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ヒロインって誰?2の件

今日もよろしくお願いいたします!

「ねぇ?亮、あの人バルトよねぇ?」

俺と紗理奈でロールプレイングゲーム『セブンズ・ゲート』のおさらいをし始めたところだ。

「ん?そうだよ、バルトとレクサス。何で?」

「バルティス・シュナイダー?」

「いいや、バルト・シュナイダー」

「そうよね?でもね?その『セブンズ・ゲート』ラスボス王の所見て?」


「えっ?!」

俺は固まった。


「紗理奈!マジ?」

「うん。マジ。亮、覚えてなかったのね?やっぱり」

「こんな大事な事、何で俺!くそっ!!バカだ!俺!」

「無理ないわよ?私だって二つのゲームの世界が重なってるなんて今世が初めてだし、想いもよらなかったわ?」


『セブンズ・ゲート』は少年ロトが聖女サリヤを吸血鬼王バルティスから救出するために色々な試練を積んで青年に成長し、バルティスを倒し、サリヤと結ばれる王道なロールプレイングゲームだ。

ただ、このゲーム、主人公格がこの3人でプレイヤーが選択できるのだ。

さらにこのゲームが流行った理由はサリヤそっちのけで繰り広げられるロトとバルティスの熱い戦いと熱い男の友情。

最終ロトが勝ってバルティスは眠りにつくのだがこの悪役吸血鬼は全然、悪役じゃなくて世界を守る為に爆走する聖女の力を正しい道に修正するために隔離していただけと言うとってもいい奴だったのだ。

だからロトが立派に成長するとサリヤを託して自分は眠りに着くのだ。

こんな内容だから腐女子には受ける要素がいっぱいでサリヤ要らない、ロトとバルティスの物語でいいんじゃない?ってくらいヒロインはロト指示で盛り上がったやつだった。


俺、失念してたわ・・・・


で、ロトは金髪に青い瞳、バルティスは赤い髪に漆黒の瞳。この二人のみに『王の印』があり男同士で共鳴するんだ。


「なんで俺、バルトの印を見た時に思い出さなかったんだ・・・くそっ!!どうしよう紗理奈!」

俺は頭を掻きむしった。


この『セブンズ・ゲート』の主人公は俺とバルトだ。

バルトの印はまったくレオリオと大きさ・形・ある場所も全く同じだったのだ。


「安心して亮。この世界に化け物は存在しない。吸血鬼も実在しないわ」

「でも、でも、紗理奈、俺は見たんだ!サリヤ姫の幽霊を!」

「落ち着いて亮。バルトは人間よ?幽霊はその人が生きてる時と空間が重なっただけ。私はこの世界に過去7回も転生したけど魔法もなければドラゴンもいないし魔王も出て来なければ死んだ人間が復活もしない。もちろん吸血鬼なんていないわ。断言できるわ」

「幽霊は時空を超えただけ?でもさ、ゲームの世界だし・・」

「ねぇ?亮、しっかりして。バルトはバルティスではないわ。あなたがロトではない様に。いい?ただのキャラかぶりよ。他のキャラも似ているじゃない?レクサスはサリヤと感じが似てるし、ミシュリーナもサリヤに瞳がそっくりだわ?そう、キャラクターデザインが同じ人だからなだけ。主軸はあなたがシルフィーヌである限りバルトは攻略対象としての人間よ」

「・・・・・紗理奈・・・解らなくなってきた・・理屈ではわかるんだよ?でも・・・」

「いい?亮、貴方は女性でレオリオもバルトも男性。ハイ、単純。ここの主軸は『永遠の誓いを君に』の乙女ゲームなのよ?吸血鬼は出て来ないの。お分かり?」

「うーん、じゃあさ?俺バルト選ぶとどうなるのかな?」

「へっ?いいんじゃない?普通に嫁いだらいいじゃない?・・・ふーん、そうなんだ、まだレオリオに決めたわけではないのね・・・いいと思うわ。だって亮、バルト吸血鬼だったら殺せるの?」

「はぁっ!?無理無理!!バルト連れてどっか山の中に二人でこもる」

「バルト、レオリオ殺したら?」

「バルト殺して俺も死ぬ」

「レオリオ、バルト殺したら?」

「俺も死ぬ」

「亮、解ってる?」

「えっ?」

「あなた、バルト選んでるわ」

「えっ!?えっ?違うよ!紗理奈。バルトはルカと一緒なんだ。その、家族みたいなものなんだ」

「私が好きだったのはレオリオ。でも家族にしたいのはトマよ、亮」

「・・・・・・わからなくなってきた・・・・」

「そうね・・・亮には時間が必要ね?いいんじゃない?バルトとじっくり向き合ってみたら?」

「昨日、求婚されたよ」

「ほらほら?ね?素敵な事じゃない?大いに悩むがいい、シルフィーヌ!!それが君の人生だ!ウフフッ」

他人事(ひとごと)だと思って!」

他人事(ひとごと)だも~ん。でもね?いいと思うのよ?あなたならどちらを選んでも」

「どちらも選べないから悩んでるんだし・・・紗理奈、まだユタ国には帰らないよね?また相談したいんだ」

「ええ、学園には行かないけど男爵家に引き取られたら手紙書くから。シルフィーヌの恋の行方も知りたいしトマとの事も報告したいしね」

「それ、本当にどうなるんだろう?自信ないわ、俺・・・」

「結局のところゲームの中の『王の印』はその名の通り王者の印でお互いが共鳴して意思疎通が出来る設定だったわ。魔法や超能力がないこの中世設定の世界でそれ出来るってどうなんだろ?『王の印』ってアイテム、もっと違う使い方?う~ん、違うわね、使われ方かな?があるんじゃないかしら?」

