3、新たなる地での生活
ライアネ)「皆さん、実はこの集落の南あの山脈に囲まれた場所に私達の国があります、あるお方からその地を賜りましたが、住人がまだ私達と妖精たち位しかいないのです、私たちは新たに移り住んでくれる住人を求めています、脅威となるモンスターと動物の討伐は済んでいますから、今居るのは大人しめの中型や小型の動物しかいません、いかがでしょう?」
長)「あの山の向こうに領地が在るとは知りませんでしたな、大変有難い話ですが、しかし、それはお断りいたします。
何故ならモルブ領地の住民と言うのもありますが執政官と徴税官が見回りに来るんですよ、突然集落から人が居なくなれば領主のザエル・モルブが逃げ出した者達として扱い捜し領民を処刑するでしょう。
もしどうしても千尋様が人を求めるなら町のスラムの住人を勧誘するか、奴隷を売買で手に入れるしかありません、後は何か魅力的な物があれば自然と人が増えていくでしょうな、冒険者や傭兵、商人も訪れる様になるかと思いますよ。」
千尋)「何それ?捜して処刑って領民の扱いぞんざい過ぎない?領民あっての領主なのに馬鹿なの?貴族で在る事が特別な存在だとでも思ってるのかな、とんだ思いあがりね。」
ライアネ)「長様、耳寄りないい方法がありますが?聞きたいですか?」
長)「在るのですか?そんな方法が?移動すれば必ず痕跡は残りますし、大丈夫ですか?聞くだけなら出来ますから教えて貰えると嬉しいですの、実はもうこの辺りの暮らしに限界が来ておりますし、モンスター達の縄張り争いに巻き込まれ滅ぶ運命なので渡りに船ではありますが宜しいので?」
おもむろに倉庫からライ族の死体を取り出す。
千尋)「その方法はこのライ族の死体を餌に使って、もぬけの殻になった村を襲わせます。
多分全ての家や農屋が破壊され死体も食べ尽くされます、其処にやって来る執政や徴税官はその現場を見て逃げ出すでしょうね。
集落の皆さんは多分死んだ物として扱われると思う、集落の皆さんは私が用意した馬車に乗り込んでもらいます、必要な家畜や道具等は私が倉庫に全て保管し着いたらお返しします。
痕跡を残さない為空を飛んで移動とこんな感じです、もしばれたとしてもこちらで保護できますし、今の暮らしを提供した側として、それまでにかかった費用又は集落の皆さんを補填として私の領民となっていただく形になる様にするから安心して、かなりの金額吹っかけるから大丈夫。
でその徴税官何時来るの?今晩の内に死体ばら撒いてモンスターに襲わせようと思うんだけど?多分直ぐ来ると思うよ魔物?どんな魔物が来るか知らないけど、美味しそうな匂いを放つエッセンス漬けて放置するから。」
長)「・・・・・・い、いいのですか?そんな事までして頂いて、徴税官等は明日来ます、お言葉に甘えて千尋様の土地で残りの余生を過ごさせていただきますか、皆の者話は聞いたな!千尋様の領地へ移り住む反対の者は居るか?」
村の者達全員反対する者は無い、30人の村人達はやや不安抱きながら移動の為の準備をし馬車に乗り込んでいく。
ライアネ)「千尋様準備整いました、住民は全て馬車に収容済みです私は先に彼等を連れて領地に行って生活をする為に必要な事を教えておきます、では千尋様後ほど。」
と言い住民達を乗せた馬車は領地へと飛んで行った
残ったのは千尋と妖精のベルラと精霊のエルナ
千尋)「さーてとこのライ族の死体どんどん撒いて行くから、この動物まっしぐらエッセンス掛けて行ってくれるかな?終わったら空で待機ね。」
どんどん撒かれていく死体とエッセンス。
千尋)「終わったね・・・・土煙?もしかしなくても魔物だよね?うわ!海からも来た、空に避難。」
空からもモンスターがやって来る。
千尋)「嘘~ちょっと効きすぎた見たい、これじゃ話に聞くモンスターパレードと変わらない・・・・・火の粉は払わないとね、効き目がきれるまで2時間・・・・・あはは失敗したかもモンスターのお肉と素材は美味しいけど、この数はさすがに辛いわね、デッカイのも結構居るし地上、海、空、逃げ場所が無いので狩るしかないわ、接近戦苦手なんだけど、遠距離で何とか凌げれば、後は自動防御頼るしか無いかな。」
