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なるほどそう来たか!の件

続きも長くてすみません!よろしくお願いします!

「何かしてやられた感が・・・」

「早く、バルト!お腹空いたの!」

バルトの手を引いて屋敷に戻る。さっきから後ろでブツブツうるさいんだよ、バルトは。その話は終わりだ。

先に自分の部屋に戻って着替えなきゃな。廊下を曲がった時、俺の三つ隣の部屋のルカの部屋のドアが開いたと思ったらレクサスが出て来た。

ん?今まで二人で話し合い?あっちも徹夜か・・・・・大変だ・・・・ん?


後ろから来たバルトが急に立ち止まった俺にぶつかる。

「どうし」

俺はバルトの口を急いで抑えもと来た角を戻り隠れる。そして口の前に人差し指を立てて「シィーッ!」とバルトに合図をする。バルトが頷いたので角から顔を出してルカの部屋の前に佇むレクサスとルカを盗み見る。バルトも俺に(なら)えで俺の頭の上からヒョコリと顔を出した。


ではでは、ライブ生中継シルフィーヌ得班員がお届けいたします!

現場は早朝5時のルカの部屋の前の廊下です。

あ、ルカの部屋からレクサスがこんな朝早くから出てきましたね?バルトさん、確か話し合いは昨夜11時ごろには終わった様子でしたが?あれからレクサスはまだルカと話しをしていたようですね?

え?ああ、バルトさんは先に(わたくし)ことシルフィーヌが心配だったので先に部屋を出たんですか?だからその後の二人の様子は知らないと?なるほど、なるほど。はいはい。では、今、部屋を出たと言う事は二人っきりでルカの部屋で過ごしたと言うことですね?レクサス朝帰りというヤツですか?

あ、続いてルカが出てきました。ルカ、レクサスの手を掴み、レクサスの耳元まで顔を寄せ何か囁いてますね?おお!レクサス、一瞬で顔が真っ赤になりましたよ。凄いですね?さっきのバルトさんと変わりませんね?え?うるさい?

お、ルカが真っ赤になって下を向いたレクサスの顎に手を掛けて上を向かせました。また、何か・・聞き取りにくいな?おおっ!ルカがレクサスに顔を寄せた!こ、これは!バルトさん!バルトさん!これは事件ですね?キスですよね!?これって完全にキスしてますよね!?って、


ええーっ!!いつの間に!?

いつの間にそうなったの?

ねぇ?いつの間に?


「マジか・・・・・っ?」

「なぁ、シルフィーヌ、そのマジって何だ?」

「知ってたの?ねぇ、バルトは知ってたの?あの二人の事?」

「まあ、なんとなく?薄々・・・?」

「言ってよ~!!もう、バルト!心の準備があるでしょうが!」

「ユリアでも気づいてたぞ?」

「えっ!マジ?また私だけ?私だけなの?・・・・私やっぱりバカなの?」

「まあ、まあ」


いろいろ有りすぎて頭ゴチャゴチャだよ~!!


まあ?ルカとレクサスのこのハプニングはとっても嬉しい事だけどな!!

レクサスならルカにピッタリだ。ルカの相手なんてレクサスしか出来ないし!そうか、そう来るか!うん、大歓迎だよ!レクサス!!まあ、跡取りのことは何だけどな・・・まあ、それは一先ず置いとこうか。


「いつまでこうしてるんだ?シルフィーヌ?」

「そうだね?もう出て行ってもいいかな?」

「キスも終わったみたいだしな?」

「お邪魔しちゃおうか?面白そうだし」

「お前、それは・・・まあ、面白そうだな?」

バルトと俺はニンマリ頷き合った。



「どこから見てた?」

ルカは顔を抑えてため息をつき、レクサスは赤い顔を伏せて焦っている。


「レクサスが部屋出て来たところから」


俺とバルトはニマニマしながら答えた。


ルカがはぁ~っとより大きなため息をつき

「全部か」と言うとレクサスはオロオロし出した。


俺はそんなレクサスの手を取り両手で握る。

「まぁまぁ、ね?私はとっても嬉しいよ?大歓迎だよレクサス。気難しい兄だけど末長くお願いします」

頭を深く下げてレクサスを見直すとキョトンとした三人の顔があった。

「えっ、いや、こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!」

条件反射でレクサスが頭を深く下げた。


可愛いぞ!美少年!