「そうだよね。絶対他にもいるよね?この印のある奴」

「いるわ。絶対ね。私も探ってみるわ。それと『セブンズ・ゲート』のヒロイン、シルフィーヌじゃないかしら?」

「げっ!紗理奈はロト、ヒロイン派なんだ」

「ふふっ、ごめんね?結構、ネットでそう言うので賑わったじゃない?何かやっててわかるわかる!って思ちゃったわ。ほら?バルティスが眠りに着くときにロトが『俺を一人にするのか!』って叫んだでしょ?」


ああ、言ったわ、言いましたわ。良きライバルを失う事についてだったのにそう言う解釈されると


「わぁ、BLだわ・・・・」





「これ!これ良くない?バルト。ほら?このオルゴール」

王都で俺はミシュリーナと別れてからバルトとお土産探しだ。

ルカがレクサスの本探しに付き合っているので俺はバルトの買い物に付き合っている。

実際、俺自身も王都をブラブラするのは初めてで別宅の侍女達にお勧めの店をピックアップしてもらったのだ。ここも可愛い雑貨屋さんでユリアのお土産にぴったりだ。

「ああ、いいかもな。シルフィーヌはそれが欲しいのか?」

さっきから陶器の恋人をモチーフにしたような2体の人形を俺が気にしていたからだろう後ろからバルトも一緒に覗き込む。

「ううん。違うの。今度リタとカレブの結婚のお祝いにね、どうかな?って思って」

「そうか?結婚するんだったな?あの二人」

「今度、グランドマッスル終わってからね、アントワート家でガーデンパーティするからその時に二人のお祝いもするの。良かったらバルトも来て?」

「ああ、邪魔でなければな」

「大歓迎よ。フフッ、楽しみ増えた。じゃあ、お会計済ませたらこの先に美味しいミルクティのお店があるから行こう?」

今日はバルトが着いてるので護衛達は遠巻きだ。だから二人でデートのようだ。

「シルフィーヌ、楽しそうだな?」

「うん!楽しい。シュナイダー領でもバルト連れて行ってくれたでしょ?楽しかったわ。ああ、あの時食べたなんだっけ?コロッケ?」

「お前ががっついて火傷したやつ?」

「そうそう、火傷したけど美味しかったな。あるかな?あんな店」

「お前、侯爵令嬢とは思えないな?食べ物ばっかりだぞ?」

「いいじゃない。バルトとしかこんな事出来ないし」

「王子とはどんな感じなんだ?」

「ん~?王子には敬語だし、そうね?いつも緊張してるわね?そうね・・・?何でバルトにはこんなになついてるのかな私?」

「お前、俺のこと初めからこう言う扱いだよな?俺、これでも結構告白される方なんだが・・」

「うんうん!わかってるよ?バルトはかっこいいよ?さっきからすれ違う女の人みんなバルト見てるもん。凄いよね~?シュナイダー領でもそうだったしね。ウフフ、やっぱり自慢の友達だわ」

「それ、何で友達なんだ。今日は恋人にしてくれ」

「え?恋人でいいの?旦那様じゃないの?」

俺はバルトの腕に纏わり付いて見上げてやった。

「・・・お前、遊んでるだろ?」

お、赤くなった。かわいい~!!

「アハハ、ごめん、ごめん。でもせっかくのデートだからさ?ケーキも食べたい、ね?食べたい!お願い!バルト」

「お前・・・結局食べ物じゃないか」



「わぁ、栗が乗ってる・・美味しそうだわ」

ケーキだ!ケーキ!それも俺が好きなモンブラン!やったね!

「はい、バルト」

早速、フォークで切り分け一口、向かいの席に座るバルトの口に放り込む。

それから自分も一口。

「うん、とっても幸せ!ね?バルト?」

「ああ・・・・」

何かキョトンとした顔でバルトが見返す。ん?

「あ、そっちも欲しい」

バルトが自分のフルーツタルトを差し出す。俺はためらわず切り分けるとまた、バルトの口に放り込んで自分もしっかりと頂く。

「あ、いちじくだ。美味しい・・・」

「シルフィーヌのもう一口寄越せ」

ん、モンブラン気に入ったの?はい!ってバルトの口にフォークを持って行って気が付いた。

「あ、私・・・ごめんなさい、バルト。フォーク一緒だった・・・ごめんなさい」

いつもルカが俺に必ず一口くれるのでバルトにも気にせずやってしまった。習慣って怖いわ。

バルトは気にせずパクリと目の前のケーキを食べた。

「別にお前が気にしないならいいよ。もう一つ頼むか?それ」

「えっ?いいの?じゃあ、アレ、食べたい!お願い。一緒に食べてバルト」

俺は隣のお姉さんが食べてるてんこ盛りになってるパンケーキのタワーを見てバルトに手を合わせた。





読んで頂きありがとうございました。

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