確認の件
今日もよろしくお願いします!
う、うるさいな!俺だって、ビシッ!と言うときには言うんだからな!だけど、だけどだな?
今、おかしいだろ?今、こんな赤い顔でこんな上ずった声でこんなシチュエーションで、その、なんだ、その・・・
「・・・・えっと・・その・・・・」
うわっ、また下向いてしまった。何だよ?これじゃ・・・
「キャア!!」
またバルトが急に俺を抱き上げる。
また、俺は自分で自分の口を塞ぐ。
夜中だって言ってるだろうが!!
「わかった。わかったから。もう、いい。俺がバカでもういいから。お前の気持ちはわかったから。もう部屋に帰ろうな?シルフィーヌ」
凄く嬉しそうに笑うバルトの顔が目の前にある。
その笑顔は背中に本当の満月と花を背負って凄く怪しい色気を醸し出している。
うわ、見惚れちゃう・・・鼻血ブーッ!だよ、俺。
「その顔、凄くかわいい、シルフィーヌ・・・」
「えっ?・・・・いや、バルトこそ凄く格好いいんだけど?」
「お前、変なところで冷静だから困るんだよな・・」
「?」
「止めろ、本当に・・キスされたいのか?」
「えっ、えっ?わぁ、ごめん」
俺は急いで両手で顔を隠した。
「お前・・・どれだけそのしぐさが可愛くて男を誘うか全然自覚ないだろ?このまま俺のベットに連れて行くぞ?」
「バルト・・・・今凄いこと言ってるよ?冗談でも止めようね?王子に殺されるから」
「本気なんだよ。いい加減、分かれよ。まったく・・・・なぁ、シルフィーヌ?じゃあ、俺の印に触れてみてくれ。共鳴しなければ俺はサッサとお前を諦めるよ。どうだ?」
顔から手を離してバルトを見つめる。
「・・・・それは・・・・」
それは不味いよ、バルト。共鳴する確率の方が高いよね?
だってロトとバルティスは男同士でも共鳴するんだぞ?
「共鳴するのが怖いか?」
「・・・・ん~、正直、それも怖いし・・共鳴しなかったらしないでバルト居なくなるのはやだし・・」
「お前・・・本当にどうしてくれようか・・・・」
えっ、何か不味いこと言った?
うわっ!何か凄くマジ顔だ、バルト。
バルトが抱えていた俺を降ろすと自分の髪のリボンを外し、俺の右手を持ち上げる。
「シルフィーヌ、俺の印に触れてくれ。そして確かめてくれ。どっちなのか。お前が確認してくれ、俺の心を」
「バルト・・・・あのね?共鳴はお互いの気持ちが雪崩こむから辛いかもしれないわ・・・・?」
「構わない。俺は確かめない方が辛い」
ああ、そうだね?そうだよ、俺もバルトにずっといい続けなければならないのは辛い。
そうだよ、バルトが言う通りだ。共鳴しなければバルトはサッサと他の女性を探す事が出来るじゃないか?
そうだよ。
そうだよね・・・・?
何か凄く今、俺、胸のあたりモヤモヤするんだけど・・・・バルトに他に女性か・・・・バルトに彼女か・・何だろ・・なんか複雑だな・・バルトが抱き上げるのは俺なのに・・・・何か嫌かも・・
「シルフィーヌ?」
「えっ?あ、はい。わかった。はい、覚悟決めます。まずそこからね、うん、確かめてからまた話をしましょうか」
「ああ」
バルトは俺の指先にキスをして自分の頭の印のある場所に俺の手を持っていく。
俺はそれでも一瞬ためらい、指先が振るえる。
ああ、これ、どっちでもダメなパターンだ。
また俺、地雷踏んだな・・・・・・もう、神様の言う通りしかないわな・・
「バルト、行くわね」
「ああ、愛してる。シルフィーヌ」
バルトが俺を真っ直ぐ見下ろし頷く。俺もバルトを見上げ頷く。
指先をそっとバルトの髪に潜らせる。
レオリオと同じ位置だからここだよな・・
ああ、熱い・・・・凄いな・・えっ、もう?もう波打ってきてる?
