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俺と兄貴の意見交換会の件

今日もよろしくお願いします!

「一馬、一馬」

俺は俺の膝の上で爆睡しているハルクの頬をペチペチ叩く。

ダメだ、びくともしない。

「おい、一馬!」

更に顔の頬を摘まみ引っ張るがいっこうに起きない。


じゃあ、こうだ!

鼻と口を両手で塞いでやる。


お、顔、赤くなってきたぞ、お、苦しそうだ。よしよし。


突然、俺の押さえつけてる両手首をハルクの手が掴むと力づくでアッと言う間に引き剥がされた。

だが、ハルクの目はつぶったままだ。


ゲッ!これでもダメって、すんごい酩酊してんじゃん!兄貴!


「やだ、シルフィーヌ、ハルクにそんな事しないで・・・でも、ちょっと・・・私もしたいんだけど」

泣き出したセルフィを胸に抱き締めたサロメがそんなハルクを見て頬を染めて目をキラキラさせる。


「これは弟の特権だから。それに今更ハルクに惚れ直さないの、サロメ。ダン、どうしたら起きるかな?ハルク」

「起こすんですか?簡単ですが・・・あとが厄介ですよ?」


あ、まだ飲んでんの?ダン。まぁ、飲んで酔っぱらはなきゃさっきの話はやってらんないわな・・・

それに確かに寝起きの兄貴は機嫌がすこぶる悪いことが多い。朝、起こすの大変だったの思い出したわ。

けど今のセルフィに聞けるとこまで話聞きたいから兄貴に確かめなきゃな?

じゃあ、仕方ないな。


「いいよ、ダン。責任は私が取るから」

「知りませんからね。では!」


ダンは立ち上がると仰向けに寝ているハルクの耳許に顔を寄せると


「アイリーン姫!!危ないッ!!」


と大声で叫ぶ。


と、ハルクがガバリと一瞬で起き上がった。

そしてキョロキョロ周りを見渡す。



「すっげ~ッ!愛の力!!」 


俺と泣き顔のセルフィと関心顔のサロメがパチパチと手を叩いた。


「ハルクの事ならこのダンに任せて下さい!姫」

どや顔で頬が異常に上気しているダンが自分の胸を叩いた。


「なんだっ!?どうしたっ?」


ん?誰?誰の声?隣の寝室から・・・?


「リード!!」

「ん?セル?」

「あら、フリードが起きて来たわよ?シルフィーヌ」


サロメの言葉に後ろを振り向くとフリードが寝室から眠たげに起きて来ていた。

セルフィが立ち上がると急いでフリードに駆け寄りその胸に飛び付く。

「どこだッ!?どこにいる!?」

ハルクだけが一人ズレてた。



「リード!リード!ごめんね!ごめんね!」

「セル・・・?あ、お前、酔ってるな?」

「酔ってない、酔ってないよ?リードッ」

「わかった・・・ああ、わかったから。ほんと・・・お前、力強いから!抱き締めるな!わかったから!」

「リード!僕を一人にしないで!僕を置いてかないで!!」

「ああ、ほんとに、こいつ・・・完全に酔ってるな?・・・ったく!」


そう言うとリードはセルフィを腕の中に閉じ込め優しく抱きかかえると片手で背中をトントンとあやし、もう片方の手で頭をなでる。

そしてセルフィの耳元に顔を寄せ優しく囁くように言い聞かす。


「いつも言ってるだろ?セル。セルとは一生、悪友だって。落ち着けよ?セル。お前が呼べばいつでも俺は駆け付ける。な、約束したろ?」

「うん。けど、けどっ!ごめん!・・・リード、ごめんよ!・・・僕はっ!・・」

「ああ、わかったから、な、セル?もういいから、な?」


な、何ですか?この、激アマムードは?

ちょっとセルフィ、抱きついて泣きじゃくるって女の子以上に可愛いいんだけど?

それにフリード、そのあやし方、まるで恋人同士なんだけど?

見ててこっちが鼻血出そうなんですけど?


「ちょ、ちょっとサロメ、二人はその・・・?」

「違うらしいですよ?二人に言わせると。ただの悪友だそうです」

ダンが答える。あ、それ、新しいワインだよね?また開けてるの?

