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この国を救うのはの件

遅くなりました。

短いですがよろしくお願いいたします。

小雨の降る中、二人が剣を打ち合う音が響く。

ホメロスの剣がハルクの胸に切りかかると素早く身をかわす。

ハルクも両手でホメロスのその巨体を斬り刻むように素早い突きを繰り出すが全て片手剣で跳ね返される。


「なんだッ?死にたいのではないのか?ホメロスよッ!」


「ふんッ!!切り刻まれて捕縛される気はサラサラないわッ!!」


体勢を低くしてホメロスの足を狙うハルクの頭上にホメロスの剣が素早く振り下ろされる。

だが、ハルクも自分の頭上でその剣を受け止めた。

するとホメロスが狂ったようにハルクの剣に自分の剣を何度も振り下ろし押し潰しにかかる。

力と体重をかけて凄い力で何度も何度も叩き付けられる。

ガキンッ!!ガキンッ!!と衝撃音が鳴り響く。

しかし、そんな状態にもかかわらずハルクの顔はニヤケている。


「なあ!!ホメロスよ!?」


「何だッ!?泣き言か?聞いてやらんぞッ!!」


「お前が自滅したくなるような話してやろうか!?」


「ほうッ?お前のその綺麗な顔が潰れるのとどちらが速いかな!?」


「お前の母は自殺だ」


「何だ!?それは?!」


「それにお前の父王を裏切っていた」


「何だとッ?言うに事欠いてその様な事!!小賢しい!!」


ホメロスは剣を振り下ろすのを止めると今度は力任せに全身を乗せ自分の剣をハルクの剣に押し込んだ。

その血走った眼をギョロつかせ剣越しにハルクの顔に顔を近づけ威嚇する。


「母の死に顔は見たか?父王が殺したと誰が言った?お前がその目で確かめたのか?」


「だから、何だ?今更、その様な事どうでも!!」


腰を落として体勢を低くして剣を構え耐えているハルクにホメロスは更に体重を乗せ押し潰しにかかる。


その刃はギリギリ、ギリギリとハルクの顔に迫る。


「良くないからお前は父を蘇らせ自分の過ちを罰して貰いたかったのであろう?その父を蘇らせるには自分の『印』をより大きくしもっと力を蓄えなければと考えたお前に『印』の進化の仕方を教えたのは誰だ?聖者の生血を身体に取り入れれば『印』が変化し、より力を増大させると教えたのは誰だ?それで?確かに『印』は変わっただろうさ。『印』を変化させる方法の一つには間違いないからな?だが残念だったな?人を蘇らせる様な神の力はそもそも『印』にはないんだよ」


「黙れッ!黙れッ!黙れッ!」


赤い顔のホメロスが叫ぶ。


「お前如きに何が!!」


「分かるさ。俺もお前と同じだからな?そんなお前の心の内を土足で踏みにじった奴知りたくないか?信心を利用していろんな嘘を吹き込める人間なんてましてそんな知識を持ってるのはこの国では一人しかいないだろ?ああ、お前の母の遺書とやらも手に入れたしな?色々書いてあったよ。それにご丁寧にそいつはアイヤ妃の事も〝神託”として書にしたため祭壇に祀り上げていたよ」


「嘘をつくな!!そんな物はなかった!!そんな物!!」


「ああ、信じないならいいさ?まあ?いらないなら破り捨てるまでだが。俺には必要ないものだ。ただな?ホメロスよ?」


「嘘をつくなと言っているだろうがぁぁぁっ!!」


更にホメロスは怒りで痛さが麻痺しているのか、傷を負った自分の左手を持ち上げるとハルクの顔を掴みにかかる。


「お前が最後まで信じていた、そう、お前だけじゃなく、死んだ父王も母君もアイヤさえ踊らせたそいつだがな?お前の父の親友でお前の母の元恋人、そしてアイヤを騙したそいつ」


ホメロスの剣が止まる。


「お前を帝国に売ったそいつ」


「まさか・・・?」


「ああ、そのまさかな?」


「イムホテップが・・・まさか・・・?嘘だ・・」


「会いたくはないか?まだ殺さずに生かしてあるのでな?その口から全てを聞いてからでも遅くないだろう?ああ?今、大人しく従うならそいつと二人きりにしてやるから会ってじっくり白状させればいい、お前のやり方で。どうだ?」


「嘘だ・・・・・」


「まあ?今会わないでも地獄(あっち)で探し出せばいいがな?じゃあ、先に首を跳ねてやろう、お前の国の最高神官イムホテップの首をな?」



ホメロスの顔が目に見えて青ざめる。茫然自失状態だ。

剣がその手から滑り落ちその場に転がる。


するとハルクも素早く剣を放り投げるとホメロスの鳩尾に拳を思いっきり打ち込んだ。


ホメロスの巨体がその場で音を立てて崩れ落ちる。


雨に濡れたホメロスの身体は木偶の様にその場に突っ伏したまま動かなくなった。



「捕縛しろッ!!」


ハルクの声が高らかにその場に響いた。



失神状態のホメロス王をアレンと部下達が重そうに担いで行った。



俺はハルクに駆け寄る。


「兄貴!見た?!」


ハルクは雨に濡れた顔を上げ俺を見ると右手を上げた。


「ああ!亮!見たか?!」


俺も左手を上げるとお互いの手をバチンと叩き合わせ


「「日食!!スッゲーッ!!」」


と同時に叫んだ。


考えている事が相変わらずお互い同じでおかしくてまた二人同時に吹き出した。









いつもお読みいただきありがとうございます!

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