確かめたい事の件
ちょっと今日は息抜きで。
よろしくお願いします!
「なんだよ、ったく!俺も着いて行くからな!ハルク!」
「アレン、お前とダンにしか後の事任せられないだろう?無理を言うな」
「姫とバルトと一緒にハルクを行かせてあげようよ?ね?アレン」
「嫌だ。ハルクに俺も着いて行く」
「おはようございます!って、なにやってんの?三人で?」
翌朝早くのミーティング用の会議室のドアを開けるとダン、アレン、ハルクが顔を突き合わせ深刻顔だ。
そんな三人の元に行くとアレンが俺とバルトの背後から俺達の肩をしっかり抱く。
「俺は嫌だからな?こいつらも一年いる約束のはずだろ?何で急に帰すんだ?」
ん?
「シルフィーヌの国でなければわからない事なんだ。だからこいつらにはいろいろ案内してもらわなければいけないんだ。2ヶ月後にはちゃんと戻る」
「そんな事当たり前だ。こいつらも戻って来るんだろうな?」
おお?以外だ・・・アレンが俺らの帰る事が気に入らないらしい・・・
「ああ、もちろんだ」
「本当だろうな?ハルクって、何をやってる?シルフィーヌ?」
「ん?アレンが珍しい事言うからね?昨日の酔いがまだ冷めてないんじゃないかと思ってね?」
アレンの言葉が意外過ぎて俺は背伸びをしてアレンの額に手を当てた。
「うん。熱はないわね?」
「あるわけないだろ!それに二日酔いなんてするか!!」
アレンが俺の手をどける。
「いや、ここにいるけど」
アレンの声が頭に響くのかしかめっ面をした俺の横に立つバルトを指さす。
「なんだバルトは二日酔いか?情けない奴だな?」
そんなバルトにアレンはデコピンだ。
「って!!アレンッ!」
バルトが頭を抱え込んだ。
「止めてよ。大人げない、アレン」
俺はバルトの額を急いで撫でる。
「アレンは一杯飲んだだけで寝ちゃったからね?」
「うるさいぞ!ダン」
「ダンは凄いよね?あんなに飲んだのに平気だなんて?」
「え、姫、そんなに飲んでました?アレン、ベットに運んだのは覚えてるんだけどな・・・?」
「ダンは酒には本当に強い。酔っても普段と変わりない。が、次の日に飲んでる間の事を聞くとまったく覚えてない」
ハルクが俺とバルトに向かって頷きながら捕捉する。
「え、マジ!?ダン!覚えてないの?全然?本当に?昨日話した事、全然?」
「う~ん?何でセルとフリードが床で寝てたのかがさっぱり?いつ来ました?セル?」
「わぁ・・・マジか・・・」
じゃあ、全然、俺達が兄弟の話とか覚えてないんだ・・・ダン
よかったかも?・・・いや、良かったよ。
「だからマジってなんだよ?」
「ああ、アレン、この場合は本当?って言う意味。あれ?ハルク使わないの?」
「気をつけてる」
どう気をつけてんだよ?兄貴?
「いえ、よく言ってますよ?マジか?は連呼しますし、他にはヤバいだの、ゲロいだの、ガチかよとか、エロい」
「止めろ、ダン。そんな事、言ってないからな?俺は」
ハルクがダンの口を塞ぐ。
「ハルク?最後の言葉はどこで使ったのかな?まさか、マジ、ガチヤバなとこじゃないよね?」
おいッ・・・!お前ら?どこ行ってんだよ?男同士で!
「エロなんだ?シルフィーヌ?」
「変なところで食らいつくな、バルト。それよりお前は二日酔いの特効薬、貰って来い。セルフィに」
「あ、私も着いて行くわ。バルト一人じゃ危ないもの」
「それなら、私が貰って来てあげるわ。バルト」
後ろを振り向くとドアからサロメとフリードが入って来た。
俺とバルトはフリードに挨拶をする。フリードは陸軍大将だからな。
「おはよう、バルト。二日酔いか?」
フリードは相変わらずの能面顔だが眉間を押えて渋面顔のバルトの頭をそっと優しく撫でる。
わぁ、すっごい子供扱いだ・・・
今朝、ハルクの部屋の床でセルフィを抱き締めて寝ていたフリードを思い出しついでに昨日の二人イチャイチャを思い出しつい、顔が緩む。
あ、ダメだ・・・ニヤけてしまう・・・俺
「シルフィーヌ様もおはようございます」
あ、こっち向いた。あ、ついでに俺の頭も撫でるんだ、フリード。
「だから、一時帰国なら俺も着いて行くって言ってるだろ?」
アレンがハルクに詰め寄る。
「嫌だわ?何を揉めてるかと思えばそんな事?私が着いて行くからいいわ、アレン。じゃ、決まり!」
「「「何でそうなる?サロメ?!」」」
サロメの言葉に皆が一斉に叫ぶ。
「え?だって、シルフィーヌの国見たいのよ?それに、レオリオ王子、報復ッ!!」
なにッ?!なにリベンジって!?