「そう。けどねぇ・・・あれは恋人以上だと(わたくし)は小さな時から思ってるんだけどね?」

サロメの横にダンが腰掛け直すとお互いのグラスに酒を注ぎ合い二人同時にグラスをグイッと空けて言う。

二人共よく飲むな・・・

「あ、あれ、あと二時間はかかるから」

「えっ・・・そうなの?サロメ?」

「あの状態に入るとセルはもう泣き止むの無理ですね」

「えっ、本当に!?ダン?」

「ダン、セルいつ来た?何であの状態なんだ・・・・?」

寝ぼけたハルクはやっと状況を把握したのか目をこする。

「えっ?ハルク、覚えてないの?」

「ん?亮か・・ん、亮、眠い・・眠いから・・話、明日な・・」

「あ、一馬!コラッ!一馬!」

って、俺の膝を抱え直すな!そしてまた寝るな!コラッ!

「せっかく起こしたのに!!起きろ!!バカ兄貴!!」


俺は思いっきりハルクの頭にげんこつを落とした。


「「あ!!」」

同時に指差し叫んだサロメとダンの目は完全に座っていた。




「っざけんな!!亮、なに勝手にバラしてんだ!」

俺の横で片膝立ててソファにふんぞり返ったハルクはまたワインを自分で注ぐと飲みだした。

「もう、飲むなよ、一馬。話、出来ないだろう?」

「んな話、飲まずに出来るか」

俺は兄貴からワインのビンを取り上げようとするが離さない。


すんげぇ、馬鹿力だよ?・・・こりゃ、敵わんな・・・


向かいのソファではダンとサロメがもたれ合って眠ってしまった。

後ろではフリードが相変わらず子供のようにしゃくりを上げて泣いてるセルフィをあやしている。

こっちは二人の世界だから気にしなくて良さそうだ。


「兄貴、兄貴のゲームの『Do As Infinityドゥアズインフィニティ』の登場人物って『印』関係あったか?」

「いや・・・?ないな?ゲームそのものには『印』は登場しないし主人公にもその周りの人物にもない」

「そうだよな?俺のゲームの『永久の誓いを君に』にもない。あったのは『セブンズ・ゲート』の主役二人だけだ」

「それがお前とバルトか?」

「ああ、そうだ。けど、セルフィは初めから、一回目の時からあると言ったんだ。兄貴、セルフィは本当に『Do As Infinityドゥアズインフィニティ』の登場人物なのか?」

「どう言う意味だ・・・?セルフィは主要キャラの一人だぞ?だが、ん、待てよ・・・?確かにセルフィの瞳の色は違うような・・・そうだ、あれだ、ほら、俺達が次に受けるはずだった仕事のキャラに確か」

「まさか・・・『バウンダリー~心の境界線~』・・・?」

「ああ!!そうだ、そうだ、それの主要キャラが確かセルフィと激似だ・・・それに、レオリオ、ハルクに似たキャラもいたから俺達はその仕事に呼ばれた。そうじゃないか?亮?」

「そうか、やっぱり。なんかセルフィには違和感があったんだ。そうか・・・では『バウンダリー~心の境界線~』には『印』が出て来るんだったか?」

「確か特殊能力の分野で出て来るのは身体に印がある設定だったはず・・・まだゲームの詳しい内容を聞く前に俺達はお陀仏してしまったがな。この世界、どれだけの世界が重なってるのかまったくわからなくなって来たな?亮」

「ああ、もうこの際、どうでも良くなって来たよ。だってさ?俺が真っ当な悪役令嬢じゃない時点でゲームの世界とは既に異なった訳だ。既にルートからは外れてる訳だ。兄貴もそうだろう?初めから設定通りではないはずだ」

「ああ、違うな。そもそもハルクもアイリーンも俺の知ってるゲームの世界では貴族じゃない。アレンもセルフィもだ。フリードは今は陸軍大将で男爵位を貰ったがな?ゲーム世界ではこれらの主要キャラ達の13歳以降の世界は描かれていない」

「俺達がこの世界を前世の知識で勝手に判断して思い込んでるだけかもしれないな?ただ・・・」

「ただ?」

「ただ、セルフィが言うには8回目の転生を繰り返したがこの世界は過去7回と全く違うのだそうだ。ハルクの性格が違う事、シルフィーヌとシルフィーヌの国は今まで存在しなかった事、自分の境遇が180度違う事を挙げられた。これは以前話したミシュリーナに転生した紗理奈と同じだ」

「どう言う事だ・・・?意味がわからん?何故、一緒なんだ?どちらにも共通するものがない・・・」

ハルクが顎に手を当て考え込む。

俺も同じ格好で考え込んでるはずだ。



「なあ?兄貴・・・ひょっとしてさ、ここって」

「ああ、亮・・・ひょっとしなくてもこの世界」





「「『バウンダリー~心の境界線~』?」」
















酔っ払いばっかりですみません。

次回は一馬、亮で真面目に謎解きしますので。

(ああ、早くレオリオ書きたいな~)

今日も読んで頂きありがとうございました。

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