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やって来ました辺境伯領の件

今日は2話続けて行っちゃいます!

よろしくお願いします!

あれからのアントワート家の怒りは凄まじかった。


俺の帰りを領地で待ちわびていたお祖母様と乳母のミリアが俺の額を見るなり卒倒し、お母様とお祖父様は能面の様な顔で静かに怒りを発し、俺が止めなければ直ぐ様、領地内に戦闘体制を轢く勢いだったのだ。

正直、契約破棄、婚約破棄、領地内王家立ち入り禁止とばかりの扱いでお父様は宰相を辞めるとまで言った。


怖い、マジ怖い!!アントワート家。たかだか内出血だよ?


自分がした事がこんな事態を招いたと焦った俺は必死にお父様に謝りどうにか宰相を辞めるのを留まる事を懇願した。

その際、暫く王子と離れ自分がされた事をよく考えろとばかりに3ヶ月、レオリオと会う事をお父様に禁止された。

その間に契約破棄をするか様子を見ることでやっとアントワート家の怒りは鎮火へと向かったのだ。

この事でお祖母様が俺の側を離れなくなってしまった。

「お祖母様?大丈夫です。たんこぶなんて、直ぐに治りますし私も気になどしておりませんわ?だからどうかご案じ召されませんように」

と笑って謝っても俺を抱き締めて離れないのだ。


よほどショックだったようだな・・・?


俺は王子と結婚したいとわがまま大作戦を決行したかったのだがお祖母様のそんな様子に言い出すことが出来なかった。

これにはさすがの王家も王子が仕出かした事と言う負い目があるのかアントワート家の返事待ちとなった。


その3ヶ月の間、俺はさっさと辺境伯領に送り出された。

それもバルトとユリアと一緒にだ。

2ヶ月後に行われるバルトの兄上の結婚式に出席する為だ。

まあ、二人がいたから俺的にはレオリオに会えない寂しさはまぎらわせる事が出来たのだが・・・・

明らかにお父様の企みが背後に見え隠れするが・・・・


辺境伯領はシュナイダー領よりまだ北西に馬車で一週間は移動する雪と氷が領内60%を締める極寒と帝国が隣接する広大な土地でもある。

そのためにシュナイダー家とほぼ互角の軍事力を保持するのが辺境伯、サングリッド・ヘルダー伯だ。 



寒い・・・・・・

アントワート領では味わえない寒さを今俺は全身に受け止めている。まるで北海道、網走級。

寒い・・・・・・

お母様から借りた白狐(ホワイトフォックス)の毛皮を着て、ロシア人顔負けの完全防備なのに寒い・・・・


「ユリア、寒い!!」

辺境伯領に向かう馬車の中で俺は隣に座るユリアに思いきり抱きつく。

「えーっ?シルフィーヌ、まだ、ましだよ?外出たら睫毛(まつげ)凍っちゃうんだからフフッ!」

ユリアがそんな俺をぎゅっと抱き締め返して笑いながら言う。

窓の外は雪が舞うブリザードだ。

「うわ、無理!絶対無理!」

「何よ?案外お嬢様なんだからシルフィーヌ」

「お嬢様だもん」

「来い、シルフィーヌ」

迎いに座ってるバルトが手を広げる。

「止めて、お兄様。そうやってシルフィーヌ手なづけるの。シルフィーヌも。簡単に男の人と触れあわないの」

「シルフィーヌは俺の許嫁だぞ。ユリア」

「まだでしょ?そこ、ちゃんとして」


ユリアは王子の一件以来、俺に男性が触れることを禁止している。相手がルカやカレブでもだ。

ひどいな、俺、別に誰でもベタベタって訳じゃないのに・・・・

今回の喧嘩も俺は何とも思ってないと言ったのにユリアは大激怒で

「女性にそれも許嫁のシルフィーヌに頭突きなんて!!しかも痣になる程なんてあり得ない!」

と凄い剣幕だったのだ。


うーん、どうも俺の認識がずれていたのか?

これはやっぱりゆゆしき事態だったのか?

やっぱり女の顔に傷をつけた事がダメだったのか?


