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レクサスの恋の件

『王の印』についてレクサス名探偵推理回です。

すいません今日も長いです。よろしくお願いします!

「レクサス、私はレオリオ王子の事はもちろん愛してるのよ?だから人身御供になる訳じゃあないからそんなに心配しないでね?」

王宮に向かう馬車に二人きり、正面に座るレクサスに思い違いがないか確かめる。

結局、レクサスが自分が適任だとルカとバルトを宥めて着いて来てくれたのだ。


「ん?分かってるよ?だけどバルトも同じくらいには好きなんだよね?」

「うーん、それが正直に言えばよく分からないのよね?もちろんバルトの事は好きだし、愛しいのよ?でもそれってルカと同じだと思ってたのね?でも、共鳴したから違うんだって・・やっぱり王子と同じ意味の

好きなのかしら?・・・レクサス、ルカと共鳴した?」

「した」

レクサスが凄く真っ赤な顔で下を向いた。


うわっ!凄くかわいいんですけど!これはルカ襲ったな・・・・


レクサスの『王の印』は眉間の上にある。

大きさは王と同じでルカよりは小さく皮膚と同化しているのでかなり良く見なければ分かりにくい。

それにレクサス自身が前髪で隠しているのだ。


「じゃあ、分かってくれるよね?レクサスは」

俺も顔赤いよね。


「あのさ、共鳴するのって心の問題だとシルフィーヌは思ってる?」

「あら?てっきりレクサスもルカが好きだからだと思ったのに。ひょっとして印の模様だと思ってる?」

「ん、それもありうるけど印の中の記憶じゃあないかな?」


記憶?


「バルトの印は王子の印と全く同じなんだから模様から見てもシルフィーヌと共鳴する確率が高いのは想定できたよね?」

「ええ」

「じゃあ、王と王子、シルフィーヌとルカが共鳴しないのはなぜ?『番』じゃないからと言う考えは一先ず置いといてさ?」

「見た目での判断が先に来るかしら?共鳴するために必要な印の模様がないのかな?って言うか鍵と鍵穴みたいに合致する模様がないから開かないみたいな?」

「そうかな?シルフィーヌの印は歴代王の模様が少しずつ混ざってるってルカに聞いた。僕のも基本は同じところがシルフィーヌと似ているのにルカと共鳴している。おかしいよね?同じ模様が含まれてるのに片方は共鳴して片方は共鳴しない」

「何個かの模様が合わなければ合致しない、南京錠のようだとしたら?だって『番』だとしたらこの世に一人だけよね?細部まで合致しなければ開かないのでは?」


「シルフィーヌが王子とバルト2人と共鳴している時点でこの世にたった一人、その考えは排除だね」


「あ、そうね?そうかも・・・あれ?」


「それって王と王子は親子、ルカとシルフィーヌは兄妹で同じ血族だから反応しないって単純に考える方が正しくないかい?多分、共通の先祖を持ってることで既にルカの身体の中にもシルフィーヌの身体の中にも同じ『王の印』の記憶があるんじゃないかな?既に記憶を共有してるから反応しない、新しい情報がないから反応しないのじゃないかな?シルフィーヌの印が王子の印に共鳴したのはアントワート一族の記憶の中に無い新しい情報や経験を取りに行ったんじゃないかな?」


まさか・・・遺伝子情報のことか?


「更に言えば王家の『印』は頑固にその血をより濃く受け継いできた純血みたいなものだったからシルフィーヌの印の記憶が入ることはすごく困惑したんじゃないかな?」


「あ、すごく苦しかったわ・・初めの共鳴は・・」


「うん、多分、お互い警戒したんだろうね?変化することに。僕もルカとの共鳴は苦しかったから」


「共鳴という手段を使って私は王家の『印』の中の情報や経験を取り込んだの?」

「うん。そう。僕とルカが共鳴したのもお互いに無い記憶の情報を取り込みに行ったからって思わないかい?」


「記憶の再構築・・・?それって・・まさかデーターの上書き・・・?経験値アップか!!」


「えっ?何それ?」


そうか!『王の印』はキャラクターのレベル値だったんだ。

相手の遺伝子情報を取り込むことにより形を変えて行くのはレベルが上がってる証拠なんだ。

この印があると言う事は既にそのアイテムを手に入れている、王になる資質を有しているという事か。


変なところで基本ゲームなんだな・・・・??

うーん、ちょっと待てよ?じゃあ俺は生きながらにして進化してるわけか?

それって細胞クラスで変化(へんげ)してるわけ?!

王って、なんの王様なんだ?