わぁ、もう、共鳴、始まった!?
俺は急いで手を離す。
「バルト、始まったみたい・・ああ、うっ!!」
俺は胸を抑える。
「シルフィ!?うっ!!」
うわっ!!ダメだ!キツい!!押し寄せる!!
爪先から頭の先まで凄い電流が突き抜ける。髪の毛の先まで逆立ちそうな勢いだ!
左胸が掻き回されている。
あ、あ、うん・・ん!いやぁ!!
立っていられない。
余りにも重圧が有りすぎて受け止めきれない。これは・・・・
「ん!バルト!・・・・ん!やぁ・・!」
「うっ、シルフィーヌ、んっ!」
頭を片手で押さえ顔を歪ませたバルトが目の前にいる。
「うっ、バル・・ト!だいじょう!んっ!ああ・・!」
俺の体がバルトに倒れこむ。
それと同時にバルトも尻餅をついた。
しかしバルトは俺をしっかり受け止めた。
「シルフィーヌ、大丈夫・・・なのか!?シルフィーヌ!」
「うっ・・・ああ!ダメ、まだ、つッ!!」
凄い・・・・ダメだ・・・・喉から悲鳴が競り上がってくる。
俺は自分の口を必死で押さえる。
バルトのつらそうな感情が流れてくる・・・苦しい、辛い、辛い、ああ、大丈夫なのか?シルフィーヌは苦しくはないかと心配している・・・
体一杯に入ってきた圧力が大きく脹れたかと思うと今度は俺に凄い速度で吸収されて行く。
バルトのいろいろな感情が雪崩れ込む・・・・
辛いのだろう、痛みもあるし、凄く自分で一杯一杯なのに・・・なのに、俺を心配して・・・シルフィーヌ、シルフィーヌと叫んでいる。
また自分がシルフィーヌに痛い思いをさせているのかと凄く後悔している。
そんなバルトの気持ちにふれて今度は気持ちよい爽快感が競り上がってきて体を満たしていく。
これは・・・上手く言えないが・・・・喜びかもしれない・・・そうだ・・凄く気持ちがいい・・とても心地がいい・・・
ああ、シルフィーヌがバルトの事を凄く好きなのだとわかる・・・
バルトもだ・・凄くシルフィーヌが大事で好意的に思っているのがわかる・・
これは・・・どうしよう・・・・
まるわかりだ・・・シルフィーヌの気持ちがまるわかりだ・・・どうすればいいんだ?・・・・
こんなのめちゃくちゃ恥ずかしい!!恥ずかしすぎる・・・・!!
「痛いのか?苦しいのか?シルフィーヌ、シルフィーヌ!」
バルトの苦しげな声が聞こえる。
バルトが俺の額に自分の額をすり付け、祈るように俺を抱き絞めていた。
「シルフィーヌ、聞こえるか?シルフィーヌ?」
バルトが俺の涙を拭い頬を撫でていた。
「つぅ・・バルト・・・・?」
俺は驚いて目を開けた。
気が飛んだのか・・・・?
「ああ、シルフィーヌ、良かった!」
俺を見つめるバルトの表情が一気に安堵した。
「ああ・・わたし?・・あ!バルト、貴方こそ大丈夫なの?」
バルトは初めてだから俺よりダメージが強いはずだ。
急いでバルトの顔を撫で返し、一生懸命にさすった。
「ああ、大丈夫だ。大丈夫だから。初めは凄く驚いたが。それよりシルフィーヌの悲鳴が聞こえた・・痛かったのか?」
「いいえ、いいえ、痛くはないの。心配かけてごめんなさい。凄く混乱してしまって、取り乱してしまったの。恥ずかしい・・・でも、もう大丈夫みたい・・・・だから・・・」
急に恥ずかしさが込み上げる・・・・
俺、興奮してたよね・・・・?なんか、変な声出てたし!うわぁ、最悪だ!!
