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残された人類は、外の世界に夢を抱く  作者: Regulus
1章〜王女と7人の戦士〜
25/38

侵入作戦:F

 北の部屋の扉を開け中に入る空。

 恐る恐るその部屋に入ったものの、そこにはただただ廊下が続いているだけだった。

 不審なところというと、遺跡の中にあったように、無数のガラスでできた筒の中に人間がいるもののみ、他はなんの変哲も無い廊下だった。

「なんなんだ、俺のところなにも無いぞ」

 空はその廊下を抜けようと、永遠と歩き続けた。

 しかし、歩いても歩いても終わりが見えず、後ろを振り返ると、そこには入ってきた扉があった。

「おいおい勘弁してくれよ、無限ループかよ」

 再び空は廊下を歩き始めた。

 それからしばらくすると、壁に一つの扉が現れた。

「なんだこの扉。とりあえず開けてみるか」

 空は、その扉を恐る恐る開く。

 中には無数のモニターがあった。

「うわっ!なんだよこのモニターの数、ん?なんだこの映像」

 空が目撃したモニターに映っていたのは、故郷の映像だった。

 故郷は、多くの家屋がなくなり、人々は皆ミスト軍兵士により、誘拐されていた。

「おい!ふざけるなよ!なんなんだこの映像、嘘なんだよな?」

 空はその部屋を出、廊下をさらに奥へと進んで行った。


 それからしばらく走ると、再び壁に謎のドアが現れた。

 空は再びその部屋に入る。

「また部屋か、今度はなんの映像だ?」

 モニターに映されていたのは、海斗の様子だった。

 海斗は懸命に、兵士と戦い勝利を収めていた。

 しかし、しばらく映像を見ていると、海斗の背後から空自身の姿が現れ、海斗の背中を自分の武器で刺し殺している映像に変わった。

「ど、どうして俺が、海斗を…」

 映像の中の自分がこちらを見返し、カメラ目線のまま、口を大げさに動かし何かを伝えた。

『お前の負けだ。諦めろ』

 空はモニターに映る自分自身の姿を殴り、その部屋を後にした。


 次の部屋はそう遅く無いうちに現れた。

 やはり部屋の中には無数のモニターが設置されていた。

 しかし、空が壊したモニターは新しいものとなっており、再び映像を流していた。

 そこには、問題を解いているリーチャオの姿が映されていた。

 リーチャオの姿を見ていると、突如として映像内のリーチャオの姿が黒い靄に囲まれ見えなくなり、またしばらく見ていると、そこにはやはり自分の姿と、その場に倒れるリーチャオの姿があった。

