第4話〜冒険者登録!〜
「なあ、アイン?まずは何すんの?」
「ん?まずは、門で入領許可をとって、その後冒険者ギルドでギルド登録して、宿をとって、朝飯食べるかな〜。その後は、飯食べながら決めよっか。」
そう言うと、俺はガイアスを引き連れて門番に話しかけた。始まりの街には、入領税はないし、ギルドカードの提示も必要ない。門には特殊な結界が貼られており、犯罪を犯したものが入れない仕組みになっている。そのため、大変安全で冒険者を目指す者にとっての絶好な場所なのである。
「さぁ、まずは、冒険者ギルドに行ってみようか!」
街の住民に尋ねながら、俺たちはギルドへと足を進めた。街には、様々な人種の者たちがいた。屋敷にいるときには見なかった、ドワーフに、エルフ、獣人、
竜人。憧れていた異世界がまさに今、俺の前に広がっているのだ。
誰にも言ったことはないが、俺はもともと、ラノベやアニメの知識から異世界転生に憧れていたのだ。あの時も内心では、興奮を抑えきれなかった。
そんなことを考えていると、俺達の前に大きな建物が現れた。入り口の近くには、冒険者ギルドと書かれている。
ギルドの中は、早朝だったためか、閑散としていた。そんな中を歩いていると真ん中の受付台の近くに座っていた老人が俺たちに声をかけてきた。
「君たち!見ない顔だね。何か用かな?」
よく見れば、その老人は、帯剣しており、隆々とした筋肉をしていた。明らかに夢に見た冒険者の姿だった。貴族だとバレないように、俺は無垢な少年を装うことに決めた。
因みに服装も村から出てきたばかりの少年二人組みたいな感じだ。
「えぇ…と、僕たち…冒険者になりたいんです…。」
「ほぅ…。若いのにやる気があるんだね。それじゃこっちで、登録を行おうか。文字は書けるかい?」
「僕が書けるので、彼の分も書いていいですか?」
ガイアスは、文字は読めるけど書けない、無口でクールなキャラを演じてもらってる。俺は、村では優秀で明るい気性の少年だ。
「あぁ。良いとも。」
・
・
・
・
・
「はい。これが君たちの冒険者登録証、ギルドカードだ。失くすと再発行に銀貨1枚かかっちゃうから、
気をつけるんだよ〜!」
「はい!ありがとうございます。」
そう、満面の笑顔で職員らしき老人にお礼を行った俺達は、その足で宿屋へと向かった。別に金はあったので高めの宿でも良かったが、低ランク冒険者が、そんなとこに泊まっていたら確実に怪しまれ、確実に面倒ごとに巻き込まれる。俺達はまだ、Gランクだから。
そうだここで、ランクについて説明しとこう。ランクは、G〜SS(先代勇者が魔王討伐直前に到達)まで
15段階ある。SSどころか、Sランクも近頃は生まれていない。最高ランクが、パーティー名【雷神の斧】を筆頭に3つのパーティーが到達しているAAAである。
俺の目標は、貴族から指名依頼を貰えるAランクになること。それでこそ、勝手に出てきた家族や侍女達に詫びを入れられるというものだ。
「…ン。アイン!聞いてるか!?ついたぞ」
「あぁ、済まない。」
俺達が泊まる宿は、街の母と呼ばれる標準的な宿の
一つだ。格安も考えたが、安全面も考慮した結果だ。
「坊っちゃんたち、いらっしゃい!飯かい?泊まりかい?泊まりなら一泊銀貨1枚だよ。」
因みに俺たちが暮らすこの国は、アルカディア帝国。この国の貨幣レートを簡単に説明しておこう
白金貨1枚=金貨100枚
金貨1枚=銀貨100枚
銀貨1枚=銅貨1000枚
銅貨1枚=鉄貨10枚
となっている。金貨1枚が日本円なら10万円だ。
つまり銀貨1枚は、1000円ってことだ。
「じゃあ、一週間お願いします。はい、銀貨7枚!」
「はい。ありがとさん。2階の206号室ね。これが部屋の鍵。二人部屋になってるからさ。」
「ありがと!」
満面の笑顔を作って部屋へと向かう。部屋に入り、
無属性魔法によって、ドアから部屋の隅々に消音魔法を施す。
「やっと…落ち着けるな。ガイアス!」
「なんで。あんな面倒臭いことしたんだ?ていうか、ここに着いた時から思ってたんだが、来たことあるのか?お前の移動魔法って一度来てないと使えないんだろ?」
「…はは。まぁな。さっきいた爺さんいたろ。あれがギルドマスターのアスマルさん。あれでも元Aランクだ。一度、母さんに連れられて来たことあんだよ。
社会勉強の一環としてな。」
「へ〜。あの爺さんがな…。それで?これからどうする?」
「下で食ってもいいけど、聞かれるのも何だから、
露天でなんか買って歩きながら考えよう。」
そう言って俺達は、部屋を出ていく。勿論、部屋には限らないだけでなく魔法で開けられないようにして。
街の露天には、様々なものが売られていた。全部平均的で銅貨10枚くらいが相場だ。俺達は、ぶらぶら歩きながらたくさん食べて腹が膨れた。そして街を見渡せる高台で今後について話すことにした。
「とりあえず、今からは、簡単なクエストをやるとしよう。結構遅いしな。でも、明日からはバリバリこなすぞ。母さんたちも探し始めている頃だしな。」
「あぁ!ならさっさとギルドに行こうぜ。」
漸く、俺達は冒険者としての一歩を踏み出す。だが、俺はまだ気づけていなかった。ガイアスの本当の目標に。でも、それはまだ、先のこと。