1 転生ってマジですか!?
よくある魔法少女のシリアスものを想像してください。あれに転生者がいて百合ルートを前進するような話の予定です(^_^;)
「げぇ・・・マジか・・・」
鏡をみて思わず顔をしかめてしまう。鏡に写るのは見慣れた眼鏡が最高に似合わない系のオタク女子ーーーではなく、どこか可憐さを秘めている黒髪の幼いがどこか美少女の片鱗を秘めた少女の姿。一夜にして劇的なビフォーアフターを遂げたことについて色々と疑問の余地はあったが・・・そんなことよりも私は鏡に写るその顔に見覚えがありすぎて、顔をペタペタ触りながら呟いた。
「この子・・・絶対、寝る前見てたアニメの主人公よね?」
鏡に写るその顔はまさしく、深夜アニメを取り貯めて、休日に一気に消化するタイプのオタクの私が寝落ちする前に見ていたアニメ・・・『魔法少女ロワイヤル』の主人公の平川叶恵という少女にそっくりなのだ。
『魔法少女ロワイヤル』とは、今季のダークホースのアニメで、平凡な少女(という名の美少女ちゃん)が、ある日LINEのメッセージで魔法少女に勧誘されてから、魔法少女になって色々と楽しいことを最初はしているんだけど・・・実は主人公ちゃん以外にも複数の魔法少女がいて、そのうち魔法少女の座を掛けた生き残りのデスゲームに変わっていくという、なんともまあ日常系から一気にシリアス&鬱展開になっていくというストーリーなのだが・・・
「よりによって寝てる間にその主人公になってるとは・・・」
こういう目が覚めてアニメキャラクターに転生しているという展開なら、悪役令嬢とかもっと女の子向けの乙女ゲーとか色々あっただろうに、なんでよりにもよってこんな鬱な物語の主人公に転生してるの私?神様の嫌がらせ?私なんか悪いことしたっけ?あれかな・・・会社の先輩をネタにBLとかGLの薄い本を書いたからかな?あれがダメなのかな・・・
「先輩・・・謝りますんで見逃してください・・・!」
もちろんただの会社の先輩にこんな現象がおこせるとは思わないが、思わずそう謝る私だが、《チロン》というスマホのメッセージ音にギクリとする。
えっと・・・もしかしなくても嫌な予感が・・・
震える指先でなんとか見慣れないスマホ(きゃわいいピンク柄のやつ!)を手にとって恐る恐る電源オをつけるとーーーそこにはLINEのメッセージを知らせる通知が!
「えっと・・・これ見たらもしかしなくても物語始まっちゃうよね・・・」
どうしたものか。ひとたびストーリーが始まれば途端にシリアス展開&鬱展開になることは必須。可愛い女の子達が殺しあうなんてそんな姿を見たくない!
特に押しキャラのクール系ヒロインのサラちゃんが死ぬ姿は見たくない!物語中盤で殺されることが確定している彼女は私と似たような時期に魔法少女になっているので、守るなら同じ時期に魔法少女になるしかないが・・・このアニメの最終回だけは来週放送で見てないんだよね・・・せめてオチが分かれば対策も取れるのに。
「ええい!こうなったらやってやる!」
なんとしても押しキャラであるサラちゃんを守って百合ルートへ導いてみせる!それが生まれ変わった私の使命だと思いながらスマホのメッセージを開くのだった。