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残された人類は、外の世界に夢を抱く  作者: Regulus
1章〜王女と7人の戦士〜
32/38

小さな集落:D

 戦火に囲まれる中静かに彼らの戦闘が始まろうとしていた。

 空の目線の先にはヘンリーによく似たクローン兵。

 ポプラの前にはエミリーによく似たクローン兵の姿があった。

 一見するとただの親子のようだが、少女の手には異常なまでに大きな兵器が握られていた。


 大男が空の足元めがけて拳を振り下ろした。

 大男の攻撃は地面をも砕く威力であり、素早くもあった。

「おいおいまじかよ」

「…俺が相手だ。何故ならお前達は危険だからだ…」

「それはさっきも聞いた。一体俺たちの何が危険なんだ?」

「…それは言えない…」

「そうかよ!」

 空は大男に向け刀をふりかざす。

 しかしその刃先は大男には届かず、いとも簡単に片手で止められた。

「…お前の剣は俺には届かない。何故なら俺とお前では力の差がありすぎるからだ…」

「そうかよ!だったらこれはどうだ!」

 空が刀についたスイッチを押すと刀からは激しい青光りする電流が走った。

 流石にその電流に耐えかねた大男はその手を離してしまった。

「流石にこれは効くか」

「…なかなかやるな。だがそんなものは致命傷にはならない…」

「そうかよ!でもよ、腹がガラ空きだぜ!」

 空がH-25の懐に間合いを詰め剣戟を繰り出そうとする。

 しかし、その剣は受け止められ空は宙吊りにされてしまう。

「…お前の剣はたしかに鋭い。しかし詰めが甘すぎる、それが敗北の原因だ…」

「クソ!離せ!」

「…それは出来ない相談だ。なぜなら俺はお前のみ…敵だからだ…」

 何かを隠すように言い換えた大男の言葉に不自然さを感じた空。

 空が考えを深める中大男は、空の体を宙へ放り投げた。

「…余計なことは考えるな。なぜなら戦闘でのよそ見は死に繋がるからだ…」

 大男は宙に浮いた空を重たく硬い拳で殴り飛ばした。

「グハッ!」


「…もうそろそろ頃合いか…」

 大男は空の落下地点へ駆け寄り空を受け止める。

「うっ…なんの真似だ?」

「…こうしないとお前と話しができないからだ。なぜならあの子の目線を遠ざけるにはこれしかないからだ…」

「話ってなんだよ!それよりも俺を下ろせ!」

 大男は空を下ろしその場で土下座をした。

 その行動に驚いた空は腹部を抑えつつも頭を上げろと大男に手を差し伸べる。

「…こうするしかなかったとはいえ、悪いことをした。申し訳ない…」

「で、話ってなんだよ」

「…簡単に言うと、お前たちエミリーにあったことがあるのか?と言うことだ…」

「なんだよ。そうだなあった事がある」

「…あいつは元気だったか?」

「元気だったが、あのエイジスとか言う男に連れていかれた」

「…それはまずいことになった。なぜならあいつはエミリーを使ってじ分の体の性能をあげようとしているからだ…」

 話を続ける大男に手のひらを向ける空。

「いや待ってくれ、話についていけないんだが、どうしてお前はエミリーをそこまで心配するんだ?」

「…答えは簡単だ。なぜなら俺はあの子の父親だからだ…」

 大男の口から発せられた言葉を聞き空は開いた口が塞がらなくなった。

 その場で倒れていた海斗が起き上がり大男に質問する。

「おい海斗、無理して起き上がるな」

「大丈夫だ。俺からも質問させてくれ。あんた一体何者なんだ?」

「…この質問に対してはすぐ答えられる。俺が本物のヘンリーだ…」

 大男は、あろうことか自分のことをヘンリーだと名乗ったのだ。

 そのような事実を受け止めることのできない海斗は、大男の容姿を確認する。

「どう言うことだよ」

「じゃあ、この写真に写っているのはお前なんだな」

 空はポケットから透明な筒に入ったヘンリーの姿を見せる。

「…間違いない。どうせならここにいる全ての人の名前でも言おうか?」

