侵入作戦:C
基地の中には無数の部屋や大きな階段が目の前にあった。
「しかし広いな、なんだよ。基地って言うより城だな。」
「そうね、それにこんなに部屋が、あったらどこにおじいさんの娘さんとお孫さんが居るのか分からないわね。」
「とりあえず、手分けして探すぞ。」
空は北の部屋、海斗は西の部屋、リーチャオは東の部屋へと探索を開始した。
海斗は勢い良く西のドアを開けるとそこには広い厨房が広がっていた。
「ただの厨房かよ、ビビって損したぜ。」
海斗が見回す限りそこはただの厨房であった。多くの皿に、包丁、業務用の冷蔵庫、そして大型の流し台。確かにそこは一般的なレストランの厨房のようであった。
しかし、そこは厨房としてはおかしな点が幾つもあった。
「ん?なんだ?これ。」
そこには直前まで誰かが料理していたようなまだ温かい料理の数々。
そして、その周りには飛び散った赤黒い血の様な物が足下にも流れていた。
「血、だよな....」
「あらお客さんかしら?」
「誰だお前!」
海斗の背後に音も無く近寄ったエプロン姿の男。
男は海斗に武器を構えさせる隙を与えずに海斗を冷蔵庫まで投げ飛ばした。
「ぐはっ!」
「私の厨房でそのような物出そうとしないでくださる?それでは自己紹介をさせていただきますわ。私はミスト北陸部料理長兼ミスト軍曹長『ギル』と申しますわ。」
「そんな事言うがよ、何だよこの血みたいな物。」
「ああそれ。以前ここに侵入して来た男達がいたんだけど、ここで暴れるから私が殺しちゃった。」
そう言うとギルは自分の背後から血の染みた肉切り包丁を取り出し、じわじわと海斗の元へ近寄る。
「おいおいなんだよそれ、俺の所なかなかハードなやつが出てきやがったな。それにあの血一対何人殺して来たんだよ。」
「あら、ハードだなんて。そうねぇ、この包丁で数えきれないほど殺して来たわね。そんな事より。あなたの顔好みだわ。食べちゃいたいくらいにね。」
海斗の背筋がゾクッと震える。
海斗は普段は余使わない脳の回路をフル活用しこの男はヤバいと判断した。
「生憎俺にはそんな趣味無いんでね、すまないがとある人の居場所を教えてほしいんだよ。」
「あら、つれないわね。でもそんな所も好きになっちゃいそう。そうね、だいたいあなたが探してる人とやらは知ってるけどただじゃ教えられないわね。」
「へえ、そうかい。じゃあ、力ずくでも教えてもらうよ!」
海斗は槍を両手に構えギルへ襲いかかった。
所変わって東の部屋へと入っていったリーチャオ。
「また私くらい所なの?」
暗く続いていく一本道。
その暗い道を進んでいくと何処からとも無く声が聞こえてきた。
『あー、テステス。これでつながってんのかよ。』
「ひゃああああっ!」
突然聞こえてきたその声に驚きその場で腰を抜かしてしまう。
『その驚きよう聞こえてるようだな。』
「な、なんだ?何処からはなしてるんだ?」
『そんなに驚かなくても良いよ、そんなに驚かれるとこっちもびっくりするから。そ、そんな事よりこれから君には簡単なクイズを解いてもらうよ。』
「ど、どういうこと?それよりもあなたは一体誰なの?」
『あれ?自己紹介してなかったか。俺っちはミスト軍北部軍事戦略班班長モズだ。』
モズの自己紹介が終わるとリーチャオの居る廊下の灯が点灯する。
「わっっっっ!」
『君、さっきから驚き過ぎだよ。せっかく優しさで暗いと怖いだろうなーって思って電気つけてあげたのに。電気消すよ?』
「あ、ありがとう。電気は消さないで。」
『分かったからそんな泣きそうな表情しないでくれよ。』
何処から見てるんだ?などと疑問を感じつつ周りを見渡す。
その廊下には無数の引っ掻き傷のような傷跡があちこちに残っていた。
「何なのこれ...」
『あー、それね、今から俺っちが出すクイズに答えられなければ、毒ガスで死んでもらおうと思って。前にもやったんだけど生き残った人は一人も居なかったな。』
「それでこの引っ掻き傷って訳ね。クイズ?はそんなに難しいのかしら?」
『まあ、そんなに気張る事はないよ。クイズって言ってもただのなぞなぞみたいな物だからね。』
リーチャオは「ふっ」と微笑んだ。
「おもしろそうじゃない。いいわ。受けて立ってあげる。」
『さあ、全問答えられたら俺っちの所に来れるように設定しておいたから、せいぜいがんばって答えてね。』
「よっしゃ来い!」
『それでは第一問!.....』
リーチャオはこれから出される問題に頭を悩まされるなど考えもしなかった。




