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だから、いい!の件

今日もよろしくお願いします!

「約束破らないで。そんなに簡単に」

鼻先がくっつきそうな感じでレオリオと向かい合う俺はちょっと呆れ顔だと思う。


「今しかないんでね?」

そんな俺にレオリオは笑ってはいるが企んでる事がバレバレの凄く悪い顔だ。


「帰ってからで十分、時間がありますけど?」

「ここで臆して一生悔やむのは嫌だからね?」

「なんでそう言う発想になるの?」

「なんでそんなにハルクに危機感感じないの?」

今度は俺にレオリオが呆れ顔だ。

「明日のハルクより今のレオに凄く危機感感じてるんですけど?私」


間違いなく危ないのはお前だよ!お前!全く、お前は!


「ねぇ?無駄な抵抗だからこの手、放してくれるかな?」


俺に覆い被さりながらも器用に腕枕をしたままのレオリオの手を俺は頭と右手で力を加え押さえ込んでいる。

左手はレオリオの胸を押して体を重ねられない様にしているが逆に下半身はレオリオに馬乗りにされて力抜いたら間違いなく襲い掛かられる状態だ。


「嫌。襲わないって約束したのに・・・また、喧嘩するの?もし今、喧嘩したら私はレオと喧嘩したまま一年も会えないのよ?一年もよ?手紙も書けないのよ?そんなのは嫌だし悲しい・・・明日から辛くて何も手につかなくなるわ?」


「今君を抱かなければ僕が後悔して何もやる気が出ないよ?だから君が素直になってくれればいいだけだよ?君をハルクにやる訳にはいかないんでね?」


「レオ?よく聞いて?私とハルクが兄弟だった前世の世界は女性の処女性はそんなに重要ではないわ。むしろその行為自体をスポーツととらえる国もあるほどよ?だからここで私を抱いて妻だと言い張ってもハルクには通じないし気にもしないわ。もちろん私が佐伯亮として住んでいた国は一夫一妻制で婚姻後の浮気は社会的には制裁を加えられるし、離婚に至る理由になるには十分な事よ?ああ、それに同性婚はまだ認められていないし兄弟でそう言う行為は禁忌(きんき)なのはこの国と同じ。ハルクにとって今世女性で他人となった私を抱く事はとても好都合かもしれない。でもね?逆に私が前世の関係を盾に取りハルクを兄として縛れば前世の関係に戻るだけ。そのあり方が今世でも私とハルクのお互いが望んでいる形だと思う。きっとハルクもわかってくれると思うわ。それに道理的にも生理的にも私がハルクの嫁となる事には嫌悪感があると言う事をハルクにハッキリ伝えるわ。あれでもハルクは、いえ、前世の兄、一馬は道徳観念はしっかりしている人よ」


「・・・・それで僕に納得しろと?僕には何もないままじっと我慢して一年も君をハルクに差し出すのかい?僕に何も確かな証を君はくれないのかい?僕が君を抱いて僕と将来を誓ったのだと皆に言い張ってもいいじゃないか?君とハルクがそんな事とと笑止する事でもこの世界では通用するしそれが証なんだ。既に君は僕の妻なんだ。その証を僕に。シルフィーヌ」


こらこら!止めろ!急に腕持ち上げて抱き締めようとするな!

相変わらず、馬鹿力だな!!


さらに必死でその腕を押さえている俺に顔を近づけ無理矢理キスをしようとする。

レオリオに顔をイヤイヤと振り、睨らみ上げた。



「貴方にとって私の気持ちは重要ではないの?心は関係ないのね?今、貴方が無理に私を抱けば私の心は貴方を簡単に許す程寛容に出来ていないわ。だって私は貴方の所有物ではないわ。嫌な事は嫌と言う血の通った一人の人間なのよ?私はこれから貴方と一緒に歩む人生で貴方とどんな時も乗り越えられるようにちゃんと向き合って話あって解決して行くと決めたの」


「・・・・・・・・」


「ねぇ?レオ?共鳴した時なにが幸せだった?貴方と私の心の繋がりよね?心同士でのお互いを思う愛しい気持ち、大事な気持ち、そして一生一緒にいたいと思う気持ちでしょ?貴女を愛してる私の心と貴方が私を愛してくれてる心の繋がりが大事なんだって貴方言ってたじゃない?私が他の人と共鳴するのが嫌なのはそう言う事なんでしょ?それにレオは最初、私にあった時なんて言った?君の言葉で意見して一緒にこの国の事考えてくれって私に言ったわ?違う?ねぇ、レオ?私の言った事は間違えてるの?答えて」


「ああ、言ったし、間違ってはいない」


「じゃあ、私の言葉に耳を傾けて。力ずくで奪うのじゃなく。私は結婚式を挙げてこの国のみんなに祝福されて貴方に抱かれたいわ。この間のユリアスとルナ姫のように・・・ダメな事?」


「・・・・・・・・・」


あ、

何か、目反らしたぞ?



「・・・・・ああ!もう!君は!」



覆い被さっていたレオリオが俺の隣にゴロンと転がった。



「まったく・・君は・・!なんて頑固なんだよ・・・・ほんと、根負けだよ、シルフィーヌ・・・まぁ、どうせ物理的にも時間が足りないし、それに抱いてしまえばハルクが迎えに来る前に君を連れ去りそうだし・・・わかったよ。わかった!僕だって君と喧嘩別れなんてしたくない」


ちょっとふて腐れ、呆れ声でだけどそう言った。

何か照れてる様な感じで仰向けに夜空を見上げたレオリオは髪をかき揚げる振りをして顔を手で覆った。


俺もホッとして全身から力が抜けた。



「ああ、ほんとに・・・いつから僕はこんなに君に甘いんだよ?」

って呟く。


何、それ?・・・・自覚なかったのか?

