やれやれでオイオイオイ!の件
今日は短め、よろしくお願いします!
・・・・・・・
やれやれ。
兄貴といい、このアイリーンといい素直じゃないね?
じゃあ、俺のやり方で本心聞き出しますか?
「いえ、バルト。彼、どう思いますかね?私は彼の嫁候補も募っておりますので。もしよろしければ一度ゆっくりお話でもと思ってるのですが」
「あ・・・嫌だ、私ったら・・恥ずかしい・・」
両手で顔を挟み真っ赤になり更に下を向くアイリーン。
うわっ、すげぇ!典型的なヒロインだわ・・・かわいいわ、これは。
「あの、私はその、好きな方がいまして・・その・・」
はいはい、ハルクだよね?
「もう、その方とはご結婚のお約束を?」
「えっ!えっ・・・い、いえ・・・あの」
はいはい、まだ、しっかり引きずってるよね?スッゲーバレバレなんだけど?
「・・・正直なお方なのですね?アイリーン様は。よく分かりました。では、ハルクにはその様に伝えます」
「シ、シルフィーヌ様?お止め下さい、あの方は私の事など少しも・・思っておりませんわ・・・ええ、なんとも・・・」
アイリーンはさらにうなだれた。
俺はそんなアイリーンに近づき肩に手をかけると耳元でハルクの声で囁いた。
「アイリーン、ねぇ?アイリーン、もう一度考えてくれないか?」
「なっ!、何を!ハ、ハル!?い、いえ、シルフィーヌ様!!何をなさいますの!?お止めく」
「アイリーン」
もう一度兄貴の声で色っぽく呼ぶ。
「あ・・・!」
ああ、凄く動揺してるな。
もともと俺と兄貴は顔の骨格が似ているから声もよく似ていた。
今も亮の声を出せるシルフィーヌがハルクの声を似せるのは簡単だ。
アイリーンの耳元の髪にそっと手を添えさらに色っぽい兄貴の声で囁く。
「アイリーン、ね?考えてよ?もう一度。俺は嫌い?」
「あ、ハルク様・・・・」
アイリーンが目をつむり俺にしな垂れかかる。
俺の肩にその赤い顔を埋める。
かわいい!可愛いな、本当に・・・
落とそうか?このまま、マジで。
「アイリーン、どうして欲しい?」
「ハルク様、ハルク様・・・・愛してるって・・・言って・・・私は・・・」
「アイリーン、貴女は?俺が欲しい?」
「ハルク様、ハルク様」
うわっ、抱き着いてきた。うわっ!顔真っ赤で目閉じてるよ。
すげーかわいい!
あれっ?これってキスねだられてるの?
・・・・・・
ん?
ひょっとしてさ?俺、またフェロモン出てるのか?
・・・・アイリーン、女なのに俺、操れるのか?
「ハルク様・・・・」
うーん、自分でしておいて何だが催眠術みたいだな。
ちょっとこれ、良くないな?
俺はアイリーンの顔の前で指をパチンと鳴らした。
するとパッチリと目を開けるアイリーン。
「アイリーン様?ご気分が優れないみたいですね?お部屋に戻りましょうか?」
「・・・・えっ、あ、いえ?あ、シルフィーヌ様、ハルク様は・・・・いえ!やだっ・・あ、れ?」
「部屋に戻ろうか?アイリーン」
もう一度、ハルクの声で囁く。
「あ、ハルク様・・・・」
うわ、また、目をトロンとさせて顔も真っ赤だな?
首に手を回してくるな。悪い気はしないが、ハルクじゃないからな?
「部屋に戻ろう。アイリーン」
まあ、でもちょっとサービスだ。
ハルクの声で言うとアイリーンが嬉しそうに微笑み頷く。
ああ、可愛いな。どうしようかな?
今日、軍服で来て良かったわ。俺はアイリーンを軽々お姫様抱っこだ。
あんまり背丈は変わんないけど俺、力はあるからな。
庭園から出るとアイリーンの護衛が駆け寄って来た。
「アイリーン様、アイリーン様、どうされました?」
「心配ない。少し目眩がしたようだ」
「・・・では、私が・・・シルフィーヌ姫様?・・・ですよね?・・・」
あ、しまった。こいつにもかかってしまうな?
「シルフィーヌ!!」
突然、バルトの声がする。
けど、ん?どこだ?あ、あんなところからって、うわっ!?凄い速足で向かって来る?!
「すまない。アイリーンを頼む」
俺は急いでアイリーンをその護衛の腕に託す。
そしてアイリーンの顔の前で指を鳴らすと
「アイリーン様、今日はこれで失礼を。また来ます。では」
「え?・・あ、あら?シルフィーヌ様?えっ?・・・・レイモンド?何で私?」
「シルフィーヌ!!」
「ストップ!!バルト!そっちに行くから待ってて!」
俺はバルトの元に走る。
バルトの側に駆け寄るといきなりバルトが俺を抱き上げる。
「顔、上げるな、シルフィーヌ。俺の胸に伏せとけ!」
バルトが速足で馬車に向かう。
「何でそうなってる?ハルクが先に帰れと言ったから良かったが」
「バルト、ごめ」
「いい!話すな。集中できなくなる」
えっ?そんなに?そんなに凄いのか?俺また、フェロモンお化けなのか?
ワズナー家の馬車が宮殿エントランス正面に着くとバルトが俺を抱えて乗り込みすぐに帰宅を御者に言いつける。
「バルト・・・・」
バルトは俺を膝の上に抱え込んだままだ。
「話すな。顔色を。ああ、大丈夫そうだな」
俺の顎に手を掛け、顔色を眺めホッとしている。
ああ、この間、ぶっ倒れたからか?そうか、それを心配してくれたのか。
「ごめんなさい」
申し訳なくて自然と謝罪の言葉が出る。
俺はバルトの顔を無意識に撫でた。
「いや、いい・・・身体つらくないか?」
「大丈夫そうだわ・・・・だから下ろして?」
「・・・・・ああ・・わかったが・・・」
俺を見つめていたバルトが頭を振る。
あ、ヤバい・・・かも
何か顔赤くないか?バルト。この間のルカと同じとか・・・・?まだ、俺フェロモンダダ漏れなのか?
俺は急いでバルトの胸を押し、バルトの膝の上から飛び降りようとした。
しかしバルトがそれより素早く俺を抱え込んだ。
「バルト!!いや!」
俺がバルトに怒鳴って見上げるとチュッ!と額にキスされた。
デコチュウだとッ!?オイオイオイ!
お読み頂きありがとうございました!