恥ずかしくて体を起こそうとする俺をバルトは放そうとしない。
「無理するな。俺がこのまま部屋まで連れていくから。もう少しこのままでいてくれ」
「・・いや、あの・・・私の心の中わかったでしょう?・・・バルト・・・恥ずかしいわ・・・」
「・・・・いや、自分だけで精一杯で正直、わからなかった・・・お前から暖かい光みたいな物が始めに流れてきたかと思った途端に雷を落とされたみたいだったから・・・・だからお前が心配で・・大丈夫なのか?本当に・・・」
・・・・・・
・・・・・・・・うわぁ、
良かったよ!セーフだよ!俺が感じてたなんてバレたら恥ずかしくて死ぬわって思ったから!
・・良かった・・マジ良かった!
・・・でも、共鳴したんだから俺はやっぱりバルトが好きなんだ・・・・
それはバルトには伝えなければフェアじゃないな・・・・・・
「大丈夫。大丈夫よ、バルト。心配してくれてありがとう。貴方が私を思ってくれてるのが凄く良くわかったわ。本当に・・・・私も貴方と同じくらい貴方が愛しいわ。貴方を大切に思ってる。でも・・・・でもね?」
俺はバルトの顔を両手で挟み見つめながら訴えた。
共鳴したから余計に覚悟しなければならないことがある。
これからのバルトとレオリオの関係だ。
その事を伝える俺の唇にバルトはそっと人差し指を当て黙らせた。
「いい、今、答えを出すな、シルフィーヌ。今は共鳴する事実と俺がお前を愛しいと思う気持ちを分かってくれればそれでいいんだ。それにやっと、やっと言ったな?俺を愛しいって」
バルトが俺を見つめて笑いかける。なんて嬉しそうなんだろう。
その笑顔は反則だ・・・・見惚れてしまう、惚れてしまうだろ・・・・
「疲れたよな?部屋まで送るから」
そっと唇から人差し指を放すと俺の頬を愛惜し気に撫でる。
「あ、はい。あ、でもバルト、本当に歩けるから、下ろして?ね?」
「いや、抱いていたいんだ」
俺を見つめるバルトの瞳が輝いて綺麗だ・・吸い込まれそうだ・・・
止めろ、ダメだよ・・近すぎるよ・・・・
俺、ヤバイよ・・・・?落ちそうだよ・・・・?
するとバルトが顔を寄せて来た。
急いで俺は両手で顔を覆う。
ダメだ!ダメだよ!
「ごめん!バルト、ごめんなさい・・・・」
「・・・・いや、すまない・・・俺が悪い・・・・」
ダメだ。こんな気持ちで流される訳にはいかない。
俺の旦那はレオリオなのだから・・・・
シルフィーヌのバカ野郎!しっかりしろ、俺!
バルトが俺を抱いたままゆっくり立ち上がった。
「ごめんなさい。バルト、昨日からずっと運んでもらって・・・重いでしょう?」
「・・・・お前は本当に軽いから・・・もっと太ってもいいぞ?ああ、そうだ、アントワート領ではどんな食べ物が流行ってるんだ?アントワートの街、案内してくれるんだろう?次は何を食べに行こうか?」
「えっ?うん、もちろんよ。アントワート領内なら任せてよ。明後日?ああ、もう明日一緒に帰れるわね?楽しみ。フフッ何が食べたいの?バルト?」
俺もわざと明るい声で話を反らせてもうそれ以上意識しないように務めた。
多分バルトもそうなのだろう。
ああ、やっぱりと言うか、当たり前と言うか、共鳴したな・・・
なんで俺は自ら地雷を踏みに行くんだろうな?
さあ、この危機をどう乗り切ればいいのか?俺はバルトの胸で明るい声とは裏腹に考えあぐねていた。
何でバルトとも共鳴するのかは後でレクサス名探偵が解明します!
読んで頂きありがとうございました!




