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事件は大体食堂で起きる

何かがおかしい食堂イベント。


「きゃーーー!!!!生徒会の皆様よ!!!!」

「今日もお美しい…!!!!」

「あのマリモと平凡、まだ皆様にまとわりついてるなんて…!!!!」

「皆さまから離れてよオタクが………!!!!」

今日も今日とて、転入生は取り巻きを従え和虎を引き摺り、食堂へと現れた。あの「きゃー」は、生物学上男であるはずの親衛隊の、いったいどこから出ているのだろう。

「うるせえな!!オレが誰といようとオレの勝手だろ!!!!」

律儀に返す転入生は、罵声を浴びるのを分かっているはずなのに、人の一番多い昼休みにわざわざ食堂へ来ることをやめようとしない。

人気者を引き連れている優越感に浸かっているのでなければ、単なるドMだ。

それを口にしたところ、腐男子の友人に夢がないとなぜか怒られた。理不尽である。


罵声を浴びているのは、転入生だけではない。和虎に対しても、平凡のくせにというよく分からない罵声が飛んでいる。

「和虎が平凡に思えるって、親衛隊ってどんだけ修羅場慣れしてんだろうな」

「…見た目だけは普通の男だろ、和虎」

目が半分うつろな和虎から視線を逸らしつつ、ヤンキーな友人が呟くように言う。普通じゃない部分を良く知るヤンキーでも、和虎は一見普通にみえるらしい。

転入生ご一行は罵声と黄色い悲鳴の二重奏の中を突き進み、今日も生徒会専用となっているスペースへと向かう。引き摺られている和虎の顔がヤバい。

「てか、生徒会専用スペースってなんであんの?」

「昔の生徒会役員だった人間が、特権階級意識こじらせた結果の産物らしいぞ?」

一般生からは馬鹿隔離スペースって呼ばれてるけどな、とは中学時代から学園に通うクールな優等生の友人。

俺たちがくだらない会話をしつつも見つめる先では、転入生や和虎に対してささやかな嫌がらせを行う生徒がいないでもなかったが、転入生に関しては、取り巻きたちが周囲を威嚇しながらがっちりガードしているためどうしようもない。

代わりといってはなんだが、和虎をガードするような奴はいない。

結果、親衛隊の制裁は主に和虎に向いていた。

取り巻きたちも、転入生に対するものは家の権力を盾に脅しかけて止めさせているが、和虎はむしろ大好きな転入生にまとわりつく害虫である。止めるどころか煽るようなことまでする始末。


制裁の呼び出しなら対処のしようもあるが、殆どが机の落書きや下駄箱にゴミを詰めるなどの、ささやかながらもイラッとするイヤガラセばかりというのもあって、和虎のストレスはかなりなものとなっている。

食堂でも、転ばせようと足を伸ばしたり、罵声を浴びせたりするというみみっちいものが主である。


「いつ爆発してもおかしくないよな、あいつ」

「つうか、短気なアイツがよくここまで我慢してるよな」

「溜めに溜めた方が、爆発って威力あるんだぞ」

「………」


そんな日が、今日で一週間、続いた。

そして今日は、いつもとわずかに様子が違った。



「ちょっとあんた!!!!」



ひとりの生徒が、和虎の前に立ちはだかったのである。


こいつは波乱の予感だぜ(棒)

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