バルトの件
今日も2話投稿です。よろしくお願いいたします。
やってきました!グランドマッスル!
シルフィーヌ10歳。今日は俺のグランドマッスルデビューの日だよ!
そう!いよいよ兄ルカと対決の日です!
えっ?たかだか10歳のお子ちゃま女子が今や大人とも対等に戦う超騎士様と化したルカとどうやって戦うのかって?んふふ、今の俺、今のシルフィーヌはメチャ背が高く(165cmあるよ!)剣もムチも大人以上の腕なのよ。そう、アントワート家の剣の師匠のカレブとサルトのお墨付きよ。じゃなければセミヤング部門トップ8入りはしていませんわな。今、闘技場にいるのはそう言うことですな。
もう気分は美少女戦士!!ああ!月に変わってホニャリャリャー!って叫びたい!
ちなみに出場するにあたって身分を隠すために名前は偽名だ。顔も目も鼻も銀マスクで被って隠れてます!胸元は鎧宛てて手甲・足甲はつけられてるけど腕と足はスラリと出てます!
侯爵令嬢、こんな時しか半袖短パン履けないしな。長い髪は緑のリボンで編み込みアップです!
ああ、ありがとう転生チート!剣の腕前まで勇者並み!これはもう、がんばるっきゃあないでしょう!
ふっ、やれる!今の俺なら兄ルカをやれる!打倒!魔王ルカ!
「危ないだろう!」
あ、無意識に剣突き上げちゃった。
「ご、ごめんなさい」
俺は横を通ったその人に素直に頭を下げた。選手控え室での事だ。
「・・・・いや、いい。お前次の俺の対戦相手だよな?たしか」
「あ、そうです。ロトです。よろしくお願いします」
もう一度腰を折る。
わかる人にはわかる安易なネーミングですみません。スラ○ム出ません。
「ああ、バルト・シュナイダーだ。よろしくな」
おおっ!!カッコイイ~!!
去年はルカに負けたけどこの人すごく強いんだよね!
うん、だってこの人、ヒロインの攻略対象者の一人だからさ。仮面被ってて本当に良かったわ。
そう、バルト・シュナイダー、シュナイダー伯爵家次男。赤い癖のある長髪は三つ編みにし凛々しい眉に高い鼻梁、黒の存在感のある二重の瞳に品の良い口元、とても美形だ。性格も面倒見のいい兄貴キャラなのだ。将来は近衛隊長で兄ルカと一緒にレオリオ王子の側近となる人だ。
だから婚約破棄断罪現場ではいじめられたヒロインを守るために最もきつい言葉で悪役令嬢を断罪するんだ。まあ、役柄正義の人だからな。
本当の騎士になる人だから強いのは当たり前か。身体もルカと同じで180cm超えてるよね。大人と変わらないし、胸板も厚そうだ。まだ13歳か14歳なのにあんまり18歳のゲームのスチルと変わらない容姿だ。なんか成長早くないか?ゲームのキャラだからか?レオリオ王子も今の俺より頭一つ分くらい背が高くなった。俺はゲームのシルフィーヌとは違いどちらかと言うと悪役令嬢の体つきでもう胸も出てきている。まあ、戦うにはこっちの方がいいから構わないが。
「ロトは細いのにとても剣の扱いに無駄がないな。よほどいい先生がついているのだな」
バルトが話を続ける。
「そんな事わかるのですね?あなたこそとてもお強い」
「剣捌きがルカ・アントワートに似ている。あいつの事研究したのか?」
ドキッ!あれ?やっぱり似てるんだ。同じ先生に習ってるからな。
「えっ?ええ、まあ、今日ルカ・アントワートを倒すのは自分だと思ってますから」
「おっ?ルカを倒すってか?なんだお前、頼もしいな。ふーん、面白い奴だな?俺に勝つってことだよな?」
ククッとおかしそうにバルトが笑う。
ムッ!なんだよ!今、俺の事バカにした?
なんだよ!身体デカいからって有利だと思うなよ!吠え面かかせてやるからな!
「もちろん、自分が勝ちます」
「ククッ!本当、面白いわ、お前。よし!お前が勝ったらなんでも一つ言う事聞いてやるよ」
「忘れないで下さいよ?じゃあ、自分が負けたら?」
負けないけどねー!!ムフフフ。どうしてやるかな?楽しみだな?
「ん?そうだな?まあ、来年またリベンジに来いよ。また、戦いたいからな」
なんだよ!その俺を瞬殺KOノックアウトするみたいな自信は!爽やかに言うから腹立つわ~!!
「勝ち負け関係なく自分は来年も来ますけど!?今、約束しとかないと後悔するのは貴方ですからね!」
「いや、いい。それより俺は右手しか使わないとかさ?した方がいいか?」
「なっ!!怒りますよ!!」
また笑ったな!!
「ククッ!いや、冗談だが。本当に面白いやつだな。じゃあ後でな。ロト」
望むところだ―!!って叫びたかったが育ちが良すぎて頷くだけに留めておいた。
ではでは、グランドマッスルのルールを説明するね。
基本はサドンデス。
どちらか先に相手の膝を地に着かせたら勝ち。
そう、一度でも相手に跪いたら負け。単純だよね?
禁止事項は相手を死に至らせること。毒殺、薬殺、爆殺禁止。
基本武器で戦いなおかつ、相手を殺しちゃダメってなかなか難しいよね。あくまでグランドマッスルはスポーツなんだね。
えっ?腕とか吹っ飛ばされたらどうするかって?それは仕方ないよね?そう言う遊びなんだから。そもそもそんな弱いやつは初めから出られないからね?ちゃんと実技試験クリアして、ここ闘技場にいるわけだ。そう、ここにいる俺もすでに4戦はクリアして来ているんだ。
ここにいるのは国家全領地選りすぐりの将来の戦闘力候補達なんだ。
腕が鳴るだろう?
褒美は将来、衛兵出世コース。セミヤング級は学園入学の奨学金もついてくるから身分は関係なく腕一本で参加出来るよ。(必要な武器は貸出可だからね)
俺が身分を隠しているのは女で侯爵令嬢だからって色んな意味の優遇や下手なお誘いをされたら困ることとレオリオ王子を心配させたくないから。まあ、バレてるとは思うけどな。
レオリオ王子は俺が出場することに反対はしなかったがすっごく納得してなかったわ、あの顔は。
自分は王族だから出場出来ないしな。(王族にケガさせたら問答無用で首が飛ぶって知ってた?)
あと、試合中、休憩は30秒1回だけ。どっちかの選手の申告式。
武器は3種類6本携帯可。
さてさて、ルールはこれくらいにして俺の相手のバルトは剣で一刀流。こちらも礼儀としてまずは剣1本から行きましょうか?
続けてどうぞ。