いや、それより『王の印』持ってる奴って人間なのか・・・・??


「・・・・何だ・・それ?」


俺はあらためて自分がゲームの中の創作物だと思い知らされた。


こんなの何でも有りじゃないかよ!どうなってるんだ?ルールはどうなってる?


「シルフィーヌ?一人で完結しないでよ。教えて?」


「ああ、うん、レクサスの言う通りかもしれない。記憶であってるわ。確かに親子や兄妹はもとをただせば同じ先祖の血や肉を受け継いでるのだから共通の過去の経験を頭脳や肉体が記憶しているはずだわ。私は王子の記憶を共有してアイシスの印に変わったと説明がつく。更に自分の経験とかでも向上するのでは?王は子を持つという経験から印が二重になったもの」


「新しい経験や情報を取り込むことで印が変化する、同じ記憶を共有しない者同士が共鳴と言う手段を使って印を成長させると言う理解で構わないかい?シルフィーヌ?」


「ええ」

俺はレクサスの目を見つめて大きく頷いた。


「うわ、さすがシルフィーヌ。僕のこんな突拍子のない考えにちゃんと納得する事例を出して信憑性を持たせてくれた。何か嬉しいよ。正直、僕が言ってることは何の確証もない只の推理だからね?」


「いいえ、レクサス、貴方は本当に天才だわ。こんな事、普通考えつかないもの。ありがとう。これで一つちゃんと王子に説明出来る根拠が出来たわ」


そうだよ。俺はゲームの世界って知ってるからレベルUPやデータの上書きが分かるけどレクサスはまだ遺伝子の存在も分かってないはずだよね?凄い発想だよ。


「いや、何か簡単に理解してくれるシルフィーヌが凄いんだけど・・・・」

「あと一つ、やっぱり印の大きさは関係有りそうね?」

「うん、多分小さい方が読みに行くんだ。より大きくなるために。僕がルカの印に呼びかけをしたからルカの印が反応して受け入れたんだ」

「そうだわ。王子の時もバルトの時も私から先に共鳴し始めたわ。じゃあ、大きい方が強いのかしら?」

「それは何が強いかの定義で違ってくるかもね?」

「そうね?強靭な肉体か、明晰な頭脳か、命運の強さか?でもお互いの記憶を共有するのよね?」

「記憶の共有と言っても過去の祖先の記憶だから・・・シルフィーヌが得意な事がバルトも出来るような可能性が増えたのかもね?」

「うわっ!バルトと同じで筋肉ムキムキになったらお嫁にいけないわ」

「えっ、発想そこ?アハハッ!じゃあ僕はルカみたいに強くなるのかな?」

「わぁ、それいい!一度手合わせしよう。レクサス」

「アハハッ!シルフィーヌ、肉体変化は無いよ。もとからあった資質が基盤になるんじゃない?そんな事になったらシルフィーヌ、ムキムキどころか男になっちゃうよ?」

「ああ、そうか。そうだよね?アハハッ!本当だ!バルトが女の子になっちゃうわ?アハハッ、ダメ!レクサス!あんなムキムキの女の子!」

「ああ、やめてよシルフィーヌ、クッ・・・うわぁ、ダメだ想像した!ハハハ、ダメだ!」

二人で笑い合った。


「ああ、可笑しい!じゃあ、気持ちは関係ないのね・・・良かったかな・・」


そうだよ。良かったよ。そうでなければ俺、レオリオにどう言えばいいんだよ・・・


「うん、だから王子がどうしてもシルフィーヌを手に掛けたりしそうなら僕がシルフィーヌと共鳴出来る事、王子にこの身を持って証明するよ?ああ、なんなら王子と僕でも構わないよ?」


「ありがとうレクサス。嬉しいわ、そう言ってくれて。でもひとまずは私、頑張って今の事を王子に説明して解ってもらうわ」

「ん。僕も他に策はあるからね?上手く行くといいけど・・・」


良かった。レクサス着いて来てくれて。


でも心が関係なくても共鳴で相手の気持ちが分かるのは厄介だ。

今回の共鳴で実際バルトも俺も相手を思い合ってるのが凄く分かったのは事実だから。


そうだ!


