ。」


周りの冒険者たちが少しどよめいた。え?どこに。

ランクが高そうな中年の人たちは、手を叩いてくれてる。


「君をGランクにしておくのは勿体ないね。採集クエストもやってもらうのが前提になるけど、それでも

良いなら今すぐFランクにしよう。どうする?Fなら

ゴブリンとも戦えるけど?」


討伐クエスト!?断る理由なんてない。採取クエストでもなんでもやってやる。


「やります。採集!よろしくお願いします。」


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