自動防御、元ゲームシステムの効力が反映されており敵対者の物理攻撃を防ぐ障壁が展開される、レベルの約2倍はの強さを持つ者で無ければ打ち破る事は不可能だが、魔法、魔術に対する防御は含まれない、魔法障壁を展開するか、マジックアイテムで防ぐしか方法が無いが、千尋はピアスタイプ装飾のマジックアイテムを装備しており、放たれる魔法を魔力に変換吸収、装備対象者に魔力供給を行う、約10万魔力まで吸収できそれ以降は砕け散る消耗品。
ゲンナリする千尋とは対照的に、ベルラとエルナはとても嬉しそうだ、彼女等からすれば美味しいご飯がやって来るのだから、ベルラとエルナは上位の存在、一般の種族とは天と地の差がある、べルラは小さい割に意外と力持ち、上位魔法も行使できる、更に罠と作って仕掛けたり解除したり、物を製作したりと多芸だ。
エルナは存在そのものがチート、大地の豊譲、成長促進、鉱物創造、魚を捕る為に海を割ったり、蜂蜜を得る為だけに花畑を作って蜂をおびき寄せたり、天候操作等、基本的に人間や多種族と契約しなくても生きていける存在なのだが、千尋が持つ科学力と美味しい料理には敵わなかった、彼女等は実体化して食事を楽しむ。
それ以外にも彼女達にとって娯楽は特に大事な物となっていた、娯楽それは生きて居る者にとって掛け替えの無い場所であり、無限の時を生きる存在には欠かせない物だそうだ、勿論魔物やモンスター退治等も彼女達には身体を動かして遊べる娯楽、彼女等は千尋に作られた初期メンバー苦楽を共にしてきたからこそ今を楽しめている、何より千尋の事が大好きなのだ。
3人は迫り来る魔物を主にベルラとエルナが狩りまくる、いったいどれだけ居るのか数えるのも馬鹿らしい、鑑定など使ってる暇などまったく無い状況とかしている。
大変シュール光景となって居るのが具現化した無限倉庫、走り回り倒したモンスターを次々に吸い込んでいく、手と足が生えている、元ゲーム世界の運営によって、ちょっとしたお茶目心で作り出された、倉庫に着せ替えも出来る面白機能が搭載されている、ちなみに生きている生命活動のある存在も倉庫に入れられる、勿論中の時間は止まっている。
それから2時間後討伐を終え一定のモンスターの死体を残し、その場を後にし千尋は領地に戻っていく。
千尋)(ライアネどうそっちの様子は、村の人達の説明やこれから住む家もきまったかな?)
ライアネ)(はい問題ありません、色々質問攻めにあいましたが、概ねの説明や体感して頂いた所です、家も決まりましたし、妖精や精霊の存在も紹介してあります。
一部混乱を招きましたが、千尋様に仕える従者達で在ると伝えた所、千尋様を神の使徒と勘違いしましたので丁寧に説明し誤解を解きました。
現在は課金通貨で購入した建材を使い放牧地の馬小屋、ウサギ小屋、鳥小屋、あと何故か大量の中型の鹿や猪、小動物までもがこちらの領地に流れて来ましたので、捕らえて同じように放牧地帯を分け、男衆が集まり小屋を作っています、今の所は動物達も落ち着いており女達が餌を与えてますね、皆に暗い様子も無く楽しそうに仕事をしていますよ。
千尋様に皆感謝してました、近代的な建造物には驚いていましたが、今後の生活には支障は無い様にしておきました、判らない事は妖精や精霊に聞けばいいと伝えておきました。)
千尋)(そう、喜んで貰えてなによりだわ、動物の大量流入に関してだけどちょっとエッセンスの効果が強すぎたみたいで、魔物やモンスター級のデッカイのまで来ちゃった。
多分その影響でそっちに避難したんだと思う、こっちは粗方片したから問題ないけど、素材は何処かの町で売るとしてお肉は冷凍倉庫ににでも入れて置いた方がいいよね?物凄く沢山数千位在るけど、解体は妖精と精霊達に任せるね、帰ったら外でバーべキューしましょうって伝えておいて。)
ライアネ)(分りました帰って来ましたら解体倉庫へお願いします、彼女達が魔法で解体すればあっと言う間に終わるでしょう、素材の方も売らずにこちらで売り物に作り変えてしまえばいいかと思います、衣服にも使えそうですし、後地下鉱山にドワーフが3人行きましたので、今まで採掘した鉱物を運び出して貰ってます、鉱物を使って家庭用品から農具や武具まで作れるそうで、今は眼を輝かせて仕事に当たってました、バーベキューの件は了解しました、訓練キャンプ用の広場を使えば問題ないでしょう耐火用煉瓦竈も設置されてますし。)
