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流されてしまった件

今日も長い・・

すみません、よろしくお願いします!

次の日の朝、早くからバルトが俺の部屋を訪ねて来た。

今日の朝にはアントワート領に一緒に帰る予定だったが昨日のたんこぶ治療と言うかレオリオが俺を心配らしく今日も朝、王宮に顔を出してからの帰宅となったのでバルトが来るのは午後からだったのだが・・?


「おはよう、シルフィーヌ。朝早くからすまない。どうしても渡したい物があってな」

「おはよう、バルト。私は別に構わないけど?お昼から会えるのに?」

「ああ・・・・痛そうだな」

俺の包帯をとった額の髪をそっとかき揚げバルトは顔をしかめた。

「やだ、大げさなのよ。確かに痛いけど、日にち薬だから大丈夫よ。明日デートの時はちゃんと隠すから心配しないで?」

俺は昨日から心配ばかりしているバルトに笑いかけて額に触れたバルトの手を握る。

バルトはその握った俺の手を掴んだまま、俺の前に方膝をついて屈む。


ん??そのポーズは!


プロポーズ?!


「ダメよ、バルト!」

俺は屈んだバルトに抱き着いた。


「シルフィーヌ、けじめだ。俺に誓わせてくれ」

「まだしないで!お願い!」

「シルフィーヌ・・・・」

「私はまだ貴方になんの覚悟も示せないの。そんな女に誓わないで。もっとちゃんと貴方に向き合えた時に!お願いよバルト」

俺はバルトの頭を胸に抱え込んで必死に止めた。


ダメだよ、俺!今はレオリオに抱かれたいと思ってる。

でもバルトがレオリオに傷つけられたりしたらどうしたらいいか分からない自分もいるから。


「きゃっ!」

俺は胸に抱え込んでいたバルトに俺の腰と膝下に手を回して掬い上げられバルトの屈んだ太ももの上に座らされた。

ちょうど向き合う感じでバルトに抱き付いてしまった。

あわててバルトの肩に手を着き顔を放す。


「お前は今回ちゃんと俺を守ってくれただろう?それだけで十分だ。だから俺にも誓わせてくれ」

真剣なドアップで請われる。


うわっ!息が掛かる距離だよ・・・・恥ずかしい・・・・


「違う。違うわ?結果こうなっただけで私の判断が甘かったの。私が悪かったのよ?だから・・バルト、止めて・・・・」

「シルフィーヌ!」

名前を呼ばれるといきなり唇が塞がれた。


えっ?・・・・えっ!!


なに・・・・なに・・・・これ・・・・??


なんで?なんで?


キス!?今、キスされてる!?


ちょっ!待って!ちょっと!まっ!待って!


やぁ!舌、舌、止めて!激しい!止めて!いや!


手で肩を思いっきり押し、退けようとすると背中に手を回され抱き締められて抵抗できない。

口に舌をねじ込まれた俺はその舌を噛んで抵抗したが思いきり強くは噛む事が出来なかった。

バルトは噛みそこなった俺の歯を押し退けるようにさらに舌で俺の口内を蹂躙する。 


やぁ・・ダメ・・抵抗できない・・・・


俺の抵抗が弱まるとバルトが俺の腰と頭を抱え込んで俺の舌を吸うような深いキスをする。

俺はこのまま部屋の床に押し倒されそうな勢いだ。


するとそっと唇を離してくれた。


おそるおそる目を開けるとバルトが真剣に俺の顔を覗き込んでいる。


「シルフィーヌ、俺の命をお前に捧げる。どんな時も俺はお前を守ってみせる。死んでもお前を守ってみせる。だから俺の姫、どうか、俺を側に置いてくれ」



うわっ、どうしよう!どうしたらいい・・・・!



何か凄く興奮してる俺がいる・・・これって?どうなんだ・・・

複雑なのにドキドキでバルトがキラキラ・・・・だよ?

