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セルフィとフリードの件

よろしくお願いします!

「初めまして。シルフィーヌ様、フリード・バジルです」

「よろしく!セルフィだけどセルでいいよ?シルフィーヌ。やっと、会えたね!」


カシューダ宮殿内に指令室を設置し終えると俺とバルトにハルクが紹介したのは帝国軍のこの二人だ。


俺の前で腰を折ったのは帝国軍陸軍大将のフリードだ。

短い癖のない黒髪に灰色の瞳が鋭いが日本の俳優さんにいそうな整った塩顔で背格好がダンととてもよく似ている。


そして、その横には俺と余り背丈が変わらない華奢な体格のセルフィと名乗る少年。

柔らかそうな栗色のウエーブのかかった髪に宇宙を取り込んだようなラピスラズリの瑠璃色の大きな瞳が印象的なとても綺麗な顔の美少年。

大きなフリードを押し退けると俺の差し出した手を両手で掴み嬉しそうに笑い、ブンブン振った。


「初めまして、セルフィ様、バジル大将殿。どうぞよろしくお願いいたします」

そんなセルフィに俺は戸惑いながらも二人を見て丁寧に腰を折る。

「ああ、そんなに(かしこ)まらなくていいよ?仲良くやろうよ?同じ、『印』仲間だし!ねぇ?フリード?あ、君がバルト?よろしく!!やっと会えてうれしいよ!!」

今度は俺の後ろに控えていたバルトの両手を掴むとセルフィはブンブン振る。


そう、この二人がハルクのゲームの残りの主要キャラだ。

だから『印』持ち。


「お兄様、落ち着いて下さる?」

そう言ってセルフィの肩を掴んだのはサロメだ。

陸軍中将としてこの作戦に参加していたので指令会議にも幹部として意見しているがまさかこの二人にサロメまで着いて来るとは思わなかった・・・それにお兄様???


「いやぁー、この間の舞踏会の時は研究に没頭してたから挨拶出来なかったし、ハルクは全然会わせてくれないし。でも、やっとこれで検体が2体も手に入ったと思うと嬉しくてさぁ?」


検体???実験対象???


「2体じゃない。セル。シルフィーヌは検体じゃない」


ハルクがマジ顔でセルフィを睨む。


えっ?検体って、俺???


「えっ?ちょっとでいいんだけど?痛くしないし?」

「ちょっとでも切ったら、殺すぞ。セル」

「じゃ、バルトで」

バルトの手をしっかり掴むセルフィの手をハルクが引き剥がす。


「ダメだ。絶対やるなよ?やってみろ?即刻、殺すからな?だからお前には会わしたくなかったんだよ?ほら、約束通り王の身体は手に入れたんだ。そっちで我慢しろ。相変わらず、マッドサイエンティストだな?お前」


マッド???・・・・マッドなのか!?こいつ!・・・んで、科学者(サイエンティスト)


「ハルク、お兄様は学者なの!決してマッド(いっちゃってる)じゃなくてよ!失礼ね!」


へ?お兄ちゃん学者なの?サロメ?


「サロメ、お前がこいつを止めとけよ?あ、フリード知らん顔するな!お前の幼馴染だろうがこいつ!」

「そうよ!フリード!貴方の言う事しかちゃんと聞かないんだからお兄様は!」

サロメとハルクがフリードに言うとフリードがため息をついた。


「セル、ハルクの言う事守れよ。約束果たしただろ?ハルクは」

フリードがセルフィの頭を片手で上からガッシリと掴むと無理矢理自分の方を向かせ、抑揚のない声で言い聞かせた。

「ん?リード?そうだけどさぁ?ハルクは肝心な約束は守らないし」



「あ、あの?全然わからないんですけど?」

「ああ、申し訳ないが説明をしてくれないだろうか?」

俺とバルトが四人を見て尋ねた。


「ゲッ、セル!」


後ろからのその声に振り向くと部屋の入り口にはドアに手を掛けたままのアレンとダンが突っ立っていた。




サロメがめんどくさそうに俺とバルトに腕組みをして見下すように話す。

「セルフィは(わたくし)の兄で皇帝の異母弟、そしてフリードは私の部隊の大将だけど私の護衛」

その言葉に頷いたフリードが

「自分は平民出身ですが子供の時に知り合ったセルとは悪友なのです。セルはこれでも自分と同じ25歳です」


えっ?25歳?ハルクより年上?


「そう、リード、あ、フリードの事ね?リードとは退屈な宮殿を抜け出して良く下町で遊んだんだよね。だからその時からの連れ仲間!」

「お兄様、そんな事、堂々と言わないでください」

「そう言うサロメも良く僕に付き合って、ハルクの館にもぐりこウグウッ!!」

「余計な事言わないの!!お兄様!!」

げッ!サロメ、セルフィの背後からコブラツイストって!!それも見事に決まってるんですけど!?


