第3話〜新たな生活〜
説教を受けてから3日後…
「マリア、離れろ。勉強の邪魔をするんじゃない」
「嫌!母上から見てるように言われたもん。兄上は
マリアのこと嫌いなの…?マリアより勉強が大事?」
「やってらんねぇ…。転移!」
俺は、転移魔法でマリアの前から実質へと移動した。
「あぁ!兄上!びぇ〜〜ん(涙)」
この面倒くさいやつは、俺の妹でマリアという。
現在進行形でブラコンを発症させている問題児だ。
母上の血を継いでるから、まだ6歳だってのに超絶
美少女であるが…。
なんでこんな面倒なことになっているのかというと、あの説教の後、母上に俺は正直に話してみた。
そう、ガイアスと話した騎士学校のこと。そしたら
涙を一杯浮かべて…
「いけません!アインちゃんは、ママが嫌いなの?」
この一点張りである。それからというもの、俺は常に母上に見張られることになったのだ。まぁ、さっきみたいに逃げようと思えば簡単に逃げられるのだが…。
これは、あの手を使うしかあるまい。当分、家には帰れないし、家族とも会えないし、貴族としてのステータスを捨てることにはなるが、元々日本で一般の過程で育った俺にとっては何でもない。そう、ふと思いついた俺は、マリアから逃げてたどり着いた俺の部屋
からもう一度転移した。
「うわ!なんだ…アインかよ。驚かすなよ。で?
こんな形で会いに来るなんてどんな要件?」
「今から話すことは、誰にも話すなよ。それに同意するにせよ、反対するにせよな。」
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「それ、マジで言ってんの?」
「大マジ。賛成なら今夜にも決行する。早いに越したことはない。覚悟がないならやめとけ。地位や権力は、確実になくすからな。」
「あ!?誰に言ってんだよ。前にも言ったろ。おめえの進む道が俺の道だって。お前がやる気なら俺もやる。」
「へへ!そうこなくっちゃ!じゃあ、今夜迎えに来るから、荷物とか金とか用意しとけよ。元手はいるからな!」
「了解したぜ。」
その夜、俺とガイアスは、互いの家族が寝静まった
すきに屋敷を抜け出し、外に繋いでおいた馬にそれぞれ飛び乗った。真夜中、静まり返った領内を10歳の
子供を乗せた2頭の馬は駈けにかけた。領内の境界につく頃には、明け方になっていた。そこから俺たちは転移した、ある場所に。
それは…
「なぁ、アイんよ…。ここどこ?」
「ここ?ここは公爵家領内から東に300キロ離れた場所だ。通称、始まりの街。低ランク冒険者が、集まる街さ。ここで冒険者登録をして、騎士学校受験年齢である12歳まで待つのさ!」
『もしかしてさ、アルバート伯爵領なの?』
「何だよ。知ってんじゃん!」
「あのさ…、ここ、アルバートって俺のじいちゃんの家名なんだけど…。」
え…!?
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「…まあ、気にしない、気にしない!さあ、街は目の前だ。行くぞ!」
「あ…。こいつ話しそらした。」
予想だにしなかったガイアスの言葉に、度肝を抜かれてしまったが、ここから新たな生活が始まる。
家に頼る事が出来ず、自分の力だけで道を切り開いていく事になるんだ。
ここからが本当の異世界生活だ!!
その頃、エルドラージ公爵家では…
「アインちゃん!旅に出るだなんて…そんな!」
「兄上ーーーーーー(涙)」
「ガイアス(怒)あの親不孝物が!!修行の旅に出るだと?実力も伴ってないくせにして生意気な。」
メアリは、騎士団に捜索を命令し、ガイアスの父親であるアーデスは、その命を理由に騎士団を率いて
屋敷を飛び出した。息子を連れ戻す為に。ただし、彼が向かったのは、西。
なんで、彼がそっちに行くって思うかって?だって、アーデスは、ガイアスのおじいさんと絶縁状態だからさ。互いに嫌悪感を抱いている上、ガイアスが言った事無いから考えもしなかったのだろうけどね。