なんでこうなる!?の件
今日も短めよろしくお願いします!
あれ?
ここ?
どこだ?
レオリオは?・・・・・・えっと?
ああ、頭、まだ痛いな?・・・って、あ、そうか・・・レオリオいないんだ・・・・・
ここ、帝国だったな・・・・ちょっと油断した。
俺は枕に顔を突っ伏した。
まだ着いたばっかりだろ?もうホームシックか?
コンコン!と寝室のドアがノックされる。
「はい?」
ん?誰だ?
「亮?大丈夫か?」
ああ、兄貴か。
「ん、もう、大丈夫そう。そっちで待ってて。起きるよ」
「入るぞ」
「そっちに行くから!待っててよ!」
女性の寝室簡単に入んな!
それに今の俺の顔は見せられないだろうし・・・
「無理しなくていいぞ?」
ドア越しに兄貴が声を掛ける。
「うん、ちょっと待っててよ」
ガウンを着こんで起き上がる。
ドアを開けるとタロが走り込んで来た。
「ワゥ!」
「ああ、タロ、おいで」
タロを抱き上げ隣の部屋に行くとハルクは俺の執務用の机に書類を広げたままこちらを見た。
「あれ?仕事?手伝うよ」
「いや、いい。もう終わりだ。それよりどうだ?頭はまだ痛いのか?」
「ああ、うん。まだ少しね?けど大丈夫だよ。今晩寝たらもう良くなると思う。疲れが出たのかな?」
「バルトも医者は呼ばなくていいと。以前も同じ事があったのか?疲れが原因だと医者に言われたとバルトが。それにお前、そうなる前は人を虜に出来るような事が意識して出来るとかも言ってたぞ?」
「イヤ、正直自分でもわからないんだ。ただ、この状態の俺を見た奴は虜とか言うよりなんか催眠術がかかったみたいで俺の言いなりみたいになるような感じだけだよ・・・それにまだ、本当に二回目だから正直良くわからないんだ」
「なんだ?それは・・?まぁ、とにかくだ。ぶっ倒れる程、体力持ってかれるなんて何の役にも立たない。使うなよ?それ。特に敵相手にはな?」
「あ、ああ・・・バルトにも叱られたよ」
「当たり前だ」
あ、そうだ。
「なあ?話かわるけど兄貴?アイリーンの事今でも好きだろ?だって、お土産、しっかり渡してたじゃないか?」
「そんなんじゃないって言ってるだろう?あいつはあんなのを小さな時から集めているから珍しいのを見ると買って来るだけだ。お前が嫌ならもうしない。アイリーンも言っただろう?終わったって」
「口ではね。もう終わったって泣きそうだったよ?兄貴が言わせてるんだよね?今でも兄貴が、ハルクが、好きなんだよ、アイリーンは。兄貴、俺もゲームの主要キャラだからわかるんだ。どんなに設定通りの相手に逆らえないか。どんなに諦めようとしてもダメなんだよ?ゲーム補正が掛かる。凄く苦しいんだ。わかるんだよ?俺。悪役令嬢だから。アイリーンの気持ち、凄くわかるんだ。兄貴もそうだろう?ハルクにはアイリーンが必要だろ?アイリーンが好きな物だと気にかけるハルクの気持ち押えられないだろう?だから買って来るんだろう?どうして逆らうんだよ?アイリーンに囁くだけでハルクは家族を手に入れられるんだよ?」
「俺はハルクの前に一馬だ。亮」
立ち上がった兄貴が俺に詰め寄るとそっと肩に手を乗せる。
俺はタロをそっと足下に降ろしてやる。
「兄貴?この世界で兄貴はハルクだ。王道、冒険ゲームのヒーローだ。そして俺は乙女ゲームの悪役令嬢なんだよ?そんな事、兄貴が一番分かってるじゃないか?」
「俺の気持ちはどうするんだ?一馬の気持ちは?亮」
「兄貴の気持ち・・・?」
「お前は恋しくないのか?この俺を?」