「ねぇ?レクサス、お兄様に恋してるってどうしてわかったの?」

「えっ!えっ!急にそっちに振らないでよ、シルフィーヌ・・・やっぱり、反対?」

「違う違う!本当にルカとの事は嬉しいんだから。安心してよ。逆に何でも相談してほしいくらいよ?全力で応援するわ」

「そう?なら、僕も嬉しいよ・・・」

下を向いて手をモジモジさせたレクサスの頬は真っ赤だ。


「ん~、あのね?私の中での王子とバルトの好きの違いが分からなくて・・・その、レクサスの場合はどうなのかなって・・・ああ、ごめん。妹にこんな話振られてもね?」

「まだ、妹じゃないけど・・」

「レクサスしかいないから。ルカ、幸せに出来るのレクサスしかいないから!」

俺は馬車の向かいに座るレクサスに思わず抱き着いて訴えた。


うわ~!お願いだ!ルカ託せるのはレクサスだけだから!あんなヤンデレ普通の貴族女子絶対無理だから!


「シ、シルフィーヌ、わかった!わかったから!ね?だから離れてくれる?」

「いやよ。家族の抱擁だもーん」

可愛いから堪能してやるんだ。


うわぁ、いい匂いするし、髪の毛やわらかだし、うん、抱き心地女の子だ。

本当にかわいいわ!頭なでなで攻撃だ。ふふん、役得!役得!


「いや、王子とバルトに殺されたくないんだけど?僕も男だからね?」


・・・そうだった・・・チェ!

仕方ないな。


それでも俺はレクサスの頭をなでなでしまくってから名残惜しいが元の席に戻る。


いいなぁ、ルカ。レクサス凄く可愛いわ・・・男にしとくのもったいないわ。


「僕は犬?・・まあ、抱き心地が凄く良かったんだけど・・・・あぶないな・・・」


「ん?なあに?レクサス?」

「いや、別に!!あ、あのね?じゃあ、ルカには内緒にしてくれる?その・・やっぱり恥ずかしいしね?」

「ん?」



「シュナイダー城で踊るシルフィーヌとルカを初めて見た時から気になってた・・・それから一週間ルカと一緒にいて色々話す内に何だろう・・?ずっとこうして話していたい、一緒にいたい、離れたくないなぁって思ったんだ。だからシルフィーヌ達が帰る前の晩にルカが手紙書くから返事くれないかって言われた時は嬉しくて・・でも、それは友達としてだよな・・って思ったら嬉しいはずなのになんか胸が苦しくって・・・それで・・・その・・・思い切ってその時に聞いてみたんだ。好きな人いますか?って・・・そしたら逆にレクサスは?って言われて・・ああ、そうか、かわいい許嫁がいたね?って笑って返されたから、違うからって、好きなのはルカだからってつい本気で返してて・・・その・・恥ずかしい話なんだけどその時、ああ、僕、ルカが好きなんだって気付いたんだ」

「・・・・・そう、そうだったんだ・・・私、鈍感ね・・・」


ユリア、ごめん、気付いてあげれなかった。


「う~、いや、その、僕自身も自分で言ってから納得してたのは本当なんだ・・だから・・勢いで自白しちゃいましたみたいな?・・・フフ、ちょっと笑えるよね?」

「フフッ、お兄様、喜んだでしょう?だって、私だってあんなに真剣に人と向き合ってるお兄様見るのは家族以外は久しぶりだったもの。そうね、お兄様もレクサスを初めて見た時から好きだったんだわ」

「どうしてそう思うの?シルフィーヌ」

「だって、ルカは人と議論しないのよ?相手に思うまま話させて聞き役に徹して自分の意見は決して言わないで肯定だけを繰り返し、その人の懐に入って操るの」

「シ、シルフィーヌ?」

「ん?だからね?初めからレクサスにはちゃんと語ってるわよね?だからよ。初めからルカはレクサスは特別扱いだったのよ」

「ハハハ、そうなんだ・・・ルカって他の人とはぶつからないほど、相手を尊重するんだよね?・・・」

「違うから。反対よ?人に自分を主張しないのは興味がないから。相手にどう思われても構わないからよね?でもレクサスには認めてもらいたかったから一生懸命話すのよね?感情が動いた証拠よ。フフッ、ルカらしいわ」

目の前のレクサスの琥珀色の瞳が俺を見て大きく見開きそして口元がほころんだ。

「・・・・そうなんだ・・・初めから・・嬉しいよ」

俺が頷くとレクサスの頬が上気してうっすらと染まる。

「うん。そうなんだよ。レクサス」

俺も嬉しいよ?レクサス・・・・


「ああ、もう、着きそうだね。シルフィーヌ、先にハルマー先生の所に一緒に寄って?」

「はい。そのつもりだから」


なんか・・・レクサスの話はやっぱりレオリオの好きに似てるよね・・・・・?






迷探偵になってなかったかな・・・

次回はレオリオ、ブチ切れ回です。

読んで頂きありがとうございました。


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