どうしたらいい?どうしよう、胸の高鳴りが止まらない・・


凄く恥ずかしい・・・・恥ずかしくて顔熱いよ・・熱い、どうしよう・・・・


「あ、あの!あの・・・・あ、ありがとう、バルト・・・・その気持ちは凄く嬉しい・・・・」


恥ずかしいのとキスを許した自分がわからなくなり両頬を抑えて下を向いた。

だって、バルトのキス、素敵だった・・・・レオリオも情熱的だけど違うんだ・・・・

キスって、人によって違うんだ・・・・


「シルフィーヌ、愛している・・・・お前だけだ」


そんな俺の額にバルトは優しくキスをして胸に抱き寄せる。


俺はうっとりして抵抗できない。

そして俺もバルトの胸に頭を寄せてしまう。

だってバルトの腕の中は凄く安心するのだ。


あっ!

ダメだ!ダメだよ、俺!

流された!バカ!シルフィーヌ!!こんなのレオリオに知られたらバルト、首飛んじゃうよ!!


「ダメよ・・・・バルト、お願い。もう、キスはしないで・・・・本当に。貴方に・・・・バルト、貴方に何かあったら私・・・どうしたらいいの・・・?だから・・・・お願い」

「わかった・・・・もうしない。次は婚姻が整った時に」

「バルト・・・・」

「左手をシルフィーヌ」

「えっ・・・・左手?」

バルトは俺をそっと立たすと自分も立ち上がり今度は俺の左手を掬い上げ小指に指輪をはめたのだ。

「サリヤ姫からの贈り物だよ。代々次期城主がサリヤ姫の代わりに自分の願い事を聞き届けた相手に与える物だからこれは受け取ってくれ」

俺の小指には部屋の窓から降り注ぐ朝の光に反射して紅く輝くピジョンブラッドの大きなルビーとピンクダイヤを散りばめた指の第2関節から第3関節を覆い隠すほどの大きな金の輪がはめられていた。


「凄く綺麗・・・」


手の角度を変えると本当にキラキラと輝きとても美しい。

それに俺の長い小指にあつらえたようにピッタリだ。


「ああ、やはりお前によく似合うな」

バルトが満足げに微笑んだ。

見上げたそのバルトの笑顔がとても綺麗で見とれた。


「シルフィーヌ、またキスしたくなる。その顔、気を付けろ」


「えっ!えっ!あっ、あっ、ごめんなさい!いやっ、あの、あ、ありがとう・・・・とても嬉しいわ・・」

急いで下を向いた。

凄く格好いい、バルト。ダメだ、俺、落ちたかも・・・・

俺、バカみたいに見惚れてたもんな~


「お前、可愛すぎなんだ。それに男が漬け込む隙有り過ぎなんだよ。油断するなよ。そんなだから王子に好き勝手やられるんだ」


「えっ?」


何?なに?急に?どうした?


「もうちょっと男を警戒してくれよ」


えっ?えっ?今、襲って無理矢理キスしたお前が言うかな?それ?


「バルト?貴方を臣下として信用してる私にいきなり、キ、いえ、急にその・・するバルトがズルいんじゃないの?」

「いつも王子もいきなりなんだろう?王子にもいきなりやられてるんだろう?」

凄くイライラした感じでバルトが言い返す。

えっ!?確かにそうだけど・・・・だからってお前もやっていい事ないし!

何で逆切れしてんだよ?お前が!!


「お前、本当、わかりやすい。顔真っ赤だし。もっとちゃんと嫌なら嫌と毅然としろ。お前はお前の物だろう?もっと自分を大事にしてくれ」


「もう!なに!?ちゃんと言ってるわ!・・ちゃんと言ってるわよ!もう!でも・・・・」

止めてくれないんだよ!レオリオが!

う、うるさいよ・・・・言って止める奴ならけんかしないよ?何だよ、バルトまで・・なんだよ・・


「シルフィーヌ、今回は俺のせいでもあるし何よりお前が俺を守る為だったから目をつぶるが今度はない。どんな理由であってもお前を傷つけられたら俺は許さない。それが王子であってもだ」


あ、そうか・・・・俺のケガの事で凄く腹が立ってるんだな?バルトは・・・・


「これのせい?」

俺は額を指さした。

「それだけじゃあないだろう?」

・・・・え?・・・・やだ・・・・

・・・・・・誰にも見られてなかったよね?ガーデンメイズの中の失態を・・・・やだ・・・・あんなの・・・・


・・・・何か背筋寒いよ?俺、顔、真っ青になってない?