「そりゃぁ?こうして会えたのは兄貴のお陰だし、会ったら側にいたいよ?でもさ?この世界での俺にも帰る場所があるんだ。この世界にはオールウエイ国にはシルフィーヌとしての俺を必要としてくれてる人が沢山いるんだよ?兄貴だってそうじゃないか?」
「側にいればいい」
兄貴が俺を抱き寄せる。
「兄貴・・・?俺も兄貴が好きだよ?でもさ、それ弟だからだよ?シルフィーヌがハルクを愛しい訳じゃないよ?」
「お前は相変わらず残酷だ」
「えっ・・?」
トンッ!トンッ!とドアがノックされる。
「あ、はい!」
「シルフィーヌ様?起き上がってますの?」
アンナ様だ。
俺は急いでドアを開けるとアンナ様が入って来るなり俺の顔に手を添える。
「ああ、顔色随分良くなったわ。良かった・・・侍女のマーサが夕飯を聞きに来たものだから。軽くでいいから少しでも食べましょうね?まあ、タロ?ダメでしょ?入っちゃって、ってハルク!?何してるの!女性の部屋で!」
「ああ、ハルク様は私を心配して」
「それになんですか!仕事持ち込みって!」
「アンナ様、ハルク様本当に心配して着いててくれたんです。それにその書類は私が出した物なんです。最終確認なんですよ?」
「本当に?もう、この子、変に仕事熱心だから・・それにしてもダメですよ?ハルク。女性の部屋に二人きりは。シルフィーヌ様は皇太子妃様ですからね?」
「母上、私はシルフィーヌを嫁に欲しいのです」
「「えっ!?」」
アンナ様と俺は同時に叫ぶ。
そしてアンナ様がハルクを見て俺を見て固まる。
「なっ!何言ってるんですか!ハルク様!違います、アンナ様、違います!」
「えっ?!」
今度はハルクを見るアンナ様。
「オールウエイ国は結婚は身分の関係なく好きな者同士が結ばれるのがならわしなんだよな?自由なのだろう?そして将来を約束した相手とだけ契るのだろう?お前はまだ乙女だよな?シルフィーヌ?」
「えっ!」
今度は俺がハルクを見てアンナ様を見て固まる。
「そうなの?ねぇ?本当?いいの?それ?いいの?シルフィーヌ様?」
アンナ様が俺の両手首をガッチリ掴んでまくし立てる。
「いや!いやいやいや、私、オールウエイ国レオリオ王子の妻ですから」
「まだ、契ってないだろ?」
ハルクが笑いながら繰り返す。
俺の顔が凄い勢いで熱くなる。多分、真っ赤だ。
「止めて!アンナ様の前でハルクのバカ!」
「まあ!」
アンナ様が嬉しそうに俺の顔を覗き込む。
「ハルク!お父様に言って!早く!ああ、忙しくなるわ!」
「いや!アンナ様、私が好きなのはレオリオ王子です。愛しているのもレオリオ王子だけです。ハルク様は兄です。兄!だから結婚は無理です!」
「ハルク、結婚準備は進めるからシルフィーヌ様を射止めなさい。わかったかしら?」
「言いつけ通りに。母上」
「いや、何で?違うから?無理だから?ね?アンナ様」
「オールウエイ国での婚約破棄なんてワズナー家は気にしません。シルフィーヌ様が娘の方が凄く嬉しいもの!あ、バルト様もご一緒がいいわね?お父様から皇帝陛下に口添えを。そうだ、そうしましょ?大丈夫よ?シルフィーヌ様、我がワズナー家は爵位は伯爵ですけどもこの国大貴族としては上位にいますから。皇帝陛下も懇意にしておりますから。ね?心配いらないわ?」
「いや、違います。私の気持ちの問題です!私の夫はレオリオ王子だけですから」
「ふふっ、ハルク?その気にさせてね?シルフィーヌ様を」
「はい、母上、もちろん」
「だから!ねぇ!聞いて下さい!アンナ様!お願い!」
なんでこうなる?何でだよ!?ああ!もう!
ありがとうございました!