千尋)(小屋は妖精と精霊が手伝ってるから今日中に出来そうね、明日からは男性には畑を農業機械で耕して貰わないとね、女性には木に生った果実やビニールハウスのフルーツも収穫をお願いしましょ、それでもまだまだ人の手が足りないけど、少しずつこなしていきましょう。)
翌日
ヨルド)「千尋様のお陰で妻が眼を覚ましました、まだ少し混乱している様子で、ここは天国かとしきりに聞いてきて説明をし理解させるのに手間がかかりました。」
千尋)「それがヨルドさんの役目だと思ってください、まだ暫くは働く事も無理でしょう、ライアネから話は聞いていますね?」
ヨルド)「はい丁寧に教えて頂いたお陰で混乱する事も無く快適に過ごして居ます、娘はビニールハウスでメロンを採っていますよ、妻に食べて貰うんだって張り切ってまして。」
千尋)「ミセラちゃん頑張って居るのね、トリアさんの見舞いに来たのですが面会できそうですか?」
ヨルド)「そうなのですか?妻が喜びますどうぞ見てやって下さい。」
トリアの寝て居る1階寝室へ入る。
千尋)「私は千尋保科といいます、ライ族に襲われていた貴方たちを助けた者ですよ、身体の具合はいかがですか?」
トリア)「私達をお救い頂き有り難うございます、その上こんな立派な家まで感謝の言葉しかありません、ここは天国ではありませんよね?夢ではないですよね?」
千尋)「落ち着いてください大丈夫ですよ、トリアさんは生きていてミセラちゃんも無事ですよ、今はビニールハウスでトリアさんの為にメロンを採りにいっています。」
トリア)メロンそんな貴族が食べる様な高級な品が手に入るはずありません。」
千尋)「では見に行きましょうか、この車椅子に乗って下さい、ヨルドさん乗せて上げて、では外に行きますよ、少し寒いので、このブランケット膝に乗せてください、ミセラちゃんのいるビニールハウスへ。」
トリアは外に出て驚愕する、季節は秋、風が冷たく当たる自分が生きて居る事を証明する、そして見たことも無い建造物、乗り物、整備された道、緑豊かな街道そして広い畑で働く男達、森でクリや柿、アケビにベリーを採る女達、ビニールハウスで育つ貴族が食べるフルーツの数々。
ミセラがトリアに気が付き特大のメロンを、うんしょうんしょと擬音が聞こえてきそうな歩みで近付く。
ミセラ)「お母さん目を覚ましたんだね?良かった!見てこのメロンお母さんと食べたくて頑張って捜したんだよ、千尋様が収穫手伝ったら好きなだけ持っていって良いよって言ってくれたから貰ったの、鹿のお肉も貰ったんだよ、お風呂って言うの入って髪を洗ったらサラサラになったの、千尋様がもう少し人が増えたらお店も開くって言ってたよ。」
トリア)ああ、現実なのね生きていたミセラが無事で良かったわ、千尋様私達家族をお救い頂き有り難うございます。
千尋)「貴方たち家族だけではありません、集落に住む方達全員に、私の領地に移り住んで頂きました。
それにまだこの都市には十分な人が居ないのです、貴方達が最初の住人となります、トリアさんはまだ身体が治っていませんし、過去と向きあう時間が必要です。」
「後この薬を飲んでください、万能薬と上級回復薬です、身体の傷は治りますが、心の傷は治せませんヨルドさんとミセラちゃんがトリアさんを支えてくれます、だから安心して静養してください、再び元気を取り戻した時ミセラと一緒に働けばいいですよ、無理強いはしませんから安心してください。
他の領主と違い年貢を治める必要はありません、貴方達が働いて収穫した物が私の利益に繋がり、その一部を貴方達が得る事が出来ます、言わばお給料です。
そうそう土地と居住権利書になります、なのであの家はヨルドさん達の所有物となります、書類は大切に保管してください、ヨルドさん後はお任せします、ではここで失礼しますね。」
去っていく千尋。
ヨルド)「トリア信じられない方だよな土地と権利所、あの立派な家で暮らしていけるなんて夢みたいだ。」