「お前、意外だな?」


ルカとバルトが同時に声を発し驚いている。


「ん?」何だ?


「もっとごねると思った・・・・・」


ルカが不思議な生き物を見たような顔で俺を見る。

「ん?何で?」

バルトも頷きながら言った。

「そうだぞ?もっとレクサスに向かってだな、『お兄様を取らないで!』とか『絶対、お兄様は渡さないわ』とかないのか?」

「何、それ?」

「ユリアが兄上の結婚話が出た時、凄く荒れたからな。てっきりお前もそうなるかもって・・・」

「・・・・・・ハハ、まさか?ルカが幸せになるんだよ?嬉しいに決まってるよ」


ハハハ、ヤンデレ、レオリオだけでも大変なんだからな?

ルカ引き取ってもらえるなんてありがとう以外何が出るんだよ?感謝、感激でござりまするよ!


「お前、まさか・・・私を厄介ばらいか・・・?」


えっ?何でルカが青い顔でそんなにショック受けてるんだよ?


「い、嫌だわ、お兄様?何でそんな発想?妹の素直な祝福の気持ちですよ?それにレクサスが家族になってくれるなんてね?思ってなかったから。なんか嬉しいな~」

俺は握ったレクサスの手をゆらゆら振って笑った。

「シルフィーヌ、目が泳いでないか?」

ギクッ!!う、うるさいな!何でいらない追い込みを入れるんだよ!バルトは!

「そ、そうだ!ご飯食べよう、お腹空いたの、ね?レクサスもお腹空いたわよね?食堂行こうね?」

俺はルカに背を向けレクサスの手を引いて歩き出した。


「待て」

ルカが俺に声を掛ける。


お兄様?やだぁ・・・何か声低くない?


「シルフィーヌ、お前、何でバルトと一緒にこんな朝早くここにいるんだ?昨日泣かされたはずだろ?」

「えっ?えっ?やだな、お兄様・・それは」


後ろに魔王がいるよ。

凄いオドロオドロシイ気が迫って来るよ?


「ああ、ルカ、レクサス!それなんだがな。俺とシルフィーヌの『王の印』が共鳴したんだ」


さらりとバルトが言った。


「バッ!!」

バカバルト!!なんで今、このタイミングで言うんだ!!


「あ?何だって?」


ルカの声が(いち)オクターブ下がった。


怖い・・・怖いよ・・・ガクブルだ!!殺気が背中に突き刺さってるんだけど・・・?

ゆっくり振り返りおずおずとルカを見上げた。


うわっ!久しぶりに見た!怒りMAXルカ。黒い!バックがどす黒すぎるよお兄様!!


「あ、あのね?お兄様?ちゃんと、ね?話したいな?ちゃんと聞いて欲しいのね?部屋入っていいかな?レクサスもバルトもね?一緒にね?落ち着いて聞いて欲しいの?ね?お願い?」

「シルフィーヌ?」

レクサスが心配そうな声で名前を呼ぶ。わーんっ!!レクサス!手つないでいて!お願い!


「ぜひ、どうして、そう、なったか聞かせてくれないか?シルフィーヌ?」


ビクッ!

こ、怖いよ!

ルカ、レクサスに嫌われるよ?


