第2話 僕は言えなくなる
第2話 僕は言えなくなる
「ア、アレクのランクは…、5以上のようです…??本当に…?ありえないわ…でも…不明よね…??」
アンさんは自問自答で、ブツブツ呟いている。
「凄いじゃない!!アンさんがこんなに動揺するなんて初めて見たたよ!」
メアリーは興奮気味だ!
「ご、ごめんなさい…。ちょっと戸惑っていて……。ちょっと鑑定スキルを使わせてね」
〈鑑定Lv3〉
アレク Lv1
ランク 不明
クラス 不明
クラススキル 不明
戦闘力 10
スキル 射撃
「うーん…」
『何か分かりましたか?』
僕もメアリーも興味津々だ。
「私の〈鑑定Lv3〉では、見えなかったわ…。アレク自分で〈ステータスオープン〉で確認してみて」
「うん。分かったよ~〈ステータスオープン〉」
アレク Lv1
ランク Lv6
クラス 魔王使い Lv1
クラススキル スライム使い
戦闘力 10
ユニークスキル 並行宇宙
スキル 射撃
「な、なっ?!どうしようアンさん。ランクはLv6だ。クラスは魔王使いだって~…」
「ほ、本当に?!凄いじゃないのアレク!!」
メアリーは大喜びだ。言われてみると、嬉しくなってきた!
でもアンさんの表情は暗い。
「良いですか?アレク…。ランクLv6なんてこれまで聞いたことがありません。ランクLv4を考えただけでも、凄まじいスキルを数多く覚えて行きます…」
アンさんは話し続ける。
「その能力に国家や国家間、人間の欲望が混ざり合った時、多くの不幸が訪れるかもしれません…」
「でもランクLv6だったら凄いじゃん?そしたらアレクはみんなから尊敬されるわ!」
「尊敬だけなら…そうね。でも嫉妬や恐怖、懸念まで集めると…。例えばアレクが、このブリテン王国とランス王国の力関係を変えられるとします。メアリーはどうなると思う?」
「アレクはブリテン軍から重宝されると思うわ」
「うん。そうね。ではランス軍から見て、アレクがいると戦況が悪化する。そのアレクの戦闘力は10。だったらどうしようと考えると思う?」
「は、排除しようと考えるかも…。でも、アレクが強くなれば良いわ!」
「ランス軍が差し向けた精鋭よりも?」
「う、うん…」
「1人で精鋭を全部倒すの??」
「な、仲間で撃退すれば…」
「アレクは仲間に守って貰いながら、仲間の犠牲の上に誇るランクLv6で生活して行きたい?」
「いや。全然!こんなの公表しちゃ駄目でしょ?例え強くなったとしても、それこそ真っ先にメアリーあたりを誘拐して、ブリテン軍に突撃させられそう。何も出来ずに僕は破滅確定だね~」
「なっ!?で、でも…、でも……」
「さすがにアレクお兄ちゃん。分かっているわね。そういうこと!アレクが無敵で無いなら、直接非情な手段に訴えてくるわ。アレクが無敵にならば弱点をつけば良い。メアリーにはあなたから気持ちを伝えてあげてね」
「良いかいメアリー。公表して得られるものは、ランクLv6なのに戦闘力10の嘲りと、将来の危険を懸念した敵国の暗殺者。レベル上げは困難になるし、誹謗中傷されて気分も下がるし、何一つ良いものが無いよ~」
「で、でもせっかくランクLv6なのに!!」
「別には6でも7でも戦闘力10なんて、速攻殺されて終わり~。もしアンさんかメアリーが、外でこれを話せば、数日以内に僕は殺される自信があるね……」
「な?!なんで?!」
「だから危ないんだって言ってるでしょ~?」
「本当に…?え…っと、そうなの?!」
「だから本当だって、ランス軍だってバカじゃないんだから、ブリテン王国内にスパイくらいいるでしょ?当然、軍令は〈ランス王国に仇成す者の排除〉な訳で、それに完全に該当するし~」
「で、でも……」
「ランスに亡命してブリテンに攻め込め。と?」
「でも……」
この時、メアリーは人に喋りそうだと思った……
アレク Lv1
ランク Lv6
クラス 魔王使い Lv1
クラススキル スライム使い
戦闘力 10
ユニークスキル 並行宇宙
スキル 射撃