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残された人類は、外の世界に夢を抱く  作者: Regulus
1章〜王女と7人の戦士〜
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小さな集落:C

 食事を終えたポプラは、空達に向け話しを始めた。

「そうね、まずは世界の中心についてよ。簡単に言って、そこは行けると思わないほうがいいわね」

「どういうことだ?」

「あそこはね、私達の共通の敵の本基地があるのよ、もしそこに立ち入ろうとすれば、わかるわね?」

 三人は思わず息を飲んだ。

 しかし、ポプラの一言で一同は気づかされることもあった。

「なるほど、そういうことか」

「どういうことだ?」

「前にエイジスが言ってたろ、世界の中心で待つって。つまりだそこにあいつもいるんだよ」

「そうなのか?」

 二人が話している間ポプラは、コップに入っていた飲み物をすすっていた。

 話が終わるのを見計らい再びポプラは、話を始める。

「話してもいいかしら?」

「すまない、続けてくれ」

「それじゃあ次よ。次はねあなたのお父さんについて」

「俺の父さんについてか」

「そう、単刀直入に言うとね、あなたのお父さんもう人間じゃないのよ」

「どういうことだよ」

 空に強く肩を掴まれたポプラは、オドオドしながら空の手を避ける。

 空は自分が冷静になれていなかったことに気がつき、席に戻る。

「ごめんなさいね、私も簡単に言いすぎたわ」

「こちらこそすまない」

「この話は私の父の話とも関係するのよ」

「話してくれ」

「さっき私の父は科学者だって言ったわね、だいたい察しがついてると思うけど、私の父は人類で初めてクローンを作った博士よ」

 空と海斗が話していた内容が合致した。

 その話に気がついた二人は目を合わせる。

「やっぱりそうだったんだな」

「さっきの話の通りだ」

「あら、気づいてたのかしら。それはいいとして、この若返りの研究元々は私の父が不老不死の研究をしていたものを応用したものなのよ」

「でもよ、その話流れだと、空の親父がここに来たってことになるぞ」

「それはちょっと違うわね」

 ポプラは、引き出しから一枚の写真を取り出す。

 それは、空が持っていたものと同じだった。

「この写真がどうしたんだ」

 ポプラは、写真に指をさしながら話を始めた。

「ここにいるのが、あなたの父ね、そしてこれがあなた」

「間違いないよ」

「それじゃあ次はこの人」

 ポプラが指をさしたのは一人の初老の男だった。

「誰だこのおっさん」

「失礼ね、私の父よ」

「え?じゃ、じゃあ空はあったことがあるのか?」

「俺はこの人から発明のイロハを教わった、まさかこの人が…」

「思い出に浸ってる暇はないのよ時間は有限だからね。次はこの人」

 次にポプラが指をさしたのは、人形のような綺麗な少女だった。

「なに、この子可愛いじゃない」

「私よ」

「え?」

 三人は疑いの目でポプラを見る。

 それに対しポプラは、ギロリと睨み返した。

「何よ、文句でもあるの?」

「「「ありません」」」

 話をしていると、外が騒がしくなってくる。

 何かを感知したのかモズが目を覚まし立ちあがる。

「どうしたの?」

『敵襲です。相手はおおよそ30人、おそらくミスト軍でしょう』

 一同に緊張が走る。

「それじゃあ、話していられないわね」

「俺たちがいく、ポプラさんは隠れててくれ」

 三人は家を出た。


 家の外は火の海となっていた。

 人々は避難をしたのか誰一人としてその場にはいなかった。

「どうやら避難に成功してる様子だな」

 後ろから近づいてくるポプラに驚く三人。

「そんなに驚くことないでしょ。それよりもみんながここにいないのは当たり前よ、わたしがそれぞれの家にシェルター用意したからね」

「なあ、あいつらって子供と、老人には手を出さないんじゃないのか?」

「そのはずだけど、何かおかしいわね」

『前方火の中から誰か来ます』

 火の海の中から一人の大男と、小柄な少女が出てきた。

 男の姿は、ヘンリーと瓜二つであり、少女の姿はエミリーの姿と瓜二つだった。

「まずいわね」

「どういうこと?」

「あれ、普通のクローンとは違うわ。なんというのかしら心がない感じね」

「それよりもあのエミリーだ今すぐ行こう!」

 海斗が少女の元へ近づく。

 少女の目には光がなく、海斗が手を差し伸べようとすると、少女はその体よりも大きな海斗をいとも簡単に吹き飛ばしてしまった。

「海斗!」

「何を勘違いしているのかわからないけど私はそのエミリーという少女ではないわ。私はE-01、そしてこのデカブツがH-25あなた達を殺すよう言われてここにきたの。全くあなた達がここに来なければ、こんなことにはならなかったのにね」

 少女のは嘲笑うかのように空達に挑発をする。

 その横では海斗が蹲り倒れている。

「リー行けるか?」

「ええ、行けるわ」

「その調子じゃ無理そうね」

 ポプラがリーチャオの肩を叩く。

 リーチャオは、その場で立ち尽くしてしまった。

「空君、私が相方でもいいかしら?」

「構わないが、戦えるのか?」

「年上をなめないでちょうだい」

 取り残されたリーチャオは、ポプラの姿を見ていることしか出来なかった。

「そこの幼女が相手かな?」

「そうよ、悪いかしら」

「いいや悪くない、むしろ歓迎だよ。簡単に殺されそうなやつで、おいH-25そこの男をやれ」

「…わかった…」

 寡黙な大男が空の前に立ち塞がる。

「…すまないがここで君たちには死んでもらう…なぜかというと君たちは危険だからだ…」

「俺の知ってる顔と知った声でよく喋るな」

 空とポプラは、武器を構え戦闘態勢に入る。

 その場には火の音以外のなんの音も入らない静かな空間が広がった。

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