「は、はい、ぜひ」

ルカがドアを開け俺を顎で促す。俺はもう片方の手でバルトをムンずと掴むと二人を道連れにした。



ルカでこれだからレオリオにはどう説明したらいいんだ・・・・・・



「俺が勝手にシルフィーヌの手を取って触らせたんだよ、ルカ。シルフィーヌは悪くない。悪いのは俺なんだ」

「いい、バルト。お前の気持ちは分かってる。シルフィーヌ、バルトが言ったことが本当だとしてもお前はちゃんと断れたはずだ。それをしなかったのはお前が共鳴した後々の事を想定出来た上での判断だよな?」

「ええ、もちろんです。お兄様」

「レオリオ王子に話せるんだな?」

「はい。ちゃんと話します。お兄様」

「・・・・・・・いや、私が話す、シルフィーヌ」

ルカが向かいの長椅子にレクサスと掛け俺を見据えて言い放つ。

俺も真っ直ぐルカの目を見据えて言い返す。

「いいえ、お兄様。私が、今日、間違いなく、王子に話します。私が話して王子を(いさ)めなければバルトが危険な目に遭います」

「シルフィーヌ、分かっていて何故だ?何故、確認した?あえて王子が避けたことだろう?」

「二人の『王の印』が同じなら、いい加減な気持ちでバルトにも王子にも向き合えないとわかったからです。今、確認出来る事実は認めてちゃんと自分で決めたいのです。自分の未来を。だから、この事についてバルトに危険が及ぶなら私の命に代えてでも私が阻止します」

「・・・・・・やはり私が・・・」

ルカが眉間を抑え、ため息をつき、俺の言葉に答える。

「私でなければ王子の怒りに火を注ぐようなもの。私でなければ無理なのです。お兄様」

俺の横で腰かけて聞いていたバルトも雲行きが怪しい事だと理解したのかルカの言葉を横取りする。

「シルフィーヌ、俺が王子と話しを着ける。大丈夫だ。お前が心配するような事は決して無いよ」

「バルトはレオリオ王子がどんな人かわかってないわ。凄く私を愛しているのよ?どれだけ嫉妬深いか、どれだけ私に対する独占欲が強いか、どれだけわたしに固執しているか。異常よ?本当にね」

「・・・シルフィーヌ?」

バルトが眉を寄せる。

「バルト、シルフィーヌの言うことは本当なんだ。王子がシルフィーヌに向ける愛情はこの上ない。王子にとってシルフィーヌが人生の全てなんだ。シルフィーヌ以外の人なんて王子には眼中にないんだ」

ルカが真剣な顔でバルトに言って信憑性を持たせた。

バルトの顔が曇る。それでも俺を見て言い切る。

「なら尚更、俺が着いて行かなければいけない」

バルトは俺が膝で握り締めている手をギュっと握り頷いた。

「いいえ、私と王子、二人きりで話さなければ意味がないの」

「危険だ。お前が酷い目に遭う事は許せない」

「大丈夫よバルト。そこは安心して?王子は私に暴力は振るわない。絶対ない。神様に誓ってもいいわよ?それに策はあるのよ。心配しないで?」


嘘だよ。んなの、ある訳ないじゃん。色仕掛けと真実とそして真心しかないよ!!

はぁ~、こうやって大人の階段登るんだね~はぁ~っ・・・


「シルフィーヌ、私が着く」

ルカが命令口調だ。

「今日は戻れないわ、お兄様。わかって?」

俺はもう、覚悟を決めたのだ。

「契約違反だ、シルフィーヌ。王子が王に罰せられる」

「構わないわ。でも、そうならないように諫めて見せますわ。お兄様」

「・・・・・・・・わかった。嫌なら振り切って帰って来い。私がどうにでもする」

「お兄様・・・滅多な事は言わないで下さい。お願い。私は決めたのです」


バルトが俺の手を痛いくらいに握り締める。俺はその手にもう一方の手を重ね、バルトをあやした。


「僕が着いて行くよ、シルフィーヌ。任せてよ」


終始無言で考え込んでいたレクサスが皆を見てニッコリ笑いそう言った。











長いのに読んで頂き本当にありがとうございました!

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