考えても仕方のない事は山ほどある件
今日は長いので2話に分けました。
よろしくお願いします!
「えっと・・・何から話しましょうか?」
小首を傾げて出来るだけ可愛く見えるようにっと・・・・
「「「全部だ」」」」
レオリオ、ルカ、バルト、声が地獄から響いてくるような低音ボイスだよ!?
それにそんなにきれいにハモらないでよ・・・余計迫力あるからさ?・・・
「えっと?」
下から見上げてだな・・こう、両脇で胸寄せてだな・・
あ、三人とも腕組んで拒絶ポーズ???
な、なんだとッ!!
こ、この俺の必殺、お願いポーズが効かないだとッ?!
しぶしぶ俺は前世の記憶が有ることを3人に話始めた。
「それで全部か?シルフィーヌ?」
俺は首をコクコクと縦に振る。
お兄様、魔王ルカが降臨してるよ?
「本当だな?シルフィーヌ?」
また、俺はコクコク首を振る。
素敵なバリトンボイスだね?バルト。
そんな声出るんだ~?知らなかったよ?
しかし、まだ俺は前世の日本のこと、ここがその日本に存在するゲームの中の世界だと言う事は話せていない。
多分、ハルクが言うみたいに理解できないだろうから。理解出来るように話す自信もないし。
だから正直全部じゃないけどね?
「あれ、何?シルフィーヌ・・・・」
「えっ?何かな?」
ほっぺにチュッ、だよね?レオリオ?
「今、すぐ、閉じ込めようか?」
簡単に監禁言うな!!
それにうわぁ・・・・口、微笑んでるのに、何で目、そんなに冷たいかな?・・・・
凄く、怖いからね?止めようか?レオリオ・・・・
「ごめんなさい」
何で俺が謝んのよ!?クソッ!兄貴のバカ野郎!!
「どうするか、だな?・・・・いきなりはな・・・?」
バルト、武力行使は避けよう。
「話を着けるか。もう一度帝国と」
お兄様、それ、本気?
「僕が話を着けるよ」
ハハッ、ありがとうレオリオ。
でも二度目はないよ。
謀ったよな?兄貴。
先にレオリオにサロメ姫との縁談を仕掛け、破談にされる事は計算済みで次に俺。
初めから俺狙いだったんだよな?一馬。
まさか、国巻きこんでくるとはな・・・・
さすが、策略家の兄貴らしい。
三人が真剣に顔を付き合わせて話し込んでいる。
「あの・・・・」
「「「何だ?」」」」
うーん、だからさ?三人一緒にハモって一斉にこっち睨まないでよ。
心臓に凄く悪いからさ?
「あの・・・ですね?私、覚悟できてますから。帝国行きます。大丈夫ですから。アハハッ・・」
俺は笑って言った。
「黙れ」
レオリオ、その瞳、ブリザード。
スッゴク、俺、寒いよ?
「お前行かないって言ってただろ?じゃあ、黙っていろ」
バルト・・・・優しい口ぶりだけどやっぱり目、笑ってないな。
「行かせない。シルフィーヌ、お前の兄は私だけだ」
お兄様、どす黒いよ、バックが・・・・完全にハルクに嫉妬だよね?
何かね・・・?
お前は俺が守る!!って言うスッゴク、感動的なシーンだよね?今って!!
なのに、なのにだ!なんだか俺のまわりはブリザードがビュウビュウ舞ってるのは何故かな?・・・
寒いよ?怖いよ?泣けないよ?
ガチブル、ヤンデレ三人組だよ!?
ああ、
世の中には考えても仕方のない事は山ほどある。
不平等だなんて嘆いてみたって何も好転しない。
考えるだけ損だ。思考力の消耗だ。時間の無駄だ。心の疲労だ。
そんな時は出来る事から、そう、足を動かしその場から走り出せ。要は行動有るのみ。
わからない時は時の流れに身を任せるんだ。
とりあえず俺は俺のやり方で。
そう、
兄貴は欲しいモノは必ず手に入れる。
そしてこの3日は俺がこの国を出る為に兄貴がくれた整理の時間だ。
この国は帝国にとっても主要国には間違いない。
だけど二度も強気に断れば相手はこの世界にNo.1で君臨する大国だ。必ず何か因縁をつけて来るだろう。
報復されると無傷で済むとは思えない。
無用な労力と時間をかけて俺一人を守らせる訳には行かない。
まして命をかける戦争などに発展など以ての外。
答えはとっくに出ている。
俺にとって不平等なだけ。
でも
相手の手中に飛び込み様子を伺う事で好転に導く事は出来る。
例えそれが賭だとしてもだ。
行動有るのみ。
「お兄様、お父様の所に私を連れて行って下さい」
俺が立ち上がりルカに声を掛けるとレオリオが俺を睨み上げる。
「勝手は許さない。僕の側にいろ、シルフィーヌ」
「レオリオ様。答えは出ております。それにラルバ公国の件、急いで宰相である父に報告を」
「黙れと言った」
「シルフィーヌ、ラルバ公国の件は私が。先に王子と話し合え。父上には私がまとめて報告をするから」
レオリオの怒り声にルカが俺に待てとばかりに片手で制す。
「いいえ、お兄様。先に報告に参ります。感情に流される訳には参りません」
「ルカ、バルト、シルフィーヌを閉じ込める。バルト、私の部屋に連れて行け」
「悪いがシルフィーヌ、俺も王子に賛成だよ」
そう言ってバルトが俺の腕を掴もうとする手を俺は抑え、レオリオを睨み返すと俺は言った。
「レオリオ王子、ハルクは3日後に正式に帝国の使者としてシルフィーヌを所望する。貴方はこの国の次期王として判断を間違えてはならない。この国に無用な血を流させる事は次期王妃としてのシルフィーヌは望まない。悪いが前世の俺、佐伯亮として言わせてもらう」
俺の声は前世の佐伯亮の声だ。
「私に逆らうか?」
凄く低い声だ。レオリオの両手が拳に変わり、肩を怒らせ立ち上がると俺と対峙する。
「ああ、俺の命で全て修まるなら安いこと。問答無用。王に全て報告する。どいてもらおうか」
俺は一歩前に出る。
ここで言い通さなければ大事なものを失う。
俺の言葉で部屋の空気が緊迫する。
ルカが血相を変え、立ち上がり俺の腕を掴む。
「止めろ!シルフィーヌ。お前は私の妹だ。シルフィーヌ・アントワートだ。これ以上、王子に無礼は許さん!来るんだ」
「止めろ!シルフィーヌ。ルカの言う通りだ。王子に逆らうのは俺も許さない。さあ、俺と行こう、来るんだ」
バルトも俺の手を払い俺の腕を掴む。
「問答無用、押し通る!!」
レオリオだけを見て返す。
レオリオの顔がみるみる赤くなる。
「「シルフィーヌ!!」」
ルカとバルトが今度は押さえ込むように俺の肩を掴み叫ぶ。
だが俺が引くことはもう出来ない。
引く気などない。
レオリオと俺、双方睨みつけたままだ。
しかし、予想に反しレオリオが先に目を伏せた。
そして俺を見なおしたその瞳にはためらいがあった。
だがそれは一瞬で消え顔を引き締め言い放つ。
「陛下に報告をする。シルフィーヌついて来い」
良かったら続けてどうぞ。