「どうせまたあれをいうんだろ?」

『もう一度やり直せ』

「もう一度やり直せ?一体どこからだよ」

 さらに出た疑問を後回しにし、その部屋を出た。


 部屋を出たはいいものの、現状は変わらず、部屋の外には永遠と廊下が続いていた。

「確か、もう一度やり直せだったか、やり直す。やり直す。とりあえず来た道をもどってみるか」

 空が来た道を戻ると、先ほどとは違う扉が現れた。

「また、扉が。この流れはもう飽き飽きなんだけどな、まあ、入るけど」

 扉の中は、今まで部屋とは違い無数のモニターはなく、代わりに一枚の写真が落ちていた。

 写真には、空の姿、海斗の姿、リーチャオの姿。

 そして何よりも、正体を現した後のエミリーの姿があった。

「なんだこの写真は、こんな写真撮ったことはないぞ。」

 恐る恐るその写真を手に取ると、その写真は触った箇所から崩れるようになくなった。

「おいおい、本当になんなんだよここは!写真は無くなるし、廊下がただ続いてるだけ、本当になんなんだよ」

 写真が落ちていた場所に小さな文字が浮かび上がって来た。

『一度死ねばわかる』

「死ねばわかるって、なんなんだ?」

 その部屋を抜け出そうと扉を開けそこから出ようとすると、そこには同じ部屋があった。

「また部屋かよ、あー、もう、仕方ないな。死んでみればいいんだろ!死んでみれば」

 空は自分の腰に下がっていた刀の鞘を抜き、自分の心臓に突き刺した。

「グァァア!」

 叫び声とともに、口から大量の血が流れ出す。

「ふっ、これでいいんだろ、これで抜け出せるはずだ」

 そういい、空は目の前が真っ暗暗くなってしまった。


 目がさめると、そこは、見知らぬ部屋。

 そしてそこには不審な男の姿があった。

 空の体はきつく拘束されており、抜け出せるのは困難であった。

 不審な男は、空が起きたのに気がつき、空の元へ近寄ってくる。

「やあやあ目覚めたかい。私の名前はミスト軍本部所属治療班班長の、ミハエルだ、よろしく。それよりも、よく起きれたね?」

「どういうことだ?」

「実はね、君には強めの麻酔を打たせてもらったんだ」

「なら、あの夢を見せたのもお前だったのか」

「夢?違う違う、それは君の心の深層心理だよ」

 軽い口を叩くミハエルに空は少しの怒りを覚え始めていた。

「おい、この縄解いてくんないかな。いい加減苦しくて辛抱ならんのだが」

「それはできない」

「何故だ」

「私はエイジス様に生きたまま渡すようにと頼まれてるんだ、そういうことで、縄は解くことは出来ない。それに抜け出したら僕のことなぐりにくるだろ?それだけは勘弁なんだ。それでも抜け出したいならその縄を自分で引き裂くなりなんなりしたらどうかな」

 ミハエルが挑発している間に、空はポケットからライターを取り出す。

 空は縄を自分の持っていたライターの光で燃やし、その場から脱出し、ミハエルに殴りかかる。

「ちょー、ストップストップ。どうか暴力だけはやめてくれ」

 ミハエルの見苦しいまでの命乞いに少しは反応するも、結局空はミハエルを殴り飛ばした。

「なんでだ?お前は俺にそれ相応のことをしただろ」

「俺には家族がいるんだ、家族を不安にさせることだけはしたくない。この気持ち分かるだろ?」

 ミハエルの言葉を聞き、空は顔の前まで来ていた拳を止め、後ろへ下がっていった。

 ミハエルはその姿を見て不敵な笑みを浮かべていた。

「やはり君は家族って言葉に弱いんだね、敵を目の前にして同情するなんて、君は少し、いや、大いに馬鹿者だよ!」

 ミハエルは、そう叫んだのち腰につけていたコンバットナイフで空に斬りかかる。

 空は、すんでのところでかわすも、麻酔の影響もあり、足元がおぼつかない様子だった。

「へえ、避けれるんだ」

「ふっ、これでも麻酔のせいで体が思うように動かないんだよ」

 空は、部屋の中を見回すと、ミハエルの後ろに自分の刀があることに気がつく。

 それを取ろうとするも立ち塞がるミハエルが邪魔で取りに行けない。

「そこ、退いてくれるかな」

「嫌に決まってるだろ、ここを退けたら君は僕のことを殺すだろ?それはダメだよ、僕が君に殺されるんじゃなくて、僕が君を殺すんだから」

 狂気に満ちた表情を、空に向ける。

「じゃあ、力ずくで行かせてもらう!」

 空はその場を走り抜けようとする。

 しかし、ミハエルの方が動く速度が上だったようで、右腕に一撃もらい少しの傷を負った。

「本当に退けてくれないかな」

 もう一度、もう一度と、刀めがけて走り、ようやくの思いで、その刀を奪取することに成功した。

「へえ、やるね」

「はあ、はあ、これで形成逆転だ」

「それはどうかな」

「どういうことだ!」

 空がミハエルに斬りかかると、ミハエルはその攻撃をナイフで受け止めた。

「くぐり抜けて着た戦場の数が違うってことだよ」

 何か、対抗するすべはないのかと、辺りを見回すも、そこにあるのは自分が縛られていたロープだけだった。

「くそ、こんなもので何ができる。いや待てよ」

 空は、徐にそのロープを使い何かを作り始めた。

「何やってんだ?とうとう諦めたのか?」

「いいや違うこれは、こうやって使うんだよ!」

 空は、そのロープをミハエルの足に絡ませ、転ばせることに成功した。

「原始的な技、嫌いじゃないな。でもだからどうしたんだい?別にこんなことしたって状況は変わりやしないよ」

「状況はどうだっていいんだ、俺はお前の隙を作りたかったんだ!」

 空は、転んだミハエルの腕を片方吹き飛ばした。

「いぎぃ!」

「腕がなければ、ナイフも握れないだろ?」

 その勢いで、もう片方の腕、そして両脚と切り落とした。

「お前が負けたのは、その詰めの甘さだ。最後に何か言い残すことはあるか?」

「お前はいずれ死ぬ、その時は幾分も待たない間に来る。さあ、殺せ」

 空は、刀に電気を流しミハエルの背中に斬りかかる。

 ミハエルは、悲痛な叫びを上げつつ、その場で息絶えた。


 空はその部屋を後にし、海斗と、リーチャオの元へ急いだ。

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