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サロメの件

今日よろしくお願いします!

帝国に着いて5日目、今夜は13代皇帝カルロスの在位10年目の記念舞踏会が宮殿で行われる。

近隣の王族も祝いに駆けつける一代イベントだ。

シルフィーヌはオールウエイ国王族として招かれている。

もちろん、ワズナー伯爵家は大貴族として招待されている。


「まあ!なんて素敵!シルフィーヌ様」


アンナ様が俺のドレス姿に大はしゃぎだ。


「可笑しくないですか?アンナ様?ちょっと背中と胸・・・恥ずかしいです・・・」


王妃様が持たせてくれた淡いピンクのスレンダーなスリット入りのこのドレス、体のライン丸わかりで胸の谷間丸見えおまけに背中も腰まで大きく切れ込んでるからコルセットはナシで胸元にブラのカップみたいな下着がついてるだけだ。う~ん、とても頼りない・・・。コルセットはキツイがガード感が半端なかったからな。それに大股では歩かないが踊る時注意しなければ見えてしまうな内股が・・これはシルフィーヌのプロポーションでしか着こなせないけどな。

それも若いうちだけだわ・・・胸垂れたら目も当てられんわ・・・

こんなん国で着たらレオリオに殺されるわ・・・・


「ショールあったかしら?」

あんまり恥ずかしくて侍女に聞く。


「いらないわ。シルフィーヌ様なら堂々としていらっしゃいな。それに帝都でもこのデザインが今年の流行ですよ?あ、そうだわ、私のパールがあったわ。待っててね?」


えっ?こんなのみんな、着こなしてるの?凄いな、帝都。


「ああ、もう完璧!凄く綺麗よ?まあまあどうしましょ?ダンスの申し込み殺到だわ!」


大鏡に映る俺は凄くゴージャスなバー〇ー人形だ。

長い首に幾重にも重なる真珠の首飾り、両手首にも五重になった真珠のブレスレットだ。髪もピンクのリボンを編み込んでのアップだがほつれ毛が凄く色っぽい。ドレスがシンプルな分スタイルが際立ち長い首と手足が目立つ。化粧もピンクでまとめたシンプルなモノだが色白な俺は薄化粧の方が色っぽいのだ。


ああ、レオリオなら絶対、人前に出させてくれないな、これ・・・


アンナ様に連れられみんなが待つリビングに下りる。

ドアを開けるとワズナー伯爵、ハルク、バルトが俺を見てしばし沈黙だ。


「あ・・・やっぱり?やっぱりおかしいですよね・・・」


「いやぁ、あんまり綺麗だからみとれてしまったよ?若い頃のアンナのようだ」

ワズナー伯爵が豪快に笑い、満足げに頷く。


「まあ!旦那様、こんなに美しくはございませんでしたわ。でも、素敵でしょ?本当にかわいいのよね」

アンナ様も嬉しそうに笑う。


「あ、ああ、凄く綺麗だよ・・・・見違えたよ、シルフィーヌ」


兄貴、本気で驚いてるよな?


ん?何?バルト?


「バルト・・・?可笑しいの?何か言って?」

「あ・・・・いや、目のやり場に困るな・・」


・・・ちょっと不満そうだな?


「あ、じゃあ、上着」


「いや、いい。綺麗だよ、シルフィーヌ。凄く似合ってるから」



各国の王族が順番に呼ばれる中、俺はバルトにエスコートされ宮殿広間に向かうとすぐに呼ばれた。


あれ?オールウエイ国、結構、上位なんだな?


俺とバルトが入場すると一瞬、広間がざわめく。


あ、また、大道芸人扱いなのか?


まあ?俺も目立つようだし、バルトが凄く格好いいから無理ないかもな。


横に立つバルトは白を貴重にしたオールウエイ国の軍服に今日は赤の綺麗な髪を編まずに下ろしている。

今日はサラサラ髪ですごく領主様だ。

俺を見てニッコリ笑うその笑顔でバックにお花が咲き乱れている。

凄い。凄いよバルト。回りからため息が聞こえるよ?

ああ、ダメだ。これはお姉様方の餌食だ。男も寄ってきそうだ・・・

そうだよな?一城の領主様だもんな。バルトも。

本当は俺も横でずっと眺めてたいもんな。


バルトが俺の腰に手を回して抱き寄せる。


「シルフィーヌ、その顔止めろ。俺の側にいろ」

「えっ?わかってるわよ?ちょっと見惚れてました。バルト格好良すぎよ?」

「・・・・俺よりお前だ」

「ん?」

俺、離れたらバルト、お姉様方に絶対、連れ去られそうだけどな?





「ああ、実に美しいな。今宵、付き合わぬか?」

俺の祝いの言葉にカルロス皇帝はニッコリ笑い俺の手を引いた。


「まあ、皇帝陛下?お(たわむ)れを。ご遠慮申しあげます」

ニッコリ笑って俺が手を引っ込める。


「フフッ、まあいい。姫、考えておいてくれ」


口元笑ってるけど目、本気じゃね?マジ、怖いんだけど・・・?