「お前・・・・本当に?!」


バルトがまたそんな俺を抱き締め、腕の中に閉じ込める。


うわ!思い出すと身悶えするほど恥ずかしいから止めてくれ・・バレバレか?バレバレなのか?・・・・


「俺が凄く我慢してるのが分からないのか!?好きな女に手を出されて好き勝手やられてる俺の気持ちが!」

「だって、だって、バ」

「いい、分かってる!だが今回だけだ。お前が自分の意志で行う分はお前の自由だ。俺はまだ夫ではないから何も言う権利はない。けどな?今回みたいにお前が犠牲になるやり方は俺は納得してない。それだけは言っておく」

へ?

だから・・・・?だから?結局?・・・・えっと・・?

「あの・・ぅバルト?・・・ひょっとして焼きもちかな?・・・それは・・・・」

「そうだ、悪いか?」

「・・・・ある意味、正直でよろしいです。はい」


ぎゅっと抱き締めてバルトの頭を撫でた。

何か、かわいいな、バルト。それにちょっと嬉しいと思ってるシルフィーヌがいる。

ああ、だけど面倒くさい。この多情シルフィーヌは本当に面倒くさい。

だからちゃんとしなくてはな。


「バルト、貴方の忠告、肝に命じます。ありがとう。私も貴方がとっても大事だし側にいたいのは同じよ?」

「ん」

「サリヤ姫の指輪もとても嬉しいわ。大事にするから」

「ん」

「だから、いいかげん離して?」

「王宮、俺も着いて行くから」


「私がご一緒致しますからバルト様。お嬢様から離れてくれませんかね?」


いつの間にか俺の部屋の入口にアントワート領への帰り支度を手伝っていたはずのサルトが立っていた。

顔はにこやかに笑っているのだか気配は殺気を醸し出していた。




「お前達、いい加減シルフィーヌと二人で話したいのだが」


王宮の救護室で治療が終わってもレオリオの部屋まで入って来るレオリオの護衛のマークスと俺の護衛のサルト(今日は非番のカレブの代わりだ)にレオリオが言い放つ。


「いえ、レオリオ王子、陛下からどんな時も離れぬ様と仰せつかっております故」

「お嬢様、私も旦那様にお嬢様を守り抜く様にと」

二人ともレオリオ相手に毅然と言い返す。

命知らずだな、こいつら。


しっかし、お父様、陛下に怒りぶちまけたな・・・・




昨日帰るなり俺の部屋にいきなり現れたお父様は俺の頭の包帯を見るなり叫んだ。


「私のシルフィーヌが!!」


しまった!お父様がこう言う場合、一番厄介だった。


「お父様!!大丈夫!!大げさなのよ?これ!大した事ないから!本当に。王子なんかもっと凄いから。もっと私やっちゃったから?ね?ただのたんこぶだし」


と俺が安心させるために包帯を解くとお父様と一緒にその場にいたルカ、バルト、それとお父様に着いて来たお父様の補佐官のクルトと護衛のサルトまでうわっ!と顔を歪めた。


えっ!!そんなに凄いのか?・・・

俺、ちょっと不安になるから・・・・もしかしてシルフィーヌ、お嫁に行けない程なのか?


俺の額は紫色と黒色が混ざった凄い内出血状態だったのだ。

よく額割れなかったよな?・・・・


その後、ルカとお父様、クルトとサルトが口を揃えて

「許さん、絶対、許さんからな!!」

と目が座っていた。


家の者を宥めるのに本当に苦労したのだ・・・・


「シルフィーヌを送ってから昨日、父上と宰相には詫びに言ったのだがその場で帰宅された・・・」

ああ、やっぱり?

珍しくレオリオが凄く落ち込みため息を着いた。


そう、お互いこの事が原因で契約破棄になるとはこの時は二人とも思ってなかったのだ・・・・・






次話はお父様、アントワート家怒り爆発です。

呑気なのはシルフィーヌだけです。

うーん、シルフィーヌは成長してないな・・・

今日も読んで頂きありがとうございました。

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