「サロメ、セル、落とすな」

フリードがサロメを止める。


「ケ、ケホッ、ケホッ!酷いよ~サロメ!手加減してよ~!」

「お兄様がこんなくらいで落ちるわけないじゃない!!見た目と違って凄く強いんだからお兄様は!」

「お強いんですか?セルフィ様は?」


確かに『印』持ちなら女の子の力でどうにかなるわけないよな?


「ああ、こいつはこう見えて俺の次に強いんだよ。それに、『印』について研究してるからな?研究の為なら何でもする。シルフィーヌ、バルト、こいつと二人キリには絶対なるなよ?特にシルフィーヌ、女で『印』持ちのお前はこいつにとっては格好の餌食だ。凄く、珍しくて、調べたくて、ムズムズしてるんだよ、こいつは」

そう言ってハルクがセルフィの額を指ではじく。


ハルクの次に強いってか?こいつが?つまり皇帝より強いってことか?


ハルクにデコピンされて抗議するセルフィがそんな俺の視線に気づきこちらを見てニヤリと笑う。

その紺の瞳が瑠璃色に輝く。まるで星空の様だ。吸い込まれそうだ。


「見るな、シルフィーヌ。バルトも。コイツの瞳は相手を見透かすんだ」

アレンが後ろから俺の目とバルトの目を手で目隠しする。

「そして術をかけるから始末が悪い」


術・・・?催眠術か・・・?


「アハハ!そんな事しないよ?アレン。言ったじゃないか?『印』を持つ者同士、仲良くやろうよ?シルフィーヌにバルト?ね?」


「お兄様、皆にはしないで?お願い」


お?サロメがしおらしい・・・んで、セルフィ止めるって俺の味方って事?

あ、ハルクの為かな?・・・


「ふふっ、大事なサロメが言うなら止めとくよ?フリードも泣かしたくないしね?」


「ああ、止めろ。セル。怒ったハルクを止めるのは俺なんだからな?」


「けど・・・髪の毛!!1本だけ、ちょーだぁいっ!!」

 

って俺の髪を摘まもうとしたセルフィの手をサロメが払うのとバルトが俺を抱き寄せるのが同時だった。


「「「「ダメだ!!」」」」

ハルク、フリード、アレン、ダンも怒鳴っていた。


「チェッ!!減るもんじゃないだろ!ケチッ!!」

フリードに頭をガッチリ抑え込まれたセルフィが面白くなさそうに膨れた。


スゲー、黒くない?セルフィって?

こんなヤバいキャラいたかな?兄貴のゲーム・・・?



「あの?まさかホメロス王の遺体が必要だから帝国軍は『神殺し』を承諾したの?全てはセルフィ様の『印』の研究の為ですか?」

「ああ、そうだよ?ハルクに僕がお願いしたんだ」

「セル、誤解するだろ?違います、シルフィーヌ様。ハルクはあくまでこの国の民の救出が先だと皇帝に意見していました。王の遺体が欲しいと言い出したのはセルフィ。ハルクはそれを遂行しただけです」

真面目な顔でフリードが俺に言って頷く。


「そうですか・・・」

良かったよ?怖いよ、本当にそれだけが目的なら。

「ふーん?シルフィーヌは結構まともなんだね・・・?ハルク?じゃあ?バルトがそうなのかい?」

「いや、こいつらは違う。いや、違ったようだ」

「ふーん?じゃあ、カルロスが言ってた事は当たってるのかなぁ?そうだな?僕が見る限りは大丈夫そうだよね?」

セルフィがジロジロと俺とバルトを眺めた。

「カルロス皇帝は何て言ってたんだ?セル?」

ハルクが聞き返す。

「カルロスは二人には兆しが見えるが、二人が一緒にいる間は大丈夫だろうと。それより先に会った王子の方が気になるってさ?王子ってどいつ?僕は会ったかな?」

「そうか・・・やはり・・・うーん・・・」

兄貴が顎に手をあて腕組みをして考え込む。


???何の話だ???


「ハルク?何の事なの?王子ってレオリオの事?」

「ああ、シルフィーヌ。レオリオ王子の『印』はまさかバルトと同じではないだろうな?」

「同じって?形?大きさ?それとも模様を言うの?」

「全てだ。その全て」


「一緒だよ。ある場所まで同じだ。ほら、確認するか?」

バルトがそう答えるとサッサと髪のリボンを外し三つ編みを解くと髪を掻き分け『印』を皆に見せる。




「ああ、成程、これはウロボロス、無限だ」


目を輝かせセルフィが言った。











今日もお読みいただきありがとうございました!

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