「サ、サロメ?何のリベンジかな?」
「決まってるじゃない!!吠え面かかせてやるわよ!!レオリオ!!オーホホホホホホッ!!」
で、出た!!悪役令嬢!ざまぁ、高笑い!!
いやお前、まだ何もざまぁ、してないだろう?
「あ、サロメ、次の仕事決まってるから」
「嫌よ。決めたんだから!!フリード!!」
「お前、中将。これ、大将命令」
「アレン、お前もだ。大将命令」
ハルクもフリードにかぶせて来た。
「「うっ!!」」
あ、二人共唇尖がらせてむくれ顔だ・・・・お、大人げなさすぎる・・・こいつら・・・
「サロメも強いよね?ダンと飲み潰れるまで飲んでたのに二日酔いもしてないなんてね?」
セルフィの部屋に向かうバルトに付き合う俺とサロメ。
「別に。大した事ないわよ。もう・・!どうにかして行きたいのにっ~!!カルロスお兄様も仕事には厳しいから無理だろうし・・・あ、アイリーンお姉様!!」
まだ、企んでるよ?サロメ・・・
「そうよ、お姉様に頼んで!そうだわ!それならカルロスお兄様も!じゃあ、セル兄様にも言わなくっちゃ!!」
おいおい!!
「サ、サロメ・・・?」
「だってハルク・・・シルフィーヌの国に行ったら帰って来ないような気がする。それにシルフィーヌのリョウだってもう帝国には帰って来ないのでしょう?」
「ちょっと待て。何で亮って知ってるんです?サロメ様」
バルトが振り返りサロメの肩を掴む。
「痛いわ、無礼ね!!」
サロメがキッ!っと睨みバルトの手を振り払おうとする。
すかさず俺はバルトの手を掴みサロメから離す。
「バルト、私が話したの。サロメとセルフィ様に。だから大丈夫。昨日二人に話した事ちゃんと後で話すから。ね?」
「・・・わかった・・・申し訳ございません。サロメ様」
プイッ!とサロメは横を向くとセルフィの部屋に向かう宮殿の回廊を急ぎ足で先に歩き出す。
「セル兄様!!います!?」
セルフィの部屋のドアをサロメが勢いよく開けると奥のドアから声がする。
「いるよー!!サロメ!待ってて!!」
するとすぐにドアからセルフィが顔を出した。
「やあ!!おはよう!サロメ!それにシルフィーヌにバルト!気持ちのいい朝だね!!」
って手を振ったその手にメスが光っていた。
「ハイ、一気に飲む!バルト!ハイ!」
「あ、あれ、大丈夫かな・・・?サロメ?」
「大丈夫よ?シルフィーヌ。ハイ!バルト。ハイ!一気!」
今、セルフィの研究部屋と化したホメロス王の部屋の続きの間でバルトは茶色の液体をセルフィに突き付けられている。
「なんか、セルフィ様、これ、俺の国の二日酔いの薬と色が違うのですけど・・・?」
「ん?気のせい、気のせい。これ、すっごく即効性あるから・・・んふふっ!」
セルフィ、その無邪気な笑いは凄く怖い・・・
「あ、あのぅ、私ももうちょっと緑っぽかったかなって・・・?セルフィ様?」
「大丈夫って言ってるじゃない?シルフィーヌ。セル兄様の薬は死ぬくらい効くんだから」
いやいや、死んだらダメじゃん、サロメ?
あ、サロメ、セルフィから奪い取ったグラスをバルトの顔に押し付けた。それも笑いながら・・・
なんか、さっきの腹いせっぽくないか・・・?怖いよ、ダグラス兄妹・・・
「なんか、気分悪くて、頭痛いのがわからなくなって来た・・・シルフィーヌ」
謎の茶色の液体を目をつぶって一気飲みしたバルトが俺にもたれかかって来たのでとりあえず背中を撫でる。
「吐くんなら隣の部屋に洗面台あるよ?ああ、でもその隣は入らないでね?王が寝てるから。バラバラに浸けて削ぎ落した脂肪を処分してるところだから。あ、いる?石鹸になる予定だけど?」
・・・・・・・・
「バ、バルト、部屋に帰りましょう?今日はお仕事お昼からにしよう。私もなんか背筋寒くなってきたから。ありがとうございました、セルフィ様」
「あ、ホントに吐いたら爽快になるよ?バルト。じゃ、いってらっしゃーい!!」
セルフィはそう言うとバルトの襟首を掴み隣の部屋に軽々押し込んだ。
えっ?
するとサロメもそのバルトに続いてドアの向こうに消えた。
え?
「ああ、何もしないよ?ホントに。リョウ君?」
俺の目の前にセルフィの瑠璃色の瞳が広がった。
ありがとうございました!