皇帝への挨拶が終わると他の王族達と一緒に王族専用の来賓席に招かれたので新参の俺はペコペコバッタだ。これにはワズナー伯爵夫妻、ハルクが付き添ってくれたのと俺とバルトがニッコリ微笑むと大概の王族はにこやかに挨拶を返してくれた。

当たり前の事だが日本みたいに名刺交換がないから覚えるのにちょっと苦労したが。


以外だったのが俺がもしかしたら嫁いでたかもしれない隣国エロエロおっさん王の第一王子と挨拶した。

つまりトマ王子の兄上だ。

アラブ系の美男で浅黒い肌とその笑顔が色っぽ過ぎてクラクラした。

トマ王子は実の弟でよく似ていると言う。

しまった、案外それでも良かったかも・・・だって、ミシュリーナ、凄くトマ王子はやさしいって言ってたもんな・・・


一通り挨拶が終わると音楽を合図に舞踏会が始まる。

先に躍り出たのはサロメと皇帝陛下だ。

とても情熱的な曲で踊るサロメが『赤の薔薇姫』と呼ばれるのが納得いった。

ステップを踏むその軽やかな長い足、赤と黒のスレンダーなドレスを纏うそのプロポーション、そして煽情的な色香がただようその表情、多分、俺が亮のままだったら迷わず惚れていただろう。

なるほど、カルメンだな。


俺も一曲は踊らなきゃダメだろうけどサロメと見比べられるのはキツイな?

まあ、バルトと踊りたいだけだからな。それにあんまり激しい曲は今日はNGだしな。


「姫、お手をどうぞ」

「喜んで。バルト様」


俺が手を差し出すとバルトが笑いその手を優しく引く。

何組か躍り出るカップルに紛れ、そっとバルトに寄りそう。

あ、良かった。比較的大人しいワルツだ。

バルトがリードしてくれるのでとても踊りやすいし楽しい。


「シルフィーヌ、今日はこれが終わったらサッサと帰ろう」

「ええ、そうね?さっきから視線が痛いものね?」


色んな感情が混ざり合った視線がヒシヒシと俺に突き刺さる。

特にあっち方面から来る、はい、サロメですね?見たくないけど俺とバルト、ガン見だよね?

もう、これ、踊り終わったらサッサと撤退!背筋寒くなってきたしな・・・


曲が終わったのでバルトと挨拶するとハルクが俺の前で挨拶だ。


え?兄貴、踊るの?

兄貴、背が高いから大丈夫かな?

あ、大丈夫そうだ、知ってる曲だし。


「亮、良くやったぞ。王族達にもなかなかの好印象だ」

「そう?良かった。ありがとう、兄貴。凄く助かったよ」

「まあ、皇帝がお前に興味を持ったのは厄介だがな?その美貌、上手く使えよ?」

「ええ?ないだろそれ!他にもいっぱい綺麗な人いるし。ほら、サロメなんか凄く綺麗だよ?それに兄貴もお姉様方、凄い注目じゃん。俺、今、嫉妬の炎で焼き付くされそうだよ?」

「ククッ、まあな?」

兄貴が笑う。


ハルクが笑うと破壊力半端ないな?

普通の女ならこの笑顔を自分一人に向けられるだけで心臓打ち抜かれるわな。

ほらほら、周りから思わず黄色い声が聞こえてくるし?

ああ、サロメの視線が俺の背中を貫いてる!痛い!痛いから止めろよ!


「お前に眼をつけてる貴族や王族がさっきからいつ声を掛けようかと焦れてるぞ?いいか?俺かバルトの側から離れるなよ?」

「えー?マジ?勘弁してくれよ・・・帰りたいよ、兄貴」

「いい加減、自覚しろ。お前恋愛ゲームのヒロインだろ?男なら誰でもお前が気になる」

「違う。顔がヒロインなだけだって!それに兄貴のゲームには俺まったく関係ないだろ?じゃあ、モブだよ!モブ扱い!」

「『王の印』のせいだとは言え確かにこれは厄介だよな?まあ、俺のゲームはもう俺が15歳で強制終了させたからな」

「なんで??」

「お前を見つけたからだ」


曲が終わる。

ハルクが手を離すと今度はアレンが俺の前で腰を折った。


「なに?アレン?ハルクと踊りなよ?」

「踊ってやるのになんだ?その態度は?」


綺麗な顔で睨むなよ。


「え~、仕方ないな?」


と言いつつもちょっと嬉しかったりする俺。

さっき、サロメと踊ってたアレンが凄く恰好良かったのだ。


あ、結構アップテンポな曲だ?踊れるかな?


「アレン、今日は凄く恰好いいよ?さすが大貴族様。惚れちゃっていい?」

「ふん、心にもない事言うな。俺も別にお前と踊りたいわけじゃない。部下や俺の爵位の手前、仕方なしだからな?」

「あ、だからサロメとも踊ってた?」

「ああ・・・正直めんどくさい」

ってそっぽ向きながらも凄く真面目にステップ踏んで俺をリードしてくれてる。

すごく踊りやすいかも?ってか、上手いんだ、アレンはダンスが。

「アレン凄い、ダンスも上手いんだ。何でもできるんだね?カッコいい!、凄く好きかも?」

「俺はお前が嫌いだ」

「つれないな?」

「ああ、喋ってないで集中しろよ?サロメの方が上手いぞ?」

「ああ、本当だよね?『赤の薔薇姫』には敵わないよ?」

だって凄く情熱的だもんな?

「・・・・・・また、踊ってやるから練習しとけ。お前と踊っておけば俺の家族も納得するからな」

「本当?了解!サンダー中将殿」


曲が終わるとアレンが腰を折って俺に向き直り声を出さず〝バーカ”って言った。

俺も笑いながら〝うるさいよ”って声を出さず返す。


案外こう言うところ、かわいいんだよな、アレン。


次はダンが手を差し出していた。

「姫、どうか、一曲お相手を」

「わあ!ダン!嬉しい!喜んで!」

ダンが手を差し出すので俺も手を差し出した。



「ちょっと、貴方?」

ん?

「「はい?」」


俺とダンが笑いながらその声の方向に目をやり同時に返事をした。


ゲッ!!サロメ!!何でいるんだ!







いつも読んで頂いてありがとうございます。

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