「シルフィーヌをアントワート侯爵令嬢とわかっていて軽く扱った王子が悪いのよ。いい?シルフィーヌ?アントワート家にとって貴女は宝物なんだから。それを傷つけられたら、そりゃ怒るわよ?家名に傷つけられたも同然よ。私だったらお父様、直ぐに宣戦布告よ?ましてこれから結婚して先が長いのに結婚前に暴力振るわれたのよ?さぞや御家族は心配されたでしょうに。それにシルフィーヌも悪いのよ?そうやって王子甘やかすからよ」


ええっ!そうなんだ・・・・そんなふうに思う訳だ・・・


ユリア、凄いな!

何か自分の事なのにアントワート家の身分とか世間体とかいまいちずれてる俺はやっぱり前世、平民日本人。侯爵家家名がいかばかりのものか全くもって分かってませんでした。

王家一番って訳ではないんだな。

主従関係を結んでいるからこそ筋道通さなければ敵対もする訳だ。

恐いな。やっぱり自由で平和な日本産まれの俺には貴族無理。


だからそんな事もわからない俺にユリアは母性本能が芽生えたようだ。



「見て!見て!シルフィーヌ!ヘルダー城だわ!」

「うわぁ!デカイ!雪の女王の城みたいだわ!」

凄い、凄い!何て高い均整のとれた綺麗な城だ!

いきなりブリザードが止むと見えにくかった巨大な城が忽然と目の前に現れたのだ。


「何だ?それ?」


えっ?雪の・・?今、頭の中有名なあの曲鳴りまくりだけど?

歌おうか?


「バルト、知らない?こんなお城出てくる絵本?シュナイダー城は要塞だけどこちらは雪と氷のオブジェだわ。とても美しいわ。あ、人がたくさん!!」

「あ、兄様!!、バルトお兄様!ユリアス兄様よ!」

「えっ!どの人?どの人?真ん中?あ、髪黒い人?」

「そう!ユリアス兄様はお母様と同じ黒髪に琥珀をもっと濃くしたような瞳なのよ。で、顔付きはお父様、雰囲気はお母様なの」

それって・・・・メチャ、迫力あるヤンキ〇?

「うわぁ、威厳あるんだ・・是非、手合わせ願おっと!」

「何で手合わせなんだ?お前は?」

「フハハハハッ!楽しみ~!」

「シルフィーヌ、お嬢様はそんな笑い方しないの!」



「ようこそ、ヘルダー城へ。アントワート様。シュナイダー家長男、ユリアスです。どうぞお見知りおきを」

ウオーッ!!格好いい!格好いい!凄い色男だし凄く背が高くてたくましいし、凄い筋肉だ!

バルトの兄ちゃん半端なく強そうだ!!

俺の手を恭しく引いてユリアスは馬車から下ろしてくれた。


「初めましてユリアス様。この度はおめでとうございます。また、お招き頂きありがとうございます。シルフィーヌとお呼びください」


俺がにこやかに挨拶するとなぜか後ろの兵士がウオッ!!と叫んだ。


ん?


「これはお噂通り大変お美しい。ブリザードに吹かれて凍えていた部下達も待っていた甲斐が有りましたよ。なぁ?お前達!!」


オオッ!!と一斉に手が上げる。


うわ、20人くらいいる?

みんなデカくない?軍服格好よくない?

俺、ちょっと照れるよ?お世辞だろうけどね?

すげぇ、マジ見だ、皆・・そんなに女珍しい?

うわ、ガッツリ食い付かれてるよ?俺、そんなに珍しいの?


「まぁ、皆様、御苦労様です」

とりあえず全員に手を振って笑っとけ・・・・・・


「ユリアス兄様!!会いたかった!!」

「来たか!!ユリア!待ってたぞ!」

馬車からピョンとユリアがユリアスに飛び付いた。

ぎゅっと抱き締め会う二人はとても幸せそうだ。

うん。俺も少し前まではルカにあんなだったからな。


「兄上、お久しぶりです」

続いて出て来たバルトに

「おう!バルト!久しぶりだな。ああ、お前は会うたびにデカクなるな?よく来た。お前の嫁さん凄く綺麗だな。さすがお前が惚れただけある。可愛い妹二人で俺も嬉しいぞ!なぁ?ユリア」

「ああ、兄上のルナ姫もとても綺麗だよ。ルナ姫は?」

「ルナはやらんからな」

「それ絶対ないから。ルナ姫は兄上にべったりだろ」

「アハハ、ちょっと言って見たかっただけだ。ユリア、寒いから中、入ろうな?シルフィーヌ様、どうぞこちらに」


ん?何だこの会話?


