表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残された人類は、外の世界に夢を抱く  作者: Regulus
1章〜王女と7人の戦士〜
27/38

侵入作戦:H

 空が海斗に耳打ちをし、作戦を伝える。

「この部屋にあるものの中で水の含まれてるものはなにがある」

「それをどうするんだよ」

「なに、前にお前が思いついた案だよ。簡単に言えば感電だ、この部屋には四方に花瓶がある、まずそれを集めろ」

「わ、わかった」

 空と海斗は手分けして花瓶を集める。

 無論怪物はそんなニ人に手を出さない訳もなく、そこにある机や、椅子、電灯をも壊しつつ攻撃を仕掛ける。

 降り注ぐ瓦礫や、ガラスの破片を避けつつ花瓶を集めるが、二体の怪物はその大きな体に見合わない機敏な動きで二人を追い詰める。

「おいおい、勘弁してくれって、おい!空、これはなかなか骨が折れるぞ、何か集める方法はないか?」

 遠くからの海斗の声に反応し、一度後退しようとするも怪物は容赦なく攻撃を仕掛ける。

「悪いな、こっちもなかなか大変で思いつかない」

「それじゃあ脳筋戦法で行くか」

「簡単に言って、ゴリ押しな」

 空は、怪物から振り下ろされる棍棒や、大きな足を避けつつ一つ目の花瓶を取る。

 一方の海斗はすでに二つ目の花瓶を集めていた。

「空!こっちはもう集まった、あとはお前の前のその一本だけだ!早く取って戻ってこい!」

「なかなか無茶言うね、大丈夫すぐ戻る」

 そう言い、空がもう一つの花瓶を取ろうとしたその時、空の背中に重い一撃が振り下ろされる。

 空は持っていた花瓶ごと吹き飛ばされ、海斗の元へ戻って来る。

「よう、早かったな」

「そんなこと言ってないで、助けろ」

「悪かったな」

 海斗は空に手を差し伸べ、空はその手を取り立ちあがる。

 空の目線の先には、無残にも粉々になった花瓶と、その場に散らかる鮮やかな赤色の花。

 それを見た空は深々とため息をついた。

「そんな落ち込むなって」

「落ち込むんじゃなくて、気合い入れたんだよ」

「気合いの入れ方が独特なんだよ」

「かもな、花瓶一本分けてくれ」

 海斗は手元の花瓶を一本空に渡す。

「一本で足りるのか?」

「わからない、取り敢えずやってみないことにはどうにもならんだろ」

 二人は怪物めがけ花瓶を投げつける。


 二人が投げた花瓶は怪物の頭に命中し、怪物の頭には彩り豊かな花と、その花を生けていた水が降り注ぐ。

 降り注がれた水は怪物の目にも入り、怪物の目を潰し、怪物はその場にうずくまる。

「ちょうど、届く位置に来てくれたな」

「ああ、行くぞ海斗!」

「任せとけ!」

 海斗と空の持つ武器に青白い稲妻が走る。

 海斗が、怪物に槍を振りかぶろうとすると、怪物の拳がその槍にあたり槍は怪物の後ろへと飛んで行く。

「大丈夫か!」

「俺自体はなんともないが、あれじゃあ」

「仕方ないこれを使え」

 空は海斗に、自分の付けていたガントレットを投げつける。

「これってあの時の!」

「そうだな、右から二番目のダイヤルを右に回せ!」

 海斗がダイヤルを回すと、それは今までの武器同様に青白い光を放ちいつしか稲妻をまとっていた。

 再び二人は怪物めがけ武器をふりかざす。


 空が振りかざした武器から大量の電流が、轟音とともに怪物の脳へと走る。

 その電流は水を経由してその大きな腕へと流れて行く。

 見事に怪物の腕と頭から黒い煙が放たれ怪物は行動を静止し、それを見計らい、空は首元の管を叩き斬る。

 海斗が強く拳を握ると例のあの声が流れる。

『チャージ開始、20%、60%、90%、100%。チャージ完了です。』

 海斗の拳から繰り出された一撃は、電流はおろかパイプごと頭を吹き飛ばした。

「よっしゃーー!」

「やったな海斗」

「こっちは電流いらなかったな」

「まあ、念のためってやつだ」

「ああそう言うことね。ってそうもしてられない、早く中の二人を助けるぞ!」

『なんて無茶な作戦だ、早く二人を救出してください』

 その後、モズの指示通りに老人の娘と孫が救出された。


「起きろ!リー」

「終わったの?」

 今まで眠っていたかのように、目を覚まし立ちあがる。

 体に痛みこそはあるものの、傷などはなくすんなりと立ちあがることができた。

「ああ、終わったし、二人を助けもした」

「やったじゃない」

 リー炒はその一歩を踏み出そうとすると、足がもつれその場に転びそうになる。

 モズはリーチャオの服を引っ張り転ぶのをすんでで回避する。

『全く、さっきまで倒れていたんですから無理をなさらないでください。さあ、私の背中に乗って』

「そんな、あなたに乗ったら、潰れたりしないの?」

『僕のこの体はロボットです、そこそこの力は出せますし、そもそもマスターの体はそこまで重そうではないように思えますから大丈夫です』

「やっだーもう」

 リーチャオはモズの頭に何発も打撃を加える。

『痛い、痛い、痛いですマスター』

「あー、ごめんね」

 扉の先にいる空と海斗に呼ばれ二人はその場を後にしようとすると、どこからかアナウンスが聞こえてくる。

「モデルGの信号が消滅。これにより施設は自爆の準備を開始します。基地内にいる兵士は至急退避してください」

 一行の顔色は、一気に変わり急いでその場から立ち去る。


 一行が基地を抜けると、背後にあった基地は大爆発をし、その場は一瞬にして平地となった。

 爆発に間一髪で巻き込まれずに済んだ一行は、全員その場で額から冷や汗を流してその場に座り込む。

「いやー、危なかったな」

「モズ、このこと知ってた?」

『いえ、残念ながら。私はコンピューターにある情報は収集することはできますが、その場に書かれた紙類があると、収集に困ります』

「ごめんなさい、野暮なこと聞いて」

『いえいえいいんです。それよりも早くその二人を病院へ連れて行った方がいいのではないでしょうか』

 一行は気を失いぐったりしている二人を車に乗せ街へ戻る。


 街へ戻ると、そこには一人の老人が立っていた。

 老人はこちらを見つけるやいなやこちらへ近寄って来た。

「わ、私の娘と孫は?」

「大丈夫!助けて来たよ」

「本当ですか!ありがとうございます」

「たた、ちょっと意識がないから、病院まで案内してくれる?」

「もちろんですとも、ささ、こちらです」

 リーチャオのコミュニケーション能力の高さに驚きを感じつつ、一行は病院へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