トリア)「でも夢じゃないのね、まるで昔聞いた御伽噺みたいね貴方覚えてる?本当にあの高い絶壁の向こうに幸せがあったのね。」
ヨルド)「ああ、覚えて居るとも私も若い頃あの絶壁を越えようと躍起になっていた時期があった、結局越えられなかったが、千尋様が招き入れてくれたからこの場所に居られる、昔あった御伽噺はこうだったか。
遥かなる次元を越え、時代を越えた楽園が絶壁の向こうに在り、それは我等が知らぬ力を持つ者が治める土地なり、今は閉ざされた場所、何時開くかは分らず、種族を虐げし者達が現れ、激動の時代を迎える時、在りし日の力在るものが目覚め、その扉が開き、愚かなる者達には罰を与える、行き場所の無い虐げられし者達は付き従う力ある者達に招かれる。」
それから更に1ヶ月後、元集落の住人達はその生活に感謝しながら毎日を楽しく働き、それぞれが食うに困る事は無くなった、備蓄も出来長期保存の効く保存庫をもらう、立派な近代構造の家、彼等は奢る事無く毎日を生きて居る。
彼等は理解しているこの恩恵は千尋とライアネ、妖精や精霊のお陰で在ると。
この領土の外で暮らすには余りに厳しすぎる、命を脅かされる生活、領主に搾取される毎日、下手をすればその日の糧を得ることすら難しい、だからこそ奢る事は無い経験がそうさせる。
それを再び無くさない為に懸命に学び家族の為に働く其処に種族に差別は無い、ライ族と魔物やモンスターは別だが。
千尋は領土の名前を決めていた、いや国の名前で在る、日ノ本の国と。
千尋とライアネ、ベルラ、エルナが再び国を離れる、今度は食糧や日用品、武具を大量に積み込んで、職人のドワフ達が太鼓判を押して揃えてくれた武具は、大変高品質で下手をすれば貴族や国王達も喉から手が出る程の物だとか、トラブルは避けたいが売り込みは大事、打算もあるがそれ以上に繋がりは変えがたいものになる。
本来なら余り日ノ本に他国の間者を入れたくないのが現状、なのでもし同盟を申し入れられても理由を付け断るつもりでいる。
都市ダンジョンには千尋とライアネ、妖精や精霊達も挑戦した、入って攻略を試みるも断念、何故かセーフティエリアは在る、それでもダンジョンが広く深すぎた、今の所妖精や精霊達によって上級6382層、千尋が頑張ってもソロで上級61層が限界、底が見ることが出来なかった。
今は妖精や精霊は楽しそうにダンジョンを潜っている、持ち帰る素材は初級ダンジョン100層大した物が無いが下級回復薬、魔石やフルーツの食糧や資源が主、ダンジョンの魔物が弱く持つ武器がオモチャだったのが起因する(力無い村人でも倒せる)
中級1万層は中々良い素材が手にはいる中級回復薬、薬草系にキノコ関連、油やオイル等、魔物素材、魔物は実践的な強さ。
上級は美味しい素材のオンパレード欠損等を治療する上級回復薬や万能薬、アンブロシア(全快薬)まで手に入る様になる、一度踏み入れた場所ならば何時でも階層を選んでいける仕様になっていた、上級はPTによる連携が無いと無理、魔物は凶悪になる、精霊や妖精はまだソロで行けるらしい、50層まで特殊、100層まで亜種、1000まで災害、以降は破壊種と天災種ばかりとなっている事、恐らく最下層だと思われるが、終焉種の気配を感じると言っていた。(妖精、精霊情報)
ヨルドの話ではダンジョンが揃って、しかも並んで存在する事等あり得ないと、更に最悪な事に放置すればモンスターパレードが発生し、入り口が巨大化しを大きくなったダンジョンから魔物やモンスターが大量に吐き出されることが分った、ダンジョンコアを破壊すれば魔物は出なくなり、資源だけが供給されると言っていた、なので初級と中級のダンジョンコアは保護して在る、上級は妖精、精霊専用となりコアの破壊は精霊達の判断にゆだねる事にした。
なので妖精や精霊に間引いて貰っている、メリット、デメリットがありちょっとした問題を抱えた国になった、勿論住人の勧誘はしていく、又は奴隷を買って解放し馴染んで貰うしかない、住人はいくら居ても足りない、まだたったの70人、そして千尋の所持金は大銀貨2枚20万、この世界ではまだ貧乏で在る。






