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残された人類は、外の世界に夢を抱く  作者: Regulus
1章〜王女と7人の戦士〜
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小さな集落:A

 街を抜け、一行は湖畔にある小さな集落へ訪れていた。

 集落には、大人はそう多くなく殆どが成人する前の子供ばかりであった。


 集落に着くなり白衣を着た一人の少女が駆けてくる。

「なんだ?あの子」

「こっちにくるようだな」

『敵ですか?迎え撃つ準備をします』

「落ち着いて、きっと違うから」

 少女は息切れをしつつも空たちの前に立ち止まった。

「どうしたんだお嬢ちゃん?」

「失礼ね、こう見えても私あなた達より年上なんだけど。それどころじゃないわ、今すぐ来てちょうだい」

 少女は空の腕を強引に引っ張り、集落の中へと急いだ。

 残された海斗達はその後を追った。


 少女に連れられ一行がやって来たのは、一軒の小さな家だった。

 その家は小さいものの外観は綺麗で、整った様子だった。

「ここに連れて来てどうだってんだよ、それに名前も聞いてないし」

「申し遅れたわね、私はポプラ。年齢はだいたい30歳くらいかな」

 年齢を聞いた途端海斗が驚き飲んでいた水を吹き出す。

「汚いぞ海斗」

「いや、だってよ」

「人の年齢聞いて驚くなんて失礼な人ね。ってそうもしてられないのよ、貴方達料理はできるかしら?」

「え?料理?できるけど」

 ポプラは目を煌びやかにさせ家の中に入る。


 家の外見はいたってふつうだった。

 しかし、家の中はそうではなかった。

 あちこちに散らかっている空き缶、椅子の周りには服が散乱し、台所はその用途をなさないような状態だった。

 無論一行はその光景を目撃し、絶句した。

「おいおい、なんだよこれ」

「ひどいわね」

『これが普通なんでしょうか』

「そんな訳ないだろ」

 空のツッコミを他所に、ポプラは足場のない家の中を軽快に飛び越え、リビングへと行く。

「本当になんなんだあいつ」

「知らないわよ」

『随分と偉そうですが』

 一行がポプラの正体を疑っているそんな中、ポプラは横柄な態度で椅子に座り込んだ。

「まあ、こういうことなのよ、私はこう見えてあんた達の知りたい情報を知ってるの」

「それで、教えて欲しかったらこの部屋をどうにかして飯を作れと」

「物分かりがいいわね。3日も何も食べてないから厳しいのよ」

「ふざけんじゃねーよ、俺は嫌だね」

 海斗はそんなポプラの態度に呆れその家を出ようとする。

「あら、そんなこと言っていいのかしら?」

「どういうことだ?」

 ポプラは不敵な笑みを浮かべる。

「そうねぇ、貴方こないだまでそこの空って子と喧嘩してたわね。それにその腕、その腕もここなら治るかもしれないわね」

 ポプラの言うことは的を得ており、海斗はその場で硬直した。

「な、なんでそんなことわかるんだよ」

「あら、言ってなかったかしら。私こう見えても科学者なの。今までの貴方達の行動全て見させてもらってたの」

「なんでその科学者のガキンチョが、俺たちのことつけるんだよ」

「なんなの貴方やっぱり失礼ね、私の発明のおかげで助かってるってのに」

「どう言うことだ?」

「貴方達のいた街にクローンを判別するゲートがあったでしょ」

「それがなんだよ」

「それ作ったの私よ」

 見た目年齢10歳ほどの少女の姿をしたポプラはあろうことか、この国を守るゲートを作ったなどと言い、一行を驚かせた。

 海斗は出て行くことをやめ、その場にとどまることにした。


「どう?三人とも乗る気になったかしら?」

「私はいいけど」

「俺も構わん」

 二人は海斗の方をじっと見る。

「あーもうわかったよ、やりゃあいいんだろ?やりゃあ」

「そこの人工知能君はどうするのかしら」

『なるほど、僕の正体も見抜いてた訳ですか。できることはそこまでないですが力になりましょう』

「聞き分けのいい子は好きよ」

 ポプラは小悪魔のような笑みを三人に向け、再び三人と一匹に命じる。

「さあ、まずはこの家を片付けてちょうだい」

 ポプラの横柄な態度に海斗はやはり手が出そうになった。


 三人が手際よく家の中を掃除している中、モズはポプラの頼みで街の方まで買い出しに行っていた。

『全く人使いが荒いんですから、こうなれば新しいボディの政策も考えに入れるしかないですね』

 ポプラから渡されたメモには、さまざまな食材や雑貨の名前が書かれていた。

『いちいち頼むのも面倒ですね、こうなれば犬のふりしてやり過ごしますか』

 モズがしばらく歩くと、小さな商店街へとたどり着いた。

 商店街の人々はポプラ同様見た目の年齢が低い者ばかり。

 モズは少しの疑問が残るものの買い物を始めた。

『ーまずは肉屋ですね。おっとここですか』

 肉屋は、ものこそ少ないものの質の良い者ばかり置いてあった。

「あらいらっしゃい、なんだか珍しいお客だね」

『ワンッ』

 モズはメモを店主に渡す。

「このメモの文字、なるほど貴方ポプラさんのお使いね。だったらそんな犬のふりなんてしなくていいよ、ある程度のことは聞いたからね」

『では遠慮なく喋らせてもらいます』

 店主はモズの背中のバッグに肉を入れ、代金を受け取った。

『店主殿ありがとうございます』

「いいんだ、帰ったら肉屋の店主がよろしく言ってたって伝えてくれ」

『わかりました、伝えておきます』

 モズは肉屋を済ませほかの買い物を全て終わらせ、ポプラの家へと戻る。

『ーしかし、ここの集落の人は殆どが子供のような姿だったが、何故だ?それに大人は居ても殆どが老人だった。これは帰ったら聞くしかないな』

 考え事をしているうちに家の前へと着いていた。

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