「ちょ、ちょ、バルト?」

前を歩くバルトの上着を引っ張り耳許で囁く。

ちょっと、顔にやけてるわな、俺。

「ん・・?なっ!またお前そんな顔・・・・絶対、何か勘違いしてないか?」

「えっ、やだぁ!三角関係とか?兄と弟で一人の麗しき乙女を取り合うとか?あったの?ねぇ?あったの?」

「シルフィーヌ、先にルナ姫と辺境伯に挨拶だからな」

「先にそこ、答えてよ?気になるじゃない?ちょっと、バルト!」

「シルフィーヌ、抱き上げるぞ」


あ、止めろ、恥ずかしいだろ!


「ちぇっ・・・!後で教えてよ?バルト」





「バルト様、ようこそ。お久しぶりで御座います」


意外、中、ガンガン巨大な暖炉があるから暖かいぞ!!

ちょっと機嫌よくなる俺。

そして城の広く美しいエントランスで紫色のストレートな腰までの髪に金色の大きなたれ目の瞳がとてもかわいい姫がにこやかに出迎えてくれた。


うーん、とてもかわいいな。

うん、とてもちっちゃいな、うん。

150㎝位か?ユリアと変わんないよ?ん?何歳?ルナ姫だよね?


「ルナ姫、この度はおめでとうございます」

バルトがにこやかに挨拶をする。

「あ、ありがとうございます。ああ、ユリア様も」

うわ、真っ赤だ。凄い、バルトにはにかんでるの??

「おめでとうございます。ルナ姫」

ユリア、普通対応してるけど?ああ、ユリアにも真っ赤だ。

「あ、ありがとうございます。嬉しいですわ。あ、あの・・」


ああ、俺ね?


「この度は御結婚本当におめでとうございます。お招き頂きましたシルフィーヌ・アントワートです。どうぞよろしく、ヘルダー様」

「あ、はい。どうぞよろしくお願い致します。アントワート様」


凄く真っ赤だよ?大丈夫かな?熱でもあるのか?


「あ、ごめんなさい、あの・・・・そ」

「すまない。シルフィーヌ様。ルナは恥ずかしがりでね。特に初めての人とは凄く緊張してしまうんだ」

ユリアスがそっとルナ姫の後ろに立つ。


うわ、体格差有りすぎなんだけど・・・・ユリアスの肩に乗りそうな可愛いい妖精さんだよ?・・犯罪じゃね?サイズ見事にお子様体型だし、ルナ姫・・・・・・絶対犯罪だよ。


「ユリアス様」


それでも背後に立つユリアスに安心したように見上げてほうっと息を吐き微笑むルナ姫。

ユリアスもそんなルナを見つめて二人の世界だ・・・・


「ルナ姫とはグランドマッスルで初めて俺が知り合ったんだ。初めはそんなに緊張してるなんて思わなかったんだ。兄上と同じ18歳なんだけどな。兄上と話がしたいって勇気を出して俺に頼みに来た様子を見た兄上は未だにその事が引っ掛かってるみたいでな」

「成る程ね。あれはちょっと俺に気があるかなって思っちゃうわよね?あんなに可愛いく迫られると断れないわよね?」

「・・・・お前、また変な解釈してないか?」

「えっ?いいよ?あんなに可愛いい人、女の私でも照れちゃうわ?だって正直、好みよね?バルト」


そう、さっきからルナ姫の容姿に凄く親近感があると思ったら、『セブンズ・ゲート』のサリヤだ。

こんなところで逢うとは。


本当はバルトが好きになるはずだったのでは・・・・?


いや、まだ、可能性は充分だ。


「シルフィーヌ、冗談は止めろ。俺はお前だけだ」

「別に。遠慮は要らないわ。正直に言っていいのよ?バルト。構わないし、全然気にしないから」

「シルフィーヌ・・・・お前・・・・焼きもちか?」


あれ、何か嬉しそう?


俺、別に怒ってないけど・・・・

まあ?ちょっと面白くないけどな。ちょっと口尖ってる?


「ねぇ?シルフィーヌとバルトお兄様まで二人の世界に入らないでくれる?」

ユリアが凄く面白くなさそうに俺に膨れた。




続けてどうぞ。

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