「その必要はない。だが、どうしてそちら側にいるんだ?」

「…娘を救うためだ…」

 ヘンリーはその場で涙を流し始めた。

「…どうか、どうか助けてほしい。あの子をエミリーを…」

「泣くなって、俺たちの目的もそれだ、一緒に助けに行きましょう!」

「待て海斗、本当に信じていいのか?」

「なんだよ空、お前が信じろって言ったんだろ」

 疑いの目でヘンリーを見つめる空。

 その視線に気がついたのかヘンリーは空の方を見返す。

「…どうしてそんな目で俺の方を見るんだ?」

「いまいち信用ならないからだ。いくらお前がヘンリーだとして、俺たちにはお前の言葉を信じる義理があるとは思えない」

「…それもそうだ。俺はお前たちにしてはいけないことをした。だが頼むこのことに関しては俺を信用してほしい…」

 一つため息をつき諦めたような表情を見せる空。

「仕方ない。今回は信用してやる。だがなお前が怪しげな行動を取った瞬間殺せるようこの爆弾をつけさせてくれ」

「…構わない。それで俺が信用されるなら…」

 空はヘンリーの背中に小型の爆弾を付けた。

 仮にではあるものの、本物のヘンリーが仲間に加わり、空の戦闘は幕を閉じた。


 一方のポプラの方は、熾烈な戦いを続けていた。

 両者共に戦闘方法が違うためお互いの体に傷をつける事ができても、それらは致命傷とまではいかなかった。

「そろそろやられてくれるかしら?」

「ふっ。それは出来ない相談だな」

「そう、だったら私も本気を出すしかないようね」

 どこに隠していたのか、ポプラの背中から二つの大きな機関銃が出てきた。

 ポプラは、それを少女に向け連写した。

 しかしその銃弾は全て弾き飛ばされた。


 肉弾戦で来る少女に対し、ポプラは遠距離からの攻撃。

 相反する二人はお互いの間合いに入る事が出来無くなってしまった。

「いい加減そんな所から攻撃しないでこっちに来たらどうなんだ?」

「いやよ、私とあなたじゃ戦い方も体格も違うもの」

「そうだな、あんた見たところ小学生みたいだもんな」

 高笑いする少女を睨むポプラは怪しげな動きをし始めた。

「どうしたんだ?あきらめたのか?」

「そんな事ないわ。ただの時間稼ぎよ。もういいでしょ早く変わりなさい!」

 ポプラの呼びかけに反応し、後ろからリーチャオが飛び出し少女の顔面を殴り飛ばした。

 地面に叩き付けられた少女が起き上がると顔の皮が剥がれ中から人間の骨に良く似た金属の骨がむき出しになった。

「よくもやってくれたわね」

「まさに化けの皮が剥がれたようね」

「うるさい!絶対に許さない!殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!」

 少女だった物は呼吸を荒くし、自分の指を二本噛み砕いた。

 それはまるで獣のように手足を地面に着けリーチャオへ襲いかかる。

「まるで獣ね」

 少女を見るリーチャオの元へ近寄るポプラは怪しげなツイッチを渡す。

「これを使いなさい」

「なんなのこれ?」

「説明なんて今はいいから早く推しなさい!」

 リーチャオが、スイッチを押すと少女の周りに仕込まれていた爆弾が起爆し少女の体はバラバラになり吹き飛んだ。

 少女はバラバラになってもなおリーチャオへ襲いかかる。

 少女がリーチャオの目の前まできたところで、大きな拳が、目の前を過ぎる。

「…これで終わりだ…」

 それはヘンリーの姿だった。

「嘘でしょ…」

『マスター!離れてください!そいつは先ほど空殿を殴り飛ばしていました』

「…待った待った。確かに殴り飛ばしたが、俺はお前たちの味方だ」

 ヘンリーは両手を目の前で降り慌てた表情でモズの方を見る。

「本当だぞモズ」

 そこにはボロボロになった海斗と空がいた。

 モズの疑問の他所で少女のクローンは息絶えた。

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