でもちょっと・・・・

それ、何か嬉しくない?


俺はレオリオの顔に両手を伸ばすと両頬を挟み無理矢理自分に向かせた。


「初めからよ?」


って思わず笑って答えていた。

そして、

「証になるかわからないけれど、貴方と共鳴したい。そして貴方の心に誓うわ。私にはレオだけだと。ダメ?」


って綺麗なレオリオの瞳を覗き込むとレオリオも両手を差し出しそして俺の頬に触れる。


「ああ、僕もだ。僕もだよ。シルフィーヌ。僕も君だけだと君の心に誓うよ、シルフィーヌ」




自分のガウンのボタンを外しネグリジェの胸元のリボンを解くとレオリオの手を『王の印』へと導びく。

レオリオも自分の顔を挟んでいる俺の手を後頭部の『王の印』に持って行くとそっと触れさせられる。


一瞬で共鳴が始まる。


唇をお互いに重ね深いキスを繰り返しながら心の中をさらけ出す。


『あなただけ』


優しい気持ちが溢れだす。


『君だけ』


あたたかい気持ちが流れ込む


そしてお互いが交差する。


唇を離しお互いを見つめ微笑む。


ああ、

なんて・・・


お互いの波動が重なり気持ちが混ざり合うととてもあたたかくて泣き出したいような恍惚感に包まれた。

 



・・ん?

何か暑い・・・・うーん、暑いや・・

うん?これ、なんだ?動けな・・・・ん?あっ!!

わぁ!レオリオだ!レオリオのどアップだ!って・・・・え・・えっ!?

まさか・・・・まさか・・・寝ちゃった・・・?

俺、あのまま気持ち良くて寝ちゃった?

って、わぁ!何か空が明るくなって来てない?

朝日が差して来てない??

ヤバ・・・い・・ヤバいよ!

早く自分の部屋戻らないと俺、朝帰りになっちゃうよ!

ヤバいヤバい、それ、ちょ~ッ!ヤバすぎだよ!!


急いで俺をしっかり抱き締めているレオリオを起こさないようにそっと胸から抜け出そうとするが、

ん、ん、あれ?ダメだ。動けないよ?レオリオがしっかり俺の腰を抱き込んでるし・・・って、あ、こら!お尻、触ってるし!!

あ、れ?それに・・いつガウン脱がされたの???

えー、いつ?いつ?記憶ないし・・・うそ・・

・・・・・・・・まぁ・・・・深く考えないようにしよう・・

あ、それより早く部屋に戻らなきゃな!

そっと、そっとだな、こっちに向いたら・・・あ、ん、しっかり囲まれてるし・・・うーん・・・やっぱり抜け出せんな・・・


「クッ・・・」


えっ・・・レオリオ、揺れてる?


目の前のレオリオを見上げると


「おはよう、シルフィーヌ。可愛いすぎだよ」


っていきなりキスされた。

それもベットに押し付けて覆い被さり激しく唇を奪われる。


やめろよ!朝から変な気分になるだろ!


「やあ!や・・・・ん!レオ、やあ!」

「ん!・・・・続き、しよう?ね?シルフィーヌ」


な!朝からなに!?続きって何だよ!


「ん!ん!」


レオリオの胸をバンバン叩く。


するとどうにか唇を離してくれた。


「もう!いきなり!止めて下さ、あっ、やあ!もう!触らない!レオ!」


お尻に回ったレオリオの手をほどきにかかる。

が、また触ろうとしたので急いで体をずらす。


「止めて!触らない!」

「おいで、シルフィーヌ、愛してるから」


なんで朝からそんなに色気全開で迫るんだよ?

こっちが参っちゃうんだけど?


「ダメったらダメ!おはよう!レオ!じゃあね!」

「いいから。おいで。来るんだ」

急いで起き上がろうとする俺をレオリオが手を引いて捕まえると抱き込みにかかる。


「部屋に帰るの!」

「もう少し」


触るな!どさくさに紛れてお尻触るな!


「レオッ!頭突きしますよ!!」


「・・・わかったよ・・・またそれ・・?」


何だよ、もうちょっといいじゃないかって小さく呟くな!


構わず俺はサッサとベットから立ち上がる。


あ、ガウン。


急いでそれを着てドアに向かうとレオリオもベットから立ち上がった。


「待って、シルフィーヌ」


あ、そうか!


急いで俺はレオリオの所に戻るとギュッと抱きつきレオリオの唇に無理矢理唇を押し付けた。


「んん~ッ!!」

「!」


びっくりした顔のレオリオにもう一度チュッ!とキスをして


「凄く愛してるわ!私の旦那様。だから、いい?私がいない間に浮気したら許さないんだから!!」


って思いっきり捨てセリフを吐いて俺は寝室のドアを飛び出した。





「・・・どっちが浮気するんだよ・・・?前科持ちは君だろ?・・・」


レオリオは呆然とベット横に突っ立ったままキャーッ、どうしよう!とか騒いで一人廊下に飛び出して行ったシルフィーヌにぼやく。


そしてその口元には笑みが広がった。









今回でレオリオ王子はちょっとお休み。

次話からはハルクとバルトの帝国編になります。

今回も長い話なのに読んで頂き感謝致します。

(あっ、レオリオ王子は今